FlatList.recordInteraction()
もう少し詳しく説明します。
FlatListとビューアビリティ
FlatList
は、大量のデータを効率的に表示するためのコンポーネントです。画面に表示されているアイテムのみをレンダリングし、スクロールに応じて動的にアイテムを読み込んだり、非表示になったアイテムをアンマウントしたりすることで、メモリ使用量を抑え、スムーズなスクロールを実現しています。
この「画面に表示されているかどうか」を判断する仕組みがビューアビリティ計算です。FlatList
にはonViewableItemsChanged
というプロパティがあり、これを使うと、どのアイテムが画面に表示されているか(または表示されなくなったか)を検知し、その情報に基づいて処理を行うことができます。例えば、動画リストで、画面に入った動画を自動再生する、といったユースケースが考えられます。
recordInteraction()の役割
通常、ユーザーがリストをスクロールすると、FlatList
は自動的にビューアビリティの計算を行い、必要に応じてonViewableItemsChanged
コールバックを呼び出します。
しかし、特定の状況では、ユーザーがスクロールしていないにもかかわらず、ビューアビリティの計算を手動でトリガーしたい場合があります。例えば、以下のようなケースです。
- Impressionログの実装
例えば、特定のアイテムがユーザーに表示されたことを記録する(Impressionログ)必要がある場合に、ユーザーのスクロール以外のイベントでビューアビリティを再計算したい場合に役立つことがあります。 - 初期レンダリング時やデータの更新時
リストが初めてレンダリングされたときや、リストのデータが更新されたときに、すぐに画面に表示されているアイテムを把握したい場合があります。ユーザーがまだスクロールしていなくても、recordInteraction()
を呼び出すことで、ビューアビリティの計算を実行できます。 - waitForInteraction プロパティを使用している場合
FlatList
のviewabilityConfig
プロパティにはwaitForInteraction
という設定があります。これをtrue
に設定すると、ユーザーがリストをスクロールするまで、onViewableItemsChanged
は発火しません。このような状況で、ユーザーがスクロールを開始する前に特定の条件でビューアビリティ計算を強制的に行いたい場合にrecordInteraction()
を使用します。
FlatList
のインスタンスに対して呼び出します。通常はref
を使ってFlatList
コンポーネントへの参照を取得し、そこからメソッドを呼び出します。
import React, { useRef, useEffect } from 'react';
import { FlatList, View, Text, Button } from 'react-native';
const MyList = () => {
const flatListRef = useRef(null);
const data = Array.from({ length: 20 }, (_, i) => ({ key: String(i), title: `Item ${i}` }));
useEffect(() => {
// コンポーネントがマウントされた後にrecordInteraction()を呼び出す例
// これにより、ユーザーがスクロールしなくても初期のビューアビリティ計算が実行される
if (flatListRef.current) {
flatListRef.current.recordInteraction();
}
}, []);
const handleManualCheck = () => {
if (flatListRef.current) {
console.log('手動でrecordInteraction()を呼び出し...');
flatListRef.current.recordInteraction();
}
};
const onViewableItemsChanged = ({ viewableItems, changed }) => {
console.log('ビューアビリティが変更されました:', viewableItems.map(item => item.item.title));
};
return (
<View style={{ flex: 1, paddingTop: 50 }}>
<Button title="手動でビューアビリティをチェック" onPress={handleManualCheck} />
<FlatList
ref={flatListRef}
data={data}
renderItem={({ item }) => (
<View style={{ height: 100, justifyContent: 'center', alignItems: 'center', borderBottomWidth: 1, borderColor: '#eee' }}>
<Text>{item.title}</Text>
</View>
)}
keyExtractor={(item) => item.key}
onViewableItemsChanged={onViewableItemsChanged}
viewabilityConfig={{
itemVisiblePercentThreshold: 50, // アイテムの50%が表示されたらviewableとみなす
// waitForInteraction: true, // この場合、recordInteraction()がより重要になる
}}
/>
</View>
);
};
export default MyList;
ここでは、FlatList.recordInteraction()
に関連する一般的なエラーとそのトラブルシューティングについて説明します。
recordInteraction()を呼び出してもonViewableItemsChangedが発火しない
考えられる原因
- データが変更されていない
FlatList
