QListWidget::insertItem()だけじゃない！Qtリスト項目操作の代替メソッド

このメソッドは、指定した行 (インデックス) に項目を挿入することができます。QListWidget は内部的に項目のリストを持っており、insertItem() を使うことで、そのリストの特定の位置に新しい項目を追加できます。

QListWidget::insertItem() には主に2つのオーバーロードがあります。

1. • row: 項目を挿入する行のインデックス (0から始まります)。
   • item: 挿入する QListWidgetItem オブジェクトへのポインタ。QListWidget はこの項目の所有権を引き継ぎます。

2. void QListWidget::insertItem(int row, const QString &label)

   • row: 項目を挿入する行のインデックス。
   • label: 挿入する項目のテキストとして使用される QString。このオーバーロードを使用すると、内部的に新しい QListWidgetItem が作成されます。

使用例

#include <QApplication>
#include <QListWidget>
#include <QListWidgetItem>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);
    QListWidget *listWidget = new QListWidget();

    // 項目をいくつか追加
    listWidget->addItem("Apple");
    listWidget->addItem("Banana");
    listWidget->addItem("Cherry");

    // 0番目の行に新しい項目を挿入
    listWidget->insertItem(0, "Grape"); // 既存の項目は下にずれる

    // 2番目の行にカスタムQListWidgetItemを挿入
    QListWidgetItem *orangeItem = new QListWidgetItem("Orange");
    // 必要であれば、ここでorangeItemのプロパティ（アイコン、チェック状態など）を設定
    listWidget->insertItem(2, orangeItem);

    layout->addWidget(listWidget);
    window.setLayout(layout);
    window.show();

    return app.exec();
}

上記のコードを実行すると、QListWidget に以下の順序で項目が表示されます。

• Cherry
• Banana
• Orange
• Apple
• Grape

• パフォーマンス: 大量の項目を一度に挿入する場合、insertItems() (複数の QString をリストで一括挿入) や、一度 QListWidget の setUpdatesEnabled(false) を呼び出して更新を一時停止し、挿入後に setUpdatesEnabled(true) を呼び出すことで、パフォーマンスを向上させることができます。
• addItem() との違い: addItem() は項目をリストの末尾に追加するのに対し、insertItem() は指定した位置に項目を挿入します。
• ソート機能との関連: QListWidget::isSortingEnabled() が true の場合、insertItem() で項目を挿入しても、指定した row に正確に挿入されるのではなく、ソート順に従って適切な位置に配置されます。明示的な挿入位置を尊重したい場合は、ソートを無効にするか、QListWidget::setSortingEnabled(false) を呼び出す必要があります。
• 所有権の引き継ぎ: QListWidgetItem *item を引数に取るオーバーロードを使用する場合、QListWidget は挿入された QListWidgetItem オブジェクトの所有権を引き継ぎます。つまり、QListWidget が破棄される際に、その項目も自動的に解放されます。手動で delete item; を呼び出す必要はありません。

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QListWidgetItem の所有権の問題 (Use-after-free / Double-free)

エラーの状況
QListWidgetItem *item を引数に取る insertItem() オーバーロードを使用する際に、QListWidget が項目の所有権を引き継ぐことを理解していないと発生します。

• Double-free
  insertItem() で項目を挿入した後、別の場所で誤って再度 delete item; を呼び出すと、既に解放されたメモリを二重に解放しようとしてクラッシュします。
• Use-after-free
  insertItem() で項目を挿入した後、自分で delete item; を呼び出してしまうと、QListWidget が後でその項目にアクセスしようとしたときに、既に解放されたメモリにアクセスしようとしてクラッシュします。

