JavaScript で CORS を実現!「Access-Control-Allow-Methods」ヘッダーの設定方法
Access-Control-Allow-Methods
は、HTTP レスポンスヘッダーの一つであり、オリジン間リソース共有 (CORS) において重要な役割を果たします。これは、あるオリジン (ドメイン) から別のオリジンへリソースへのアクセスを許可する際に、許可されるHTTPメソッドを指定するために使用されます。
CORS とは?
Webブラウザは、セキュリティ上の理由から、異なるオリジン間でのリソースへのアクセスを制限します。これが、いわゆる クロスオリジン制限 です。しかし、近年ではWebアプリケーションが複数のオリジンにまたがって動作することが一般的になり、この制限が障害となるケースも増えています。
そこで、この問題を解決するために策定されたのが CORS です。CORSは、オリジン間でのリソース共有を許可するための仕組みであり、Access-Control-Allow-Origin
や Access-Control-Allow-Methods
などのHTTPヘッダーを用いて実現されます。
Access-Control-Allow-Methods の役割
Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーは、クライアントが特定のリソースに対して使用できるHTTPメソッドを指定します。具体的には、カンマ区切りのリスト形式でメソッド名を列挙します。例えば、以下のヘッダーは、GET
、POST
、PUT
メソッドのみを許可することを示します。
Access-Control-Allow-Methods: GET, POST, PUT
このヘッダーがなければ、ブラウザはたとえ許可されているオリジンからのリクエストであっても、デフォルトで許可されていないメソッドによるアクセスを拒否します。
許可されるメソッド
一般的に、以下のHTTPメソッドが Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーで許可されます。
OPTIONS
: サポートされているHTTPメソッドを確認するための事前リクエストDELETE
: リソースの削除PUT
: リソースの更新POST
: リソースへのデータ送信GET
: リソースの取得
上記以外にも、状況に応じて様々なメソッドが許可される可能性があります。
ワイルドカードの使用
Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーには、ワイルドカード文字 *
を使用することができます。これは、すべてのHTTPメソッドを許可することを意味します。しかし、セキュリティ上の理由から、ワイルドカードの使用は推奨されていません。許可するメソッドは明示的に列挙するようにしましょう。
Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーは、CORS において不可欠な役割を果たすHTTPヘッダーです。このヘッダーを適切に設定することで、オリジン間でのリソース共有を安全かつ柔軟に実現することができます。
Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーは、サーバー側の設定によって変更できます。Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーは、Access-Control-Allow-Origin
ヘッダーと共に使用されます。
例
以下の例は、GET
、POST
、PUT
メソッドのみを許可する Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーの使用方法を示しています。
Access-Control-Allow-Origin: https://www.example.com
Access-Control-Allow-Methods: GET, POST, PUT
const express = require('express');
const app = express();
app.use(function(req, res, next) {
res.header('Access-Control-Allow-Origin', 'https://www.example.com');
res.header('Access-Control-Allow-Methods', 'GET, POST, PUT');
next();
});
app.get('/', function(req, res) {
res.send('Hello World!');
});
app.listen(3000, function() {
console.log('Server started on port 3000');
});
このコードでは、以下の処理が行われます。
express
モジュールをインポートし、Express アプリケーションを作成します。app.use
ミドルウェアを使用して、すべてのリクエストに対して処理を実行します。res.header
メソッドを使用して、Access-Control-Allow-Origin
とAccess-Control-Allow-Methods
ヘッダーを設定します。next()
メソッドを呼び出して、次のミドルウェアまたはルーティング関数を処理に移行します。app.get
メソッドを使用して、/
パスへの GET リクエストを処理するルーティング関数を定義します。res.send
メソッドを使用して、Hello World!
というメッセージをレスポンスとして送信します。app.listen
メソッドを使用して、サーバーをポート 3000 で起動します。
このコードを実行すると、https://www.example.com
オリジンからの GET
、POST
、PUT
メソッドのみが許可され、それ以外のオリジンまたはメソッドからのリクエストは拒否されます。
以下の例は、異なる状況における Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーの使用方法を示しています。
- すべてのオリジンからのすべてのメソッドを許可する
Access-Control-Allow-Origin: *
Access-Control-Allow-Methods: *
- 複数のオリジンからのアクセスを許可する
Access-Control-Allow-Origin: https://www.example.com, https://www.example.org
Access-Control-Allow-Methods: GET, POST, PUT
- カスタムヘッダーを許可する
Access-Control-Allow-Origin: https://www.example.com
Access-Control-Allow-Methods: GET, POST, PUT
Access-Control-Allow-Headers: X-Custom-Header
以下に、一般的な方法をいくつか紹介します。
Webサーバーの設定
多くのWebサーバーでは、Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーを構成するための設定オプションが用意されています。具体的には、.htaccess
ファイルや設定ファイルを使用して設定できます。
例:Apache の .htaccess ファイル
Header set Access-Control-Allow-Origin: https://www.example.com
Header set Access-Control-Allow-Methods: GET, POST, PUT
例:Nginx の設定ファイル
add_header Access-Control-Allow-Origin https://www.example.com;
add_header Access-Control-Allow-Methods GET, POST, PUT;
サーバーサイドスクリプト
サーバーサイドスクリプト (例:PHP、Python、Node.js) を使用して、Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーを動的に設定することもできます。
例:Node.js と Express フレームワーク
const express = require('express');
const app = express();
app.use(function(req, res, next) {
res.header('Access-Control-Allow-Origin', 'https://www.example.com');
res.header('Access-Control-Allow-Methods', 'GET, POST, PUT');
next();
});
// ...
app.listen(3000, function() {
console.log('Server started on port 3000');
});
ブラウザ拡張機能
一部のブラウザ拡張機能では、Access-Control-Allow-Methods
ヘッダーを含むHTTPヘッダーをカスタマイズすることができます。これは、開発目的でのみ使用することを想定しており、本番環境で使用することは推奨されていません。
どの方法を選択するべきか?
最適な方法は、使用する環境や要件によって異なります。
- ブラウザ拡張機能: 開発・テスト目的でのみ使用し、本番環境では使用しないようにしてください。
- サーバーサイドスクリプト: より柔軟な制御が可能で、リクエストごとに動的にヘッダーを設定できます。
- Webサーバーの設定: 比較的シンプルで、一度設定すればすべてのリクエストに適用されます。