は、基本的にデータやプロパティが変更されたときにビューアビリティを再計算しようとします。recordInteraction()
は強制的に再計算を促しますが、データが全く変更されていないのに繰り返し呼び出しても、意味がない場合があります。 - コンポーネントのライフサイクル
FlatList
がまだマウントされていない段階でrecordInteraction()
を呼び出そうとしている可能性があります。useEffect
のクリーンアップ関数や、リストが完全にレンダリングされてから呼び出すようにしてください。 - viewabilityConfigの設定
FlatList
のviewabilityConfig
プロパティが適切に設定されていない可能性があります。itemVisiblePercentThreshold
が低すぎる、または高すぎる(例えば、0%だと少しでも見えれば発火、100%だと完全に画面に入らないと発火しない)。minimumViewTime
が長すぎる(一定時間以上表示されないと発火しない)。- waitForInteraction: true の場合
waitForInteraction
がtrue
に設定されていると、ユーザーがリストをスクロールするまでonViewableItemsChanged
は発火しません。この場合、recordInteraction()
を呼び出すことが特に重要になります。
- refが正しく設定されていない、または参照がnull
recordInteraction()
を呼び出すには、FlatList
コンポーネントへの正しい参照が必要です。useRef
を使って参照を保持し、それが適切に初期化されていることを確認してください。
トラブルシューティング
- 遅延実行
FlatList
が完全に描画されるまで少し遅延させてからrecordInteraction()
を呼び出すことで解決する場合があります(例:setTimeout
)。ただし、これは根本的な解決策ではない場合があります。 - waitForInteractionの考慮
もしwaitForInteraction: true
を使っているなら、それが意図通りか再確認し、recordInteraction()
がそのための手段として適切に機能しているか確認します。 - onViewableItemsChangedのコンソールログ
onViewableItemsChanged
コールバック内で受け取るviewableItems
やchanged
の内容をログに出力し、期待通りのアイテム情報が渡されているか確認します。 - viewabilityConfigのデバッグ
viewabilityConfig
の各プロパティの値を調整しながら試してみてください。特にitemVisiblePercentThreshold
とminimumViewTime
は、ビューアビリティの検出に大きく影響します。 - refの確認
const flatListRef = useRef(null); // ... <FlatList ref={flatListRef} // ... /> // ... if (flatListRef.current) { flatListRef.current.recordInteraction(); } else { console.warn('FlatList ref is null!'); }
パフォーマンスの問題(頻繁な呼び出し)
考えられる原因
- 重いrenderItemコンポーネント
recordInteraction()
によってビューアビリティが再計算され、新しいアイテムがレンダリングされる際に、renderItem
で描画されるコンポーネントが複雑または重い場合、パフォーマンスボトルネックになることがあります。 - recordInteraction()の過度な呼び出し
recordInteraction()
はビューアビリティの計算を強制的にトリガーするため、不必要に頻繁に呼び出すとパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。例えば、onScroll
イベント内で毎回呼び出すなど。これはJavaScriptスレッドに負荷をかけ、スクロールのラグやUIのフリーズを引き起こす可能性があります。
トラブルシューティング
- FlatListのパフォーマンス最適化のベストプラクティス
- keyExtractorの最適化
アイテムごとに一意で安定したkey
を提供することで、リストの再レンダリングを効率化します。 - PureComponentまたはReact.memoの利用
renderItem
で描画されるコンポーネントをPureComponent
にするか、関数コンポーネントであればReact.memo
でラップすることで、不要な再レンダリングを防ぎます。 - initialNumToRenderの調整
最初に表示するアイテム数を調整します。小さすぎるとブランクエリアが発生し、大きすぎると初期ロードが遅くなります。 - windowSizeの調整
同時にマウントされるアイテムの数を調整します。 - removeClippedSubviewsの利用
ビューポート外のビューをネイティブビュー階層からデタッチし、メインスレッドでの描画処理を軽減します。ただし、副作用もあるため注意が必要です。 - getItemLayoutの利用
リストアイテムの高さが固定されている場合は、getItemLayout
を提供することで、レイアウト計算のパフォーマンスを大幅に向上させることができます。
- keyExtractorの最適化
- 呼び出しのタイミングの最適化
- 必要なときにのみ
recordInteraction()
を呼び出すようにします。例えば、画面遷移時、データの初期ロード後、またはユーザーが特定の操作を行った後など。 - 頻繁なイベント(例:
onScroll
)で呼び出す場合は、debounce
やthrottle
などのテクニックを使用して、呼び出し回数を制限することを検討してください。
- 必要なときにのみ
考えられる原因
- viewabilityConfigの不一致
onViewableItemsChanged
が期待するアイテムの表示基準と、viewabilityConfig
で設定されている基準が異なっている可能性があります。 - タイミングの問題
