readLinesだけじゃない!R言語でファイルを読み込む多様な方法と使い分け

2025-05-27

readLines()関数とは

主な用途

  • ターミナルからの入力を受け取る(標準入力)。
  • ウェブサイトのURLからHTMLコンテンツを読み込む(コネクションとしてURLを指定)。
  • テキストファイルの内容をRに読み込む。

基本的な使い方

readLines()関数の最も基本的な構文は以下の通りです。

readLines(con, n = -1L, ok = TRUE, warn = TRUE, encoding = "unknown", skipNul = FALSE)

引数

  • skipNul: 論理値。ファイル内のNULLバイトをスキップするかどうかを制御します。デフォルトはFALSE(NULLバイトがあると警告が出て、そこで行の読み込みが終了)。
  • warn: 論理値。ファイルの最終行に改行コードがない場合や、ファイル内にNULL文字が含まれる場合に警告を表示するかどうかを制御します。デフォルトはTRUE
  • ok: 論理値。n > 0 の場合に、指定した行数に達する前にコネクションの終わりに達してもエラーにしないかどうかを制御します。デフォルトはTRUE(エラーにしない)。
  • n: 読み込む最大行数を指定する整数値です。
    • デフォルトは-1Lで、これはファイルまたはコネクションの最後まで全て読み込むことを意味します。
    • 特定の行数だけを読み込みたい場合は、その行数を指定します(例:n = 10 で最初の10行を読み込む)。
  • con: 読み込む対象を指定します。
    • ファイルパス(文字列): 読み込みたいテキストファイルのパスを文字列で指定します。例えば、"data.txt""C:/Users/user/documents/data.csv" など。
    • コネクションオブジェクト: file(), url(), gzfile() などで作成したコネクションオブジェクトを指定することもできます。これにより、より詳細な読み込み設定が可能です。

使用例

テキストファイルを読み込む

my_data.txt というファイルに以下の内容が保存されているとします。

Hello, R!
This is a test file.
Line 3.

このファイルを読み込むには、次のようにします。

# ファイルを作成(例として)
writeLines(c("Hello, R!", "This is a test file.", "Line 3."), "my_data.txt")

# ファイルを読み込む
data <- readLines("my_data.txt")
print(data)

出力:

[1] "Hello, R!"          "This is a test file." "Line 3."

特定の行数だけを読み込む

最初の2行だけを読み込みたい場合。

data_first_two_lines <- readLines("my_data.txt", n = 2)
print(data_first_two_lines)
[1] "Hello, R!"          "This is a test file."
こんにちは、世界!
Rで日本語を読み込むテストです。
# ファイルを作成(例として、UTF-8エンコーディングで保存)
writeLines(c("こんにちは、世界!", "Rで日本語を読み込むテストです。"), "japanese_text.txt", useBytes = TRUE)

# 日本語ファイルをUTF-8で読み込む
japanese_data <- readLines("japanese_text.txt", encoding = "UTF-8")
print(japanese_data)
[1] "こんにちは、世界!"            "Rで日本語を読み込むテストです。"

もしエンコーディングを正しく指定しないと、文字化けする可能性があります。

  • 大きなファイルの読み込み: 非常に大きなファイルをreadLines()で一度にすべてメモリに読み込むと、メモリを大量に消費する可能性があります。その場合は、n 引数で読み込む行数を制限したり、connection オブジェクトを使って少しずつ読み込んだりするなどの工夫が必要になることがあります。
  • 改行コード: readLines()は、LF (\n)、CRLF (\r\n)、CR (\r) のいずれも行の区切りとして認識します。
  • 戻り値の型: readLines()は、読み込んだ各行を要素とする文字ベクターを返します。各要素は1つの行に対応します。


エラー: "cannot open the connection" / "ファイルを開くことができません"

これは最も頻繁に発生するエラーの一つで、指定されたファイルが見つからない、またはアクセスできない場合に発生します。

原因

  • アクセス権の不足
    ファイルへの読み込み権限がない。
  • ファイルの存在しない
    指定した場所にファイルが存在しない。
  • カレントディレクトリの不一致
    Rスクリプトが実行されているディレクトリとファイルが異なる場所にある。
  • ファイルパスの誤り
    ファイル名やディレクトリ名が間違っている。

