VS_GLOBAL_VARIABLEの代替方法も網羅! CMakeでVisual Studioプロジェクトを完全攻略


CMakeは、クロスプラットフォームなC++プロジェクトのビルドを自動化するツールです。「Properties: Targets」と「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、CMakeにおいて重要な役割を果たす機能ですが、それぞれ異なる用途と使用方法を持っています。

「Properties: Targets」とは

「Properties: Targets」は、CMakeターゲットに関連する属性を設定するための機能です。ターゲットは、実行ファイル、ライブラリ、またはカスタム・アーティファクトなどのビルド成果を表します。

「Properties: Targets」を使用して設定できる属性には、以下のようなものがあります。

  • ビルド条件
  • インクルードパスとライブラリパス
  • 出力ファイルの名前と場所
  • コンパイラとリンカーの設定

これらの属性を設定することで、CMakeはターゲットをどのようにビルドするかを決定することができます。

「VS_GLOBAL_VARIABLE」とは

「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、Visual Studioで使用されるグローバル変数を設定するための機能です。これらの変数は、Visual Studioプロジェクト全体でアクセスできます。

「VS_GLOBAL_VARIABLE」を使用して設定できる変数には、以下のようなものがあります。

  • 診断メッセージ
  • ライブラリパス
  • インクルードパス
  • 出力ディレクトリ

これらの変数を設定することで、Visual Studioプロジェクトの設定をカスタマイズすることができます。

「Properties: Targets」と「VS_GLOBAL_VARIABLE」の違い

「Properties: Targets」と「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、どちらもCMakeプロジェクトの設定に使用されますが、以下の点で異なります。

  • 用途
    • 「Properties: Targets」は、主にターゲットのビルド方法を制御するために使用されます。
    • 「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、主にVisual Studioプロジェクトの設定をカスタマイズするために使用されます。
  • 適用範囲
    • 「Properties: Targets」は、特定のターゲットにのみ適用されます。
    • 「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、Visual Studioプロジェクト全体のグローバル変数として設定されます。

以下の例は、「Properties: Targets」を使用してターゲットのコンパイラとリンカーを設定する方法を示しています。

target_properties(mytarget PROPERTIES
  CXX_COMPILER CL
  LINKER_LANGUAGE CXX
)

以下の例は、「VS_GLOBAL_VARIABLE」を使用してVisual Studioプロジェクトの出力ディレクトリを設定する方法を示しています。

set(VS_OUTDIR "${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/bin")

「Properties: Targets」と「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、CMakeプロジェクトの設定において重要な役割を果たす機能です。それぞれの機能を理解し、適切に使用することで、CMakeプロジェクトを効果的に構築することができます。



target_properties(mytarget PROPERTIES
  CXX_COMPILER CL
  LINKER_LANGUAGE CXX
)

このコードは、以下のことを行います。

  • ターゲット mytarget のリンカー言語を CXX に設定します。これは、C++言語で書かれたコードをリンクすることを意味します。
  • ターゲット mytarget のコンパイラを CL に設定します。これは、Visual Studioで使用されるMicrosoft C++コンパイラです。

例2:Visual Studioプロジェクトの出力ディレクトリを設定する

set(VS_OUTDIR "${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/bin")
  • Visual Studioプロジェクトの出力ディレクトリを "${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/bin" に設定します。これは、CMakeの CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR 変数を使用して、現在のバイナリディレクトリを取得し、その下に bin ディレクトリを作成することを意味します。

例3:ターゲット固有のインクルードパスを設定する

この例では、「Properties: Targets」を使用して、ターゲット mytarget のターゲット固有のインクルードパスを設定する方法を示します。

target_properties(mytarget PROPERTIES
  INCLUDE_DIRS "/path/to/myheaders"
)
  • ターゲット mytarget のターゲット固有のインクルードパスを /path/to/myheaders に設定します。これは、CMakeはターゲット mytarget をビルドするときに、このディレクトリを検索してインクルードファイルを探すことを意味します。