recordInteraction()
を呼び出した時点では、まだUIが完全に更新されていない、またはビューアビリティの計算が完了していない可能性があります。
トラブルシューティング
- viewabilityConfigの再確認
itemVisiblePercentThreshold
やminimumViewTime
など、すべての設定が意図通りであるか、特に慎重に確認します。例えば、itemVisiblePercentThreshold: 1
と設定した場合、アイテムが1%でも見えればビューアブルと判断されます。 - 非同期処理の考慮
recordInteraction()
はビューアビリティ計算をトリガーしますが、その結果がすぐにonViewableItemsChanged
に反映されるとは限りません。非同期処理として捉え、必要であればsetTimeout
などで少し待ってから状態を確認することを検討します(ただし、これもデバッグ用途に留め、根本的な解決策を探ることが重要です)。
FlatList.recordInteraction()
は強力なツールですが、その効果と潜在的な副作用を理解して使用することが重要です。問題が発生した場合は、以下の点を順に確認していくことをお勧めします。
ref
が正しく設定されているか。recordInteraction()
の呼び出しタイミングが適切か。viewabilityConfig
の設定が意図通りか。FlatList
全体のパフォーマンス最適化が図られているか。
例1: コンポーネントのマウント時に初期ビューアビリティをトリガーする
最も一般的なユースケースの1つは、FlatList
が初めてレンダリングされたときに、ユーザーがスクロールする前にどのアイテムが表示されているかを把握したい場合です。
import React, { useRef, useEffect, useState } from 'react';
import { View, Text, FlatList, StyleSheet } from 'react-native';
const INITIAL_DATA = Array.from({ length: 20 }, (_, i) => ({
id: String(i),
title: `Item ${i + 1}`,
}));
const InitialViewabilityScreen = () => {
const flatListRef = useRef(null);
const [viewableItems, setViewableItems] = useState([]);
// onViewableItemsChanged コールバック
const onViewableItemsChanged = useRef(({ viewableItems: newViewableItems }) => {
// 表示されているアイテムのIDをログに出力
console.log('現在表示されているアイテム:', newViewableItems.map(item => item.item.title));
setViewableItems(newViewableItems.map(item => item.item.id));
});
useEffect(() => {
// コンポーネントがマウントされた後、FlatListのビューアビリティ計算をトリガーする
// これにより、ユーザーがスクロールしなくても初期のviewableItemsChangedが発火する
if (flatListRef.current) {
console.log('useEffect: recordInteraction()を呼び出し中...');
flatListRef.current.recordInteraction();
}
}, []); // 空の依存配列により、コンポーネントマウント時のみ実行
return (
<View style={styles.container}>
<Text style={styles.header}>初期ビューアビリティの確認</Text>
<Text style={styles.subheader}>現在表示されているアイテムID: {viewableItems.join(', ')}</Text>
<FlatList
ref={flatListRef}
data={INITIAL_DATA}
renderItem={({ item }) => (
<View style={styles.item}>
<Text style={styles.itemText}>{item.title}</Text>
</View>
)}
keyExtractor={(item) => item.id}
onViewableItemsChanged={onViewableItemsChanged.current}
viewabilityConfig={{
itemVisiblePercentThreshold: 50, // アイテムの50%が表示されたらviewableとみなす
// waitForInteraction: true, // この例ではfalse(デフォルト)だが、trueの場合recordInteractionがより重要
}}
style={styles.flatList}
/>
</View>
);
};
const styles = StyleSheet.create({
container: {
flex: 1,
paddingTop: 50,
backgroundColor: '#f5f5f5',
},
header: {
fontSize: 20,
fontWeight: 'bold',
textAlign: 'center',
marginBottom: 10,
},
subheader: {
fontSize: 14,
textAlign: 'center',
marginBottom: 20,
color: '#666',
},
flatList: {
flex: 1,
},
item: {
height: 120,
backgroundColor: 'white',
borderBottomWidth: 1,
borderBottomColor: '#eee',