トラブルシューティング

    • フルパス(絶対パス)を使用する
      readLines("C:/Users/YourName/Documents/my_file.txt") のように、ファイルの完全なパスを指定します。これにより、カレントディレクトリの問題を回避できます。
    • バックスラッシュ(\)のエスケープ
      Windowsのパスでバックスラッシュを使用する場合、Rでは \ をエスケープするか、/ に置換する必要があります。例: C:\\Users\\... または C:/Users/...
    • ファイル名のタイプミス
      ファイル名が正確であることを再確認します(拡張子含む)。
    • 大文字・小文字の区別
      オペレーティングシステムによっては、ファイル名の大文字・小文字を区別します(特にLinuxやmacOS)。
  1. カレントディレクトリの確認

    • getwd() を実行して、現在のRのカレントディレクトリを確認します。
    • setwd("your/directory/path") を使用して、ファイルが存在するディレクトリにカレントディレクトリを変更します。
    • もしくは、RStudioを使用している場合は、プロジェクトを作成し、ファイルがそのプロジェクトディレクトリ内にあることを確認します。
  2. ファイルの存在確認

    • Rの file.exists("your_file.txt") 関数を使用して、ファイルが実際に存在するかどうかを確認します。FALSE が返される場合は、ファイルが存在しないか、パスが間違っています。
  3. アクセス権の確認

    • ファイルが保護されていないか、読み取り専用になっていないかを確認します。必要に応じて、ファイルのプロパティを変更します。
    • ネットワークドライブや共有フォルダにある場合、ネットワークの接続やアクセス権を確認します。

エラー: "incomplete final line found on '...' " / "最終行が不完全です"

これはエラーではなく警告ですが、Rがファイルの最終行の末尾に改行コード(\n)を見つけられなかった場合に発生します。

原因

  • ファイルの作成プロセスで、意図的に最終行の改行コードが省略された。
  • テキストエディタによっては、ファイルの最終行に自動的に改行コードを付加しない設定になっていることがあります。

トラブルシューティング

  • ファイルを作成し直す/編集する
    可能であれば、テキストエディタでファイルを開き、最終行の末尾に改行コードを追加して保存します。
  • ファイルの内容を確認する
    最終行が意図した通りに読み込まれているかを確認します。多くの場合、この警告が出てもデータ処理には影響ありませんが、場合によっては最終行の処理に注意が必要になることがあります。
  • warn = FALSE を設定する
    警告を無視しても問題ない場合、readLines("my_file.txt", warn = FALSE) とすることで警告表示を抑制できます。

エラー: 文字化け / エンコーディングの問題

原因

  • エンコーディングの不一致
    ファイルが保存されているエンコーディング(例: Shift-JIS, EUC-JP, UTF-8)と、readLines()で指定したエンコーディングが異なる。

トラブルシューティング

  • システムデフォルトのエンコーディングの確認
    • Rの Sys.getlocale("LC_CTYPE") で、Rがデフォルトで使用しているエンコーディングを確認できます。

エラー: メモリ不足 (特に大きなファイルを読み込む場合)

非常に大きなテキストファイル(数GB以上)をreadLines()で一度にすべて読み込もうとすると、Rのセッションがクラッシュしたり、メモリ不足のエラーが発生したりすることがあります。

原因

  • readLines()はデフォルトでファイルを全て読み込もうとするため、ファイルのサイズが利用可能なRAM容量を超える場合に発生します。

トラブルシューティング

  • read.table() や data.table::fread() の利用を検討する
    • もし読み込むファイルが構造化されたデータ(CSVなど)であれば、readLines()よりもread.table()や、さらに高速なdata.tableパッケージのfread()関数の方がメモリ効率が良く、柔軟なオプションも豊富です。これらの関数は、データの型推論やメモリ割り当てを効率的に行います。
  • コネクションオブジェクトとループ処理を組み合わせる
    • con <- file("large_file.txt", open = "r")
    • while (length(line <- readLines(con, n = 1)) > 0) {
    • # line を処理する
    • }
    • close(con)
    • このように、1行ずつ、あるいは数行ずつ読み込み、処理する形にすることで、メモリ消費を抑えられます。
  • n 引数で読み込む行数を制限する
    • readLines("large_file.txt", n = 1000) のように、一度に読み込む行数を制限し、ループ処理などで少しずつ読み込みます。