トラブルシューティング

• QListWidgetItem をスタック上に作成して insertItem() に渡すことはできません（ポインタを期待しているため）。ヒープに作成する必要があります (new QListWidgetItem(...))。
• 原則
  QListWidget::insertItem(int row, QListWidgetItem *item) で項目を挿入する場合、QListWidget がその QListWidgetItem オブジェクトの所有権を引き継ぎます。したがって、挿入後に手動で delete item; を呼び出してはいけません。QListWidget が破棄される際に、内部的に項目も解放されます。

悪い例

QListWidgetItem *myListItem = new QListWidgetItem("My Item");
listWidget->insertItem(0, myListItem);
delete myListItem; // ここでエラー！QListWidgetが所有権を持っている

正しい例

QListWidgetItem *myListItem = new QListWidgetItem("My Item");
listWidget->insertItem(0, myListItem);
// delete myListItem; を呼び出してはいけません！

ソートが有効になっている場合の予期しない挿入位置

エラーの状況
QListWidget のソートが有効になっている (listWidget->isSortingEnabled() が true) にもかかわらず、insertItem(row, ...) で指定した row に項目が挿入されない。代わりに、ソート順に従って別の位置に挿入される。

トラブルシューティング

• ソートされた状態で項目を追加したい場合は、addItem() を使用し、QListWidget にソート順に従って配置させるのが適切です。
• もし明示的に指定した row に項目を挿入したい場合は、挿入する前にソートを一時的に無効にします。

  bool wasSortingEnabled = listWidget->isSortingEnabled();
  if (wasSortingEnabled) {
      listWidget->setSortingEnabled(false);
  }
  
  listWidget->insertItem(2, "New Item at index 2");
  
  if (wasSortingEnabled) {
      listWidget->setSortingEnabled(true); // ソートを元に戻す
      listWidget->sortItems(); // 必要であれば手動で再ソート
  }
  

• QListWidget::insertItem() は、QListWidget::isSortingEnabled() が false の場合にのみ、指定された row を正確に尊重します。

無効なインデックス (範囲外エラー)

エラーの状況
insertItem(row, ...) で、row が 0 未満、または現在の項目数より大きい値を指定してしまう。

トラブルシューティング

• 通常、QListWidget は無効なインデックスが指定された場合でもクラッシュせず、単に項目を挿入しないか、末尾に挿入するなどのフォールバック動作をすることが多いですが、意図した動作ではないため、インデックスの範囲チェックは重要です。
• row が 0 の場合、項目はリストの先頭に追加されます。
• row が count() の場合、項目はリストの末尾に追加されます (addItem() と同じ挙動)。
• row は 0 から count() (現在の項目数) までの範囲である必要があります。

パフォーマンスの問題 (大量の項目挿入)

エラーの状況
ループ内で insertItem() を使って非常に多くの項目を一つずつ挿入すると、UIのフリーズや処理速度の低下が発生する。

トラブルシューティング

• モデル/ビュープログラミングの検討
  非常に大規模なデータセットを扱う場合は、QListWidget よりも QListView とカスタムの QAbstractListModel を組み合わせたモデル/ビュープログラミングのアプローチを検討すべきです。これにより、データと表示を分離し、より高度な最適化と柔軟性を実現できます。
• insertItems() の使用
  複数の QString を一括で挿入したい場合は、QListWidget::insertItems(int row, const QStringList &labels) を使用すると、内部的に最適化されているため効率的です。
• 更新の抑制
  大量の項目を挿入する前に、QListWidget::setUpdatesEnabled(false) を呼び出してUIの更新を一時的に停止します。すべての項目を挿入し終えた後に setUpdatesEnabled(true) を呼び出し、UIを再描画します。

  listWidget->setUpdatesEnabled(false); // UI更新を一時停止
  
  for (int i = 0; i < 10000; ++i) {
      listWidget->insertItem(i, QString("Item %1").arg(i));
  }
  
  listWidget->setUpdatesEnabled(true); // UI更新を再開
  listWidget->update(); // 必要であれば強制的に更新
  