justifyContent: 'center',
alignItems: 'center',
marginHorizontal: 10,
marginBottom: 5,
borderRadius: 8,
shadowColor: '#000',
shadowOffset: { width: 0, height: 1 },
shadowOpacity: 0.2,
shadowRadius: 1.41,
elevation: 2,
},
itemText: {
fontSize: 18,
color: '#333',
},
});
export default InitialViewabilityScreen;
解説
onViewableItemsChanged
はuseRef
でラップされており、再レンダリング時に不要な関数生成を防いでいます。- これにより、ユーザーがスクロールを開始する前に、
FlatList
はビューアビリティの計算を実行し、画面に表示されている初期アイテムに関する情報がonViewableItemsChanged
コールバックに渡されます。 useEffect
フック内で、コンポーネントがマウントされた後にflatListRef.current.recordInteraction()
を呼び出しています。
例2: waitForInteraction: true
と組み合わせる
FlatList
のviewabilityConfig
にwaitForInteraction: true
を設定すると、ユーザーがリストをスクロールするまでonViewableItemsChanged
コールバックは発火しません。このような場合に、特定の条件でビューアビリティ計算を強制したいときにrecordInteraction()
が役立ちます。
import React, { useRef, useState, useEffect } from 'react';
import { View, Text, FlatList, Button, StyleSheet } from 'react-native';
const MEDIA_DATA = Array.from({ length: 10 }, (_, i) => ({
id: String(i),
type: i % 2 === 0 ? 'video' : 'image', // 例として動画と画像を交互に
title: `${i % 2 === 0 ? 'Video' : 'Image'} Content ${i + 1}`,
}));
const WaitForInteractionScreen = () => {
const flatListRef = useRef(null);
const [activeMediaId, setActiveMediaId] = useState(null);
const onViewableItemsChanged = useRef(({ viewableItems, changed }) => {
const visibleMedia = viewableItems.find(item => item.isViewable && item.item.type === 'video');
if (visibleMedia) {
console.log(`動画 ${visibleMedia.item.title} が画面に入りました。`);
setActiveMediaId(visibleMedia.item.id);
// ここで動画の自動再生などのロジックを実装
} else {
setActiveMediaId(null);
// ここで動画の一時停止などのロジックを実装
}
});
const handleManualCheck = () => {
console.log('手動でビューアビリティをチェック中 (recordInteraction呼び出し)...');
if (flatListRef.current) {
flatListRef.current.recordInteraction();
}
};
useEffect(() => {
// 画面ロード時に自動で一度ビューアビリティをチェックしたい場合
const timer = setTimeout(() => {
if (flatListRef.current) {
console.log('初期ロード後にrecordInteraction()を自動呼び出し...');
flatListRef.current.recordInteraction();
}
}, 1000); // 1秒後に呼び出す例
return () => clearTimeout(timer);
}, []);
return (
<View style={styles.container}>
<Text style={styles.header}>`waitForInteraction` と `recordInteraction`</Text>
<Text style={styles.subheader}>
{activeMediaId ? `現在アクティブなメディア: ${activeMediaId}` : 'アクティブなメディアなし'}
</Text>
<Button title="手動でビューアビリティを更新" onPress={handleManualCheck} />
<FlatList
ref={flatListRef}
data={MEDIA_DATA}
renderItem={({ item }) => (
<View style={[styles.mediaItem, item.id === activeMediaId && styles.activeItem]}>
<Text style={styles.mediaTitle}>{item.title}</Text>
<Text style={styles.mediaType}>{item.type.toUpperCase()}</Text>
{/* ここに動画コンポーネントや画像コンポーネントを配置 */}
</View>
)}
keyExtractor={(item) => item.id}
onViewableItemsChanged={onViewableItemsChanged.current}