エラー: ファイルにNULLバイトが含まれる

稀に、テキストファイルにNULLバイト(\0)が含まれていることがあります。readLines()はデフォルトではNULLバイトを読み込むとそこで処理を停止し、警告を発します。

原因

  • ファイルの破損。
  • バイナリデータが誤ってテキストファイルに混入した。

トラブルシューティング

  • ファイルの内容を確認し、修正する
    • 可能であれば、テキストエディタやバイナリエディタでファイルを開き、NULLバイトを削除または修正します。
  • skipNul = TRUE を設定する
    • readLines("my_file_with_nulls.txt", skipNul = TRUE)
    • これにより、NULLバイトをスキップして読み込みを続行します。ただし、データの一部が欠損する可能性があるため、注意が必要です。


準備: サンプルファイルの作成

まず、以下の内容でsample_data.txtというファイルを作成し、カレントディレクトリに保存してください。

Header Line 1
Data A,10,True
Data B,20,False
Data C,30,True
Last line without newline
これは日本語のサンプルです。
Rでテキスト処理。
最終行です。

基本的なファイル読み込み

最も一般的な使い方です。ファイルの内容を全て読み込み、文字ベクターとして格納します。

# 1. ファイルのパスを指定して読み込む
file_path <- "sample_data.txt"
data_lines <- readLines(file_path)

# 読み込んだ内容を表示
print(data_lines)

出力例

[1] "Header Line 1"           "Data A,10,True"          "Data B,20,False"         "Data C,30,True"         
[5] "Last line without newline"

n引数を使って、ファイルの最初の数行だけを読み込むことができます。これは、大きなファイルのプレビューや、ヘッダー部分だけを読み込みたい場合に便利です。

# 最初の2行だけを読み込む
first_two_lines <- readLines("sample_data.txt", n = 2)
print(first_two_lines)

# 最後の行に改行がない場合の警告を抑制して最初の3行を読み込む
# (warn = FALSE を指定しないと "incomplete final line found" の警告が出る可能性がある)
first_three_lines_no_warn <- readLines("sample_data.txt", n = 3, warn = FALSE)
print(first_three_lines_no_warn)

出力例

[1] "Header Line 1"  "Data A,10,True"
[1] "Header Line 1"    "Data A,10,True"   "Data B,20,False"
# UTF-8エンコーディングで保存された日本語ファイルを読み込む
japanese_file_path <- "japanese_sample.txt"
japanese_data <- readLines(japanese_file_path, encoding = "UTF-8")
print(japanese_data)

# もしShift-JISで保存されたファイルであれば (Windows環境で多い)
# japanese_data_sjis <- readLines(japanese_file_path, encoding = "Shift-JIS")
# print(japanese_data_sjis)

出力例

[1] "これは日本語のサンプルです。" "Rでテキスト処理。"           "最終行です。"

ファイルが存在しない場合のエラーハンドリング

readLines()は、指定されたファイルが見つからない場合にエラーを発生させます。tryCatch()を使って、このエラーを捕捉し、プログラムがクラッシュするのを防ぐことができます。

non_existent_file <- "non_existent.txt"

# エラーハンドリングなしの場合 (Rが停止する)
# readLines(non_existent_file)

# tryCatch を使ったエラーハンドリング
result <- tryCatch({
  readLines(non_existent_file)
}, error = function(e) {
  message("エラーが発生しました: ", e$message)
  return(NULL) # エラー時にNULLを返す
})

if (is.null(result)) {
  message("ファイルの読み込みに失敗しました。")
} else {
  print(result)
}

# 存在するファイルの場合
result_success <- tryCatch({
  readLines("sample_data.txt")
}, error = function(e) {
  message("エラーが発生しました: ", e$message)
  return(NULL)
})
if (!is.null(result_success)) {
  message("ファイルの読み込みに成功しました。")
  # print(result_success)
}

出力例

エラーが発生しました: cannot open the connection
ファイルの読み込みに失敗しました。
ファイルの読み込みに成功しました。

ヘッダーをスキップしてデータ部分を読み込む

CSVファイルなどで、最初の数行がヘッダー情報で、その後にデータが続く場合、readLines()で全体を読み込み、不要な行をスキップして処理することができます。