例4:Visual Studioプロジェクト全体のインクルードパスを設定する

この例では、「VS_GLOBAL_VARIABLE」を使用して、Visual Studioプロジェクト全体のインクルードパスを設定する方法を示します。

list(APPEND CMAKE_INCLUDE_LIST "/path/to/myheaders")
  • Visual Studioプロジェクト全体のインクルードパスリストに /path/to/myheaders を追加します。これは、CMakeはVisual Studioプロジェクト内のすべてのターゲットをビルドするときに、このディレクトリを検索してインクルードファイルを探すことを意味します。

注意

これらの例はほんの一例です。「Properties: Targets」と「VS_GLOBAL_VARIABLE」を使用して設定できる属性は他にもたくさんあります。詳細については、CMakeドキュメントを参照してください。

  • CMakeは、さまざまなプラットフォームでビルドできるクロスプラットフォームなツールです。これらの例は、Windowsプラットフォームでの使用方法を示しています。他のプラットフォームでの使用方法については、CMakeドキュメントを参照してください。
  • 上記の例では、Visual Studio 2022を使用していることを前提としています。他のバージョンのVisual Studioを使用している場合は、コンパイラとリンカーの設定が異なる場合があります。


CMakeの「VS_GLOBAL_VARIABLE」は、Visual Studioプロジェクト全体のグローバル変数を設定するための機能です。しかし、いくつかの代替方法が存在し、状況によってはより適切な方法もあります。

代替方法

    • メリット:
      • プロジェクト固有の設定が可能
      • ビルドシステム全体で一貫した設定を維持しやすい
    • デメリット:
      • キャッシュ変数の設定方法がやや複雑
      • Visual Studioプロジェクト外での設定が反映されない
    • 例:
      set(CMAKE_VS_OUTDIR "${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/bin")
      
  1. CMakeのターゲットプロパティ

    • メリット:
      • ターゲット固有の設定が可能
      • Visual Studioプロジェクト外での設定も反映される
    • デメリット:
      • すべてのターゲットに設定する必要がある
      • 設定が冗長になる可能性がある
    • 例:
      target_properties(mytarget PROPERTIES VS_OUTDIR "${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/bin")
      
  2. Visual Studioプロジェクトのプロパティ

    • メリット:
      • Visual Studioプロジェクトの設定画面から直接設定できる
      • 設定がわかりやすい
    • デメリット:
      • プロジェクト固有の設定のみ可能
      • CMakeビルドシステムとの連携がやや複雑になる
    • 設定方法:
      1. Visual Studioプロジェクトを開きます。
      2. 「ソリューション エクスプローラー」でプロジェクトを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
      3. 「全般」プロパティページに移動します。
      4. 「出力ディレクトリ」フィールドに、出力ディレクトリのパスを入力します。

選択の指針

以下の点を考慮して、適切な代替方法を選択してください。

  • Visual Studioプロジェクト外での設定
    • キャッシュ変数、ターゲットプロパティ: 設定が反映される
    • Visual Studioプロジェクトのプロパティ: 設定が反映されない
  • 設定の簡便性
    • Visual Studioプロジェクトのプロパティ: 最も簡便
    • ターゲットプロパティ: 設定が冗長になる可能性がある
    • キャッシュ変数: 設定方法がやや複雑
  • 設定の範囲
    • プロジェクト全体の設定: キャッシュ変数
    • ターゲット固有の設定: ターゲットプロパティ
    • Visual Studioプロジェクトのみの設定: Visual Studioプロジェクトのプロパティ
  • 状況に応じて、複数の方法を組み合わせることも可能です。
  • 上記以外にも、環境変数やレジストリキーなどを利用する方法もあります。
  • 何を選択しても、プロジェクトの設定が明確でわかりやすいようにすることが重要です。
  • 詳細については、CMakeドキュメントとVisual Studioドキュメントを参照してください。