Django APIにおけるCSRF保護:徹底解説とサンプルコード


Cross-Site Request Forgery (CSRF) は、Web アプリケーションにおける重大なセキュリティ脆弱性です。攻撃者は、被害者の認証済みセッションを利用して、悪意のあるアクションを実行するように仕向けることができます。Django は、CSRF 攻撃から API を保護するための組み込み機能を提供しています。

CSRF の動作メカニズム

  1. ユーザーは、被害者サイトにログインします。
  2. 攻撃者は、被害者サイトへの悪意のあるリクエストを作成します。このリクエストには、被害者の認証済みセッションクッキーが含まれます。
  3. 攻撃者は、被害者を誘導して、悪意のあるリクエストを実行するように仕向けます。これは、ソーシャルエンジニアリング攻撃などの方法で行われます。
  4. 被害者が悪意のあるリクエストを実行すると、攻撃者は被害者の認証済みセッションを悪用して、許可されていないアクションを実行することができます。

Django での CSRF 保護

Django は、CSRF 攻撃から API を保護するために以下の機能を提供しています。

  • CSRF トークンビュー
    このビューは、JavaScript コードで使用される CSRF トークンを生成します。
  • CSRF ミドルウェア
    このミドルウェアは、すべての POST リクエストを検査し、CSRF トークンが有効かどうかを確認します。CSRF トークンは、Django によって生成され、フォームフィールドまたは hidden フィールドとしてテンプレートにレンダリングされます。

API における CSRF 保護の実装

API ビューで CSRF 保護を有効にするには、次の手順に従います。

  1. django.views.decorators.csrf モジュールから csrf_protect デコレータをインポートします。
  2. ビュー関数を @csrf_protect デコレータでデコレーションします。
from django.views.decorators.csrf import csrf_protect

@csrf_protect
def my_api_view(request):
    # ...

JavaScript での CSRF トークンの取得

JavaScript コードで CSRF トークンを取得するには、次の手順に従います。

  1. django.core.urlresolvers モジュールから reverse 関数をインポートします。
  2. CSRF トークンビューの URL を reverse 関数を使用して取得します。
  3. AJAX リクエストを使用して、CSRF トークンビューに GET リクエストを送信します。
  4. レスポンスから CSRF トークンを抽出します。
var csrftoken = getCookie('csrftoken');

$.ajax({
    url: reverse('csrf_token'),
    method: 'GET',
    success: function(response) {
        var token = response.data.csrftoken;
        // ...
    }
});

送信されたフォームに CSRF トークンを含める

送信されたフォームに CSRF トークンを含めるには、次の手順に従います。

  1. テンプレートで、CSRF トークンフィールドをレンダリングします。
  2. JavaScript コードを使用して、CSRF トークンをトークンフィールドに設定します。
<input type="hidden" name="csrfmiddlewaretoken" value="{{ csrf_token }}" />
$('input[name=csrfmiddlewaretoken]').val(csrftoken);


ビュー関数のデコレーション

from django.views.decorators.csrf import csrf_protect

@csrf_protect
def my_api_view(request):
    # ...

JavaScript での CSRF トークンの取得

var csrftoken = getCookie('csrftoken');

$.ajax({
    url: reverse('csrf_token'),
    method: 'GET',
    success: function(response) {
        var token = response.data.csrftoken;
        // ...
    }
});

送信されたフォームに CSRF トークンを含める

<input type="hidden" name="csrfmiddlewaretoken" value="{{ csrf_token }}" />
$('input[name=csrfmiddlewaretoken]').val(csrftoken);

このコード例は、基本的な CSRF 保護を実装する方法を示しています。より複雑なシナリオについては、Django の CSRF ドキュメントを参照してください。



  • 互換性の問題
    古いブラウザや一部のライブラリと互換性がない場合があります。
  • パフォーマンスへの影響
    大規模なアプリケーションでは、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 複雑さ
    実装と構成が複雑になる可能性があります。

これらの理由から、一部の開発者は、CSRF 保護の代替方法を検討しています。以下に、いくつかの代替方法と、それぞれの長所と短所をいくつか紹介します。

Origin ヘッダーの検証

Origin ヘッダーには、リクエストが送信されたドメインの情報が含まれています。このヘッダーを使用して、リクエストのオリジンが信頼できるかどうかを確認できます。

長所

  • パフォーマンスへの影響が小さい
  • シンプルで実装しやすい

短所

  • 一部のブラウザでは Origin ヘッダーがサポートされていない
  • Origin ヘッダーを偽造できる可能性がある

Referer ヘッダーの検証

Referer ヘッダーには、ユーザーがリクエストにアクセスする前にいたページの情報が含まれています。このヘッダーを使用して、リクエストが信頼できるページからのものであるかどうかを確認できます。

長所

  • Origin ヘッダーよりも偽造が難しい

短所

  • Referer ヘッダーを偽造できる可能性がある
  • Referer ヘッダーが送信されない場合がある

リクエストの整合性チェック

リクエストの整合性チェックでは、リクエスト内のデータの整合性を検証します。これには、ハッシュやデジタル署名を使用できます。

長所

  • 高いセキュリティ

短所

  • パフォーマンスへの影響が大きい
  • 複雑で実装が難しい

ワンタイムトークン

ワンタイムトークンは、各リクエストで使用されるランダムな値です。このトークンをリクエストに含めることで、リクエストが有効であることを確認できます。

長所

  • 比較的安全
  • シンプルで実装しやすい

短所

  • 一部のブラウザではサポートされていない
  • トークンの管理が必要

reCAPTCHA

reCAPTCHA は、人間とボットを区別するために使用されるサービスです。reCAPTCHA を使用すると、ユーザーが人間であることを証明する必要があるため、CSRF 攻撃を阻止できます。

長所

  • 高い精度
  • 比較的使いやすい

短所

  • 無料版には制限がある
  • ユーザーエクスペリエンスが損なわれる可能性がある

CSRF 保護の代替方法はいくつかありますが、それぞれに長所と短所があります。最良の方法は、特定のニーズに応じて選択する必要があります。

従来の CSRF 保護方法と比較して、代替方法は一般的に次の点で優れています。

  • 互換性の問題が少ない
  • パフォーマンスへの影響が小さい
  • シンプルで実装しやすい