# ヘッダーが1行あると仮定
data_with_header <- readLines("sample_data.txt")

# 最初の行(ヘッダー)をスキップしてデータ部分だけを取得
data_only <- data_with_header[-1]
print(data_only)

# さらに、各行をカンマで分割してデータフレームにする (例)
# `strsplit` で各行をカンマで分割
# `sapply` でリストをマトリックスに変換
# `as.data.frame` でデータフレームに変換
parsed_data <- do.call(rbind, strsplit(data_only, ","))
df <- as.data.frame(parsed_data, stringsAsFactors = FALSE)
colnames(df) <- c("Category", "Value", "Status") # 仮の列名

print(df)
str(df) # データの構造を確認

出力例

[1] "Data A,10,True"          "Data B,20,False"         "Data C,30,True"         
[4] "Last line without newline"
  Category Value Status
1    Data A    10   True
2    Data B    20  False
3    Data C    30   True
4    Last line without newline    <NA>   <NA>
'data.frame':   4 obs. of  3 variables:
 $ Category: chr  "Data A" "Data B" "Data C" "Last line without newline"
 $ Value   : chr  "10" "20" "30" NA
 $ Status  : chr  "True" "False" "True" NA


Last line without newline の行はカンマ区切りになっていないため、strsplitNAが生成されています。これは意図的な動作です。

ウェブサイトのHTMLコンテンツを読み込む

url()関数と組み合わせて、ウェブサイトのHTMLコンテンツを読み込むことができます。

# GoogleのトップページのHTMLを読み込む (数行だけ)
# 注意: ウェブサイトの構造変更やブロックされる可能性があります
# 必ず利用規約に従ってアクセスしてください

# URLを接続オブジェクトとして開く
con_url <- url("https://www.google.com/", open = "r")

# 最初の10行を読み込む
google_html_head <- readLines(con_url, n = 10)

# 接続を閉じる
close(con_url)

print(google_html_head)

出力例 (内容はその時のGoogleのHTMLによって異なります)

[1] "<!doctype html><html itemscope=\"\" itemtype=\"http://schema.org/WebPage\" lang=\"ja\"><head><meta content=\"...
[2] "<meta charset=\"UTF-8\">"                                                                                   
[3] "<meta content=\"/images/branding/googleg/1x/googleg_standard_color_128dp.png\" itemprop=\"image\">"          
[4] "<title>Google</title>"                                                                                      
[5] "<script nonce=\"...\">(function(){window.google.sa_gl=function(a,b){if(a.href.indexOf(\"javascript:\")==0...
...

大容量ファイルをチャンク(塊)で読み込む

メモリに一度にすべてを読み込むことが難しい大きなファイルの場合、readLines()file()を組み合わせて、行単位または指定した行数ずつ読み込み、処理することができます。

# 巨大なファイルのシミュレーション
# (ここでは簡単なループで10000行のファイルを作成)
large_file_path <- "large_dummy_data.txt"
writeLines(paste("Line", 1:10000), large_file_path)

# コネクションを開く
con <- file(large_file_path, "r")

# 読み込んだ行を格納するリスト
processed_data <- list()
chunk_size <- 1000 # 1000行ずつ読み込む

# ループでチャンクごとに読み込みと処理
line_count <- 0
while (TRUE) {
  # 指定された行数だけ読み込む
  lines_chunk <- readLines(con, n = chunk_size)
  
  # 読み込む行がなければループを終了
  if (length(lines_chunk) == 0) {
    break
  }
  
  line_count <- line_count + length(lines_chunk)
  message(paste("読み込み中:", line_count, "行目まで"))
  
  # ここで lines_chunk を処理する(例: フィルター、集計など)
  # 処理結果をリストに追加
  processed_data[[length(processed_data) + 1]] <- lines_chunk
}

# 接続を閉じるのを忘れない
close(con)

message("ファイル読み込み完了。")
# processed_data の中身を確認 (例: 最初のチャンク)
# print(processed_data[[1]])

# 不要になったダミーファイルを削除
unlink(large_file_path)
読み込み中: 1000 行目まで
読み込み中: 2000 行目まで
...
読み込み中: 10000 行目まで
ファイル読み込み完了。


readLines()は行単位でデータを読み込むのに適していますが、特定のデータ構造(CSV、表形式データ、JSONなど)を扱う場合や、より高速な処理が必要な場合には、他の関数の方が適していることがよくあります。

read.table() / read.csv() / read.delim() (base R)