viewabilityConfig={{
itemVisiblePercentThreshold: 70, // 70%が表示されたらviewable
waitForInteraction: true, // ユーザーのスクロールかrecordInteraction()がないと発火しない
}}
style={styles.flatList}
/>
</View>
);
};
const styles = StyleSheet.create({
container: {
flex: 1,
paddingTop: 50,
backgroundColor: '#f5f5f5',
},
header: {
fontSize: 20,
fontWeight: 'bold',
textAlign: 'center',
marginBottom: 10,
},
subheader: {
fontSize: 14,
textAlign: 'center',
marginBottom: 20,
color: '#666',
},
flatList: {
flex: 1,
},
mediaItem: {
height: 200,
backgroundColor: '#fff',
borderBottomWidth: 1,
borderBottomColor: '#eee',
justifyContent: 'center',
alignItems: 'center',
marginHorizontal: 10,
marginBottom: 10,
borderRadius: 10,
shadowColor: '#000',
shadowOffset: { width: 0, height: 2 },
shadowOpacity: 0.23,
shadowRadius: 2.62,
elevation: 4,
},
activeItem: {
borderColor: 'blue',
borderWidth: 2,
},
mediaTitle: {
fontSize: 18,
fontWeight: 'bold',
color: '#333',
},
mediaType: {
fontSize: 14,
color: '#666',
marginTop: 5,
},
});
export default WaitForInteractionScreen;
解説
- 「手動でビューアビリティを更新」ボタンを押すことでも
recordInteraction()
が呼び出され、onViewableItemsChanged
が発火します。これは、例えばアプリ内の他の操作(フィルター適用など)の結果としてリストの見た目が変わったが、ユーザーはスクロールしていない場合に役立ちます。 - 画面ロード後1秒後に
recordInteraction()
を自動的に呼び出すuseEffect
を追加しました。これにより、初期表示時に動画アイテムのビューアビリティをチェックし、activeMediaId
が設定されることを確認できます。 viewabilityConfig
にwaitForInteraction: true
を設定しています。このため、ユーザーがスクロールしない限りonViewableItemsChanged
は発火しません。
リストのデータが動的に変更された場合、特にリストの先頭に新しいアイテムが追加されたり、特定のアイテムが削除されたりした場合、FlatList
は自動的にビューアビリティを再評価しないことがあります。そのような場合にrecordInteraction()
を使って手動でトリガーできます。
import React, { useRef, useState, useEffect, useCallback } from 'react';
import { View, Text, FlatList, Button, StyleSheet } from 'react-native';
let nextId = 0; // ユニークIDを生成するためのカウンター
const DynamicListScreen = () => {
const flatListRef = useRef(null);
const [data, setData] = useState([]);
const [viewableItems, setViewableItems] = useState([]);
// onViewableItemsChanged コールバック
const onViewableItemsChanged = useRef(({ viewableItems: newViewableItems }) => {
console.log('現在表示されているアイテム:', newViewableItems.map(item => item.item.title));
setViewableItems(newViewableItems.map(item => item.item.id));
});
// アイテムを追加する関数
const addItems = useCallback((count = 1) => {
const newItems = Array.from({ length: count }, (_, i) => ({
id: String(nextId++),
title: `新着アイテム ${nextId}`,
}));
// 既存データの先頭に追加
setData(prevData => [...newItems, ...prevData]);
// データが更新された後、ビューアビリティを再計算
// setTimeoutを使うのは、setStateが非同期であり、FlatListが新しいデータで更新されるのを待つため
setTimeout(() => {
if (flatListRef.current) {
console.log('データ更新後にrecordInteraction()を呼び出し...');
flatListRef.current.recordInteraction();
}
}, 50); // わずかな遅延
}, []);
useEffect(() => {
// 初回ロード時にいくつかアイテムを追加
addItems(5);
}, [addItems]);