エラーの状況
QListWidgetItem を作成して挿入したが、表示されるテキストやアイコン、チェックボックスの状態などが期待通りにならない。

• カスタムの表示が必要な場合は、QListWidgetItem のサブクラス化や、QListWidget::setItemWidget() を使用して任意のウィジェットを項目として設定することを検討してください。
• setText(), setIcon(), setCheckState() などのメソッドを使って、項目が QListWidget に挿入される前に適切にプロパティを設定しているか確認してください。
• QListWidgetItem のコンストラクタでテキストを指定しない場合、または空の文字列を指定した場合、テキストは表示されません。

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すべての例を実行するには、Qt の開発環境がセットアップされている必要があります。以下は一般的なプロジェクトの構成です。

main.cpp

#include <QApplication>
#include <QListWidget>
#include <QListWidgetItem>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QPushButton> // 例3用
#include <QLabel>      // 例3用

// 例1: 基本的な挿入
void example1();
// 例2: カスタムQListWidgetItemの挿入
void example2();
// 例3: UI操作とソートの考慮
void example3();

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // 実行したい例の関数を呼び出す
    // example1();
    // example2();
    example3(); // 例3を実行するには、コメントを解除してください

    return app.exec();
}

例1: 基本的な挿入

この例では、insertItem() の最も基本的な使い方を示します。文字列と QListWidgetItem オブジェクトの両方を挿入します。

// main.cpp 内に記述

void example1() {
    QWidget *window = new QWidget();
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(window);
    QListWidget *listWidget = new QListWidget();

    listWidget->setWindowTitle("Example 1: Basic Insert");

    // 最初にいくつかの項目を追加
    listWidget->addItem("Apple");
    listWidget->addItem("Banana");
    listWidget->addItem("Cherry");
    listWidget->addItem("Date");

    qDebug() << "Initial items count:" << listWidget->count();
    // 出力例: Initial items count: 4

    // --- insertItem(int row, const QString &label) の使用 ---
    // 0番目のインデックスに "Grape" を挿入
    // Apple, Banana, Cherry, Date が Grape, Apple, Banana, Cherry となる
    listWidget->insertItem(0, "Grape");
    qDebug() << "After inserting 'Grape' at index 0:";
    for (int i = 0; i < listWidget->count(); ++i) {
        qDebug() << "  " << i << ":" << listWidget->item(i)->text();
    }
    // 出力例:
    //   0: Grape
    //   1: Apple
    //   2: Banana
    //   3: Cherry
    //   4: Date

    // 2番目のインデックスに "Fig" を挿入
    // Grape, Apple, Banana, Cherry, Date が Grape, Apple, Fig, Banana, Cherry, Date となる
    listWidget->insertItem(2, "Fig");
    qDebug() << "After inserting 'Fig' at index 2:";
    for (int i = 0; i < listWidget->count(); ++i) {
        qDebug() << "  " << i << ":" << listWidget->item(i)->text();
    }
    // 出力例:
    //   0: Grape
    //   1: Apple
    //   2: Fig
    //   3: Banana
    //   4: Cherry
    //   5: Date

    // --- insertItem(int row, QListWidgetItem *item) の使用 ---
    // カスタムの QListWidgetItem を作成し、4番目のインデックスに挿入
    QListWidgetItem *orangeItem = new QListWidgetItem("Orange (Custom)");
    // 必要であれば、ここで項目のプロパティを設定できます
    orangeItem->setToolTip("This is a custom item.");
    listWidget->insertItem(4, orangeItem);
    qDebug() << "After inserting 'Orange (Custom)' at index 4:";
    for (int i = 0; i < listWidget->count(); ++i) {
        qDebug() << "  " << i << ":" << listWidget->item(i)->text();
    }
    // 出力例:
    //   0: Grape
    //   1: Apple
    //   2: Fig
    //   3: Banana
    //   4: Orange (Custom)
    //   5: Cherry
    //   6: Date

    layout->addWidget(listWidget);
    window->setLayout(layout);
    window->resize(300, 400);
    window->show();
    // window は main 関数で app.exec() の後に delete されますが、
    // 簡単な例のため、ここでは明示的に delete しません。
    // 実際のアプリケーションでは、適切なオブジェクトライフサイクル管理が必要です。
}