これらは、Rのベースパッケージに含まれる、最も一般的な表形式データ(tabular data)を読み込むための関数群です。CSV (Comma Separated Values) やTSV (Tab Separated Values) など、区切り文字で区切られたデータをデータフレームとして直接読み込みます。

特徴

  • 自動型変換
    各列のデータを数値、文字列、論理値などに自動的に変換しようとします。
  • 多様なオプション
    区切り文字の指定 (sep)、ヘッダーの有無 (header)、コメント行の指定 (comment.char)、文字列のクォート (quote)、欠損値の指定 (na.strings)、データ型の指定 (colClasses) など、非常に多くのオプションがあります。
  • 表形式データに最適
    構造化されたデータをデータフレームとして効率的に読み込めます。

readLines()との違い

  • readLines()は全行を文字ベクターとして読み込むのに対し、これらの関数はデータを解析し、適切なデータ型を持つデータフレームとして直接読み込みます。

使用例
my_data.csvというファイルに以下の内容があるとします。

Name,Age,City
Alice,30,New York
Bob,24,London
Charlie,35,Paris
# CSVファイルを読み込む
df_csv <- read.csv("my_data.csv")
print(df_csv)
str(df_csv)

# 区切り文字がタブの場合 (read.delim)
# df_tsv <- read.delim("my_data.tsv")

# 区切り文字を明示的に指定する場合 (read.table)
# df_table <- read.table("my_data.txt", sep = ",", header = TRUE)

出力例

     Name Age      City
1   Alice  30  New York
2     Bob  24    London
3 Charlie  35     Paris
'data.frame':   3 obs. of  3 variables:
 $ Name: chr  "Alice" "Bob" "Charlie"
 $ Age : int  30 24 35
 $ City: chr  "New York" "London" "Paris"

data.table::fread() (data.tableパッケージ)

data.tableパッケージのfread()関数は、大量の表形式データを非常に高速に読み込むために設計されています。特に大きなCSVファイルを扱う場合に、read.csv()よりも格段に高速で、メモリ効率も良いことが多いです。

特徴

  • URLからの直接読み込み
    HTTP/HTTPSやFTPからのURLを直接指定して読み込むことができます。
  • 自動検出
    区切り文字、ヘッダー、列の型などを自動的に高い精度で検出します。
  • メモリ効率
    メモリ使用量も最適化されています。
  • 高速
    C言語で実装されており、並列処理も利用できるため、非常に高速です。

readLines()との違い

  • readLines()よりもはるかに高速かつメモリ効率が良く、特にデータフレームとしてデータを扱いたい場合に最適です。

使用例

# data.table パッケージをインストール (まだの場合)
# install.packages("data.table")
library(data.table)

# CSVファイルを高速に読み込む
df_dt <- fread("my_data.csv")
print(df_dt)
str(df_dt)

出力例 (data.tableオブジェクトとして)

      Name Age      City
1:   Alice  30  New York
2:     Bob  24    London
3: Charlie  35     Paris
Classes ‘data.table’ and 'data.frame':	3 obs. of  3 variables:
 $ Name: chr  "Alice" "Bob" "Charlie"
 $ Age : int  30 24 35
 $ City: chr  "New York" "London" "Paris"
 - attr(*, ".internal.selfref")=<externalptr> 

readr::read_csv() / readr::read_tsv() など (readrパッケージ)

readrパッケージ(tidyverseの一部)の関数は、read.csv()の現代的な代替であり、高速で使いやすく、一貫性のあるインターフェースを提供します。読み込み時に問題が発生した際のメッセージも分かりやすいです。

特徴

  • 文字列の扱い
    デフォルトで文字列をファクターに変換しない (stringsAsFactors = FALSEがデフォルト)。
  • 型推論と報告
    列の型をどのように推論したか、読み込み中に問題がなかったかなどを詳細に報告します。
  • 一貫性
    tidyverseの他の関数との連携がスムーズ。
  • 高速
    data.table::fread()ほどではないが、base::read.csv()より高速。

readLines()との違い

  • readLines()が行単位の生データを提供するのに対し、readrの関数は構造化されたデータをデータフレームとして整形して提供します。

使用例

# readr パッケージをインストール (まだの場合)
# install.packages("readr")
library(readr)

# CSVファイルを読み込む
df_readr <- read_csv("my_data.csv")
print(df_readr)
str(df_readr)

出力例

Rows: 3 Columns: 3
── Column specification ────────────────────────────────────────────────────────
Delimiter: ","
chr (2): Name, City
dbl (1): Age