return (
<View style={styles.container}>
<Text style={styles.header}>データ更新後のビューアビリティ</Text>
<Text style={styles.subheader}>現在表示されているアイテムID: {viewableItems.join(', ')}</Text>
<Button title="新しいアイテムを先頭に追加" onPress={() => addItems(1)} />
<FlatList
ref={flatListRef}
data={data}
renderItem={({ item }) => (
<View style={styles.item}>
<Text style={styles.itemText}>{item.title}</Text>
</View>
)}
keyExtractor={(item) => item.id}
onViewableItemsChanged={onViewableItemsChanged.current}
viewabilityConfig={{
itemVisiblePercentThreshold: 50,
}}
style={styles.flatList}
/>
</View>
);
};
const styles = StyleSheet.create({
container: {
flex: 1,
paddingTop: 50,
backgroundColor: '#f5f5f5',
},
header: {
fontSize: 20,
fontWeight: 'bold',
textAlign: 'center',
marginBottom: 10,
},
subheader: {
fontSize: 14,
textAlign: 'center',
marginBottom: 20,
color: '#666',
},
flatList: {
flex: 1,
},
item: {
height: 100,
backgroundColor: 'white',
borderBottomWidth: 1,
borderBottomColor: '#eee',
justifyContent: 'center',
alignItems: 'center',
marginHorizontal: 10,
marginBottom: 5,
borderRadius: 8,
shadowColor: '#000',
shadowOffset: { width: 0, height: 1 },
shadowOpacity: 0.2,
shadowRadius: 1.41,
elevation: 2,
},
itemText: {
fontSize: 16,
color: '#333',
},
});
export default DynamicListScreen;
解説
setData
の直後にrecordInteraction()
を呼び出しています。ただし、setState
は非同期であるため、FlatList
が新しいデータで完全に更新される前にrecordInteraction()
が実行される可能性があります。このため、setTimeout
でわずかな遅延を入れてからrecordInteraction()
を呼び出すことで、より信頼性を高めています。これにより、新しいデータがレンダリングされた後のビューアビリティを正確に再評価できます。- 「新しいアイテムを先頭に追加」ボタンを押すと、
data
ステートが更新され、新しいアイテムがリストの先頭に追加されます。
FlatList.recordInteraction()
は、ユーザーのスクロールに依存しないビューアビリティ計算を強制したい場合に非常に有用です。特に以下のシナリオで考慮すると良いでしょう。
- 動的なデータ更新後
リストデータが大きく変更され、画面の表示内容が変わったにもかかわらず、ビューアビリティの更新が自動的に行われない場合。 - waitForInteraction: true の設定時
ユーザーの明示的な操作なしにビューアビリティをトリガーしたい場合。 - 初期ロード時
画面が初めて表示されたときに、初期の表示アイテムを把握したい場合。
viewabilityConfigの適切な設定
recordInteraction()
が必要となる多くのケースは、FlatList
のviewabilityConfig
プロパティが適切に設定されていないために発生します。onViewableItemsChanged
コールバックが意図したタイミングで発火しない場合、まずこの設定を見直すべきです。
主なプロパティ
waitForInteraction
: これがtrue
に設定されている場合、ユーザーがリストをスクロールするか、recordInteraction()
が呼び出されるまで、onViewableItemsChanged
は発火しません。minimumViewTime
: アイテムがビューアブルと見なされるために、画面に表示され続けるべき最小時間(ミリ秒)を定義します。- 例:
minimumViewTime: 250
(250ミリ秒以上表示されたらビューアブル)
- 例:
viewAreaCoveragePercentThreshold
: ビューポートの何パーセントがアイテムによって占められたら、アイテムがビューアブルと見なされるかを定義します。itemVisiblePercentThreshold
: アイテムが「ビューアブル(表示可能)」と見なされるために、そのアイテムの何パーセントが画面に表示されている必要があるかを定義します(0〜100)。- 例:
itemVisiblePercentThreshold: 50
(アイテムの50%以上が表示されたらビューアブル)
- 例:
代替手段としての考え方
もしrecordInteraction()
を使っているのが、waitForInteraction: true
を設定しているからではないなら、多くの場合viewabilityConfig
の調整で十分かもしれません。例えば、初期レンダリング時にすぐにonViewableItemsChanged
を発火させたいだけなら、waitForInteraction: false