例2: カスタム QListWidgetItem の挿入とプロパティ設定

この例では、QListWidgetItem を詳細にカスタマイズして挿入する方法を示します。アイコン、チェックボックスの状態、フォントなどを設定できます。

// main.cpp 内に記述

void example2() {
    QWidget *window = new QWidget();
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(window);
    QListWidget *listWidget = new QListWidget();

    listWidget->setWindowTitle("Example 2: Custom QListWidgetItem");

    // 項目をいくつか追加
    listWidget->addItem("Item 1: Default");
    listWidget->addItem("Item 2: Unchecked");

    // --- カスタム QListWidgetItem の作成と挿入 ---

    // 0番目のインデックスにアイコン付きの項目を挿入
    QListWidgetItem *iconItem = new QListWidgetItem(QIcon(":/qt-project.org/qmessagebox/images/info.png"), "Info Item");
    // Qt標準のアイコンパスは環境依存で動かない場合があるので注意
    // 自分でPNGファイルなどを用意し、Qtリソースシステムで :/<path_to_your_icon.png> とする方が確実です
    // 例: QListWidgetItem *iconItem = new QListWidgetItem(QIcon(":/icons/my_icon.png"), "Info Item");
    listWidget->insertItem(0, iconItem);

    // 2番目のインデックスにチェック可能な項目を挿入
    QListWidgetItem *checkableItem = new QListWidgetItem("Checkable Item");
    checkableItem->setFlags(checkableItem->flags() | Qt::ItemIsUserCheckable); // チェック可能にするフラグ
    checkableItem->setCheckState(Qt::Checked); // デフォルトでチェック状態に設定
    listWidget->insertItem(2, checkableItem);

    // 5番目のインデックスにフォントと色を設定した項目を挿入
    QListWidgetItem *styledItem = new QListWidgetItem("Styled Item");
    QFont font;
    font.setItalic(true);
    font.setBold(true);
    font.setPointSize(12);
    styledItem->setFont(font);
    styledItem->setForeground(QBrush(Qt::blue)); // テキスト色を青に
    styledItem->setBackground(QBrush(QColor("#E0FFFF"))); // 背景色を水色に
    listWidget->insertItem(5, styledItem); // 5番目のインデックスは既存の項目数より大きい可能性があるが、末尾に追加される

    layout->addWidget(listWidget);
    window->setLayout(layout);
    window->resize(350, 400);
    window->show();
}

注
QIcon(":/qt-project.org/qmessagebox/images/info.png") はQtの内部リソースパスであり、通常はアプリケーションで直接使用できません。代わりに、独自のアイコンファイル（例: my_icon.png）をプロジェクトのリソースファイル（.qrc）に追加し、そのパス（例: :/icons/my_icon.png）を使用するのが一般的です。

この例では、ボタンクリックで動的に項目を挿入し、QListWidget のソート機能が insertItem() に与える影響を示します。

// main.cpp 内に記述

void example3() {
    QWidget *window = new QWidget();
    QVBoxLayout *mainLayout = new QVBoxLayout(window);

    QLabel *infoLabel = new QLabel("Click 'Insert at 0' to add item to top, 'Insert at 2' to add to index 2.\n'Toggle Sort' to enable/disable sorting.");
    mainLayout->addWidget(infoLabel);

    QListWidget *listWidget = new QListWidget();
    listWidget->setWindowTitle("Example 3: UI Operation and Sorting");
    mainLayout->addWidget(listWidget);

    QPushButton *insertAt0Button = new QPushButton("Insert at 0 (dynamic)");
    mainLayout->addWidget(insertAt0Button);

    QPushButton