 Use `spec()` to retrieve the full column specification for this data.
 Specify the column types or set `show_col_types = FALSE` to quiet this message.
# A tibble: 3 × 3
  Name      Age City    
  <chr>   <dbl> <chr>   
1 Alice      30 New York
2 Bob        24 London  
3 Charlie    35 Paris   
tibble [3 × 3] (S3: tbl_df/tbl/data.frame)
 $ Name: chr [1:3] "Alice" "Bob" "Charlie"
 $ Age : num [1:3] 30 24 35
 $ City: chr [1:3] "New York" "London" "Paris"

jsonlite::fromJSON() (JSONデータ)

JSON (JavaScript Object Notation) 形式のデータをRに読み込む場合、jsonliteパッケージのfromJSON()関数が非常に便利です。readLines()でJSONファイルを読み込み、jsonlite::parse_json()などでパースすることも可能ですが、fromJSON()はより直接的です。

特徴

  • ネストされた構造の処理
    ネストされたJSONオブジェクトも適切に処理します。
  • JSONデータのRオブジェクトへの変換
    JSON構造を、リスト、データフレーム、ベクターなどの適切なRオブジェクトに変換します。

使用例
my_data.jsonというファイルに以下の内容があるとします。

[
  {"name": "Alice", "age": 30, "city": "New York"},
  {"name": "Bob", "age": 24, "city": "London"}
]
# jsonlite パッケージをインストール (まだの場合)
# install.packages("jsonlite")
library(jsonlite)

# JSONファイルを読み込む
json_data <- fromJSON("my_data.json")
print(json_data)
str(json_data)

出力例

   name age     city
1 Alice  30 New York
2   Bob  24   London
'data.frame':   2 obs. of  3 variables:
 $ name: chr  "Alice" "Bob"
 $ age : int  30 24
 $ city: chr  "New York" "London"

xml2::read_xml() (XMLデータ)

XML (Extensible Markup Language) 形式のデータをRに読み込む場合、xml2パッケージのread_xml()関数が標準的です。

特徴

  • XPathサポート
    XPathを使って、XMLドキュメント内の特定の要素を簡単に抽出できます。
  • XMLドキュメントの解析
    XML構造をRのXMLノードオブジェクトとして解析します。

使用例
my_data.xmlというファイルに以下の内容があるとします。

<people>
  <person id="1">
    <name>Alice</name>
    <age>30</age>
  </person>
  <person id="2">
    <name>Bob</name>
    <age>24</age>
  </person>
</people>
# xml2 パッケージをインストール (まだの場合)
# install.packages("xml2")
library(xml2)

# XMLファイルを読み込む
xml_doc <- read_xml("my_data.xml")
print(xml_doc)

# 例: XPathを使って名前を抽出
names <- xml_text(xml_find_all(xml_doc, "//name"))
print(names)
{xml_document}
<people>
[1] <person id="1">\n  <name>Alice</name>\n  <age>30</age>\n</person>
[2] <person id="2">\n  <name>Bob</name>\n  <age>24</age>\n</person>
[1] "Alice" "Bob"
  • read_xml() (xml2): XML形式のデータをRオブジェクトとして読み込みたい場合に特化しています。
  • fromJSON() (jsonlite): JSON形式のデータをRオブジェクトとして読み込みたい場合に特化しています。
  • read_csv() (readr): read.csv()の現代的な代替で、速度と使いやすさのバランスが良く、tidyverseユーザーに推奨されます。
  • fread() (data.table): 大容量のCSV/TSVファイルを最速かつメモリ効率良く読み込みたい場合に最適な選択肢です。
  • read.csv() / read.table() (base R): CSVやTSVなどの区切り文字形式のデータを手軽にデータフレームとして読み込みたい場合に適しています。
  • readLines(): テキストファイルを「行」として、そのままの文字列として読み込みたい場合に最適です。特に、ファイルの形式が複雑で、行ごとにカスタムパースが必要な場合や、非構造化テキスト(ログファイルなど)を扱う場合に有用です。