(デフォルト)を使用し、必要に応じてitemVisiblePercentThreshold
を低く設定します。
extraData プロパティの使用
FlatList
はPureComponent
であるため、props
が変更されない限り再レンダリングされません。リストのデータ(data
プロパティ)以外の何らかのステート(例えば、選択されたアイテムのIDなど)が変更されたときにリスト全体またはその中のアイテムを再レンダリングさせたい場合、extraData
プロパティを使用します。
extraData
にそのステートを渡すことで、そのステートが変更されたときにFlatList
が再レンダリングされ、それに応じてビューアビリティの計算も再評価される可能性があります。これはrecordInteraction()
のような明示的なトリガーとは異なりますが、データ以外の要因でビューアビリティの更新が必要な場合に検討できます。
// 例: 選択されたアイテムが変更されたときにFlatListを再レンダリングさせる
const MyList = () => {
const [selectedId, setSelectedId] = useState(null);
const data = [...]; // 実際のデータ
const renderItem = ({ item }) => (
<Item
item={item}
onPress={() => setSelectedId(item.id)}
isSelected={item.id === selectedId}
/>
);
return (
<FlatList
data={data}
renderItem={renderItem}
keyExtractor={(item) => item.id}
extraData={selectedId} // selectedIdが変更されるとFlatListが再レンダリングされる
onViewableItemsChanged={...}
viewabilityConfig={...}
/>
);
};
リスト全体の再レンダリングをトリガーする(非推奨だが状況によっては検討)
これはあまり推奨される方法ではありませんが、ごく稀に、FlatList
コンポーネント自体を「リセット」したい場合に、key
プロパティを変更することでコンポーネントを完全にアンマウント・マウントさせ、初期状態からレンダリングし直す方法があります。これにより、ビューアビリティの計算も初期化されます。
// 例: 何らかの条件でFlatList全体をリセットする
const [listKey, setListKey] = useState(0);
const resetList = () => {
setListKey(prevKey => prevKey + 1); // keyを変更してコンポーネントを再マウント
};
return (
<View>
<Button title="リストをリセット" onPress={resetList} />
<FlatList
key={listKey} // keyが変更されるとFlatListが再マウントされる
data={data}
renderItem={...}
keyExtractor={...}
onViewableItemsChanged={...}
viewabilityConfig={...}
/>
</View>
);
注意点
この方法は、コンポーネント全体が破棄され再構築されるため、パフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。本当に必要な場合にのみ使用し、他のより洗練された方法(recordInteraction()
やviewabilityConfig
の調整)を優先すべきです。
FlatList
のビューアビリティ管理やパフォーマンスに根本的な課題がある場合、または非常に高度なカスタマイズが必要な場合は、以下の代替リストコンポーネントを検討することもできます。これらのライブラリは、独自のビューアビリティトラッカーを内部で持っており、FlatList.recordInteraction()
のようなメソッドとは異なるアプローチでビューアビリティを管理する可能性があります。
-
RecyclerListView
(Flipkart製):- Androidの
RecyclerView
やiOSのUICollectionView
にインスパイアされており、非常に高いパフォーマンスを誇ります。 - より複雑なセットアップが必要になりますが、最大限の最適化を求める場合に検討されます。
- Androidの
-
FlashList
(Shopify製):FlatList
のドロップイン代替として設計されており、特に大規模なリストで優れたパフォーマンスを発揮します。- ビューのリサイクルメカニズムがより効率的です。
- ほとんどの
FlatList
のプロップと互換性があります。 - ビューアビリティの挙動も
FlatList
よりも改善されている場合があります。
これらの外部ライブラリは、FlatList
のパフォーマンスボトルネックを解決する上で強力な選択肢となり得ます。しかし、導入には学習コストがかかることと、FlatList.recordInteraction()
のような直接的なメソッドは提供していない可能性がある点に注意が必要です。代わりに、より自動化されたビューアビリティ管理が期待されます。
FlatList.recordInteraction()
は特定のニッチな状況で役立つメソッドですが、その代替手段や関連する考慮事項を理解することが重要です。
- リストのパフォーマンスがボトルネックであり、標準の
FlatList
の機能では不十分な場合は、FlashList
やRecyclerListView
といった高パフォーマンスな代替ライブラリの導入を検討します。 - ごく稀なケースでコンポーネントのリセットが必要な場合は、
key
の変更も選択肢になりますが、パフォーマンスへの影響を考慮します。 - データ以外のステート変更でビューアビリティを再評価したい場合は、
extraData
の利用を検討します。 - まず、
viewabilityConfig
の設定を見直すことが最優先です。 これで多くの問題が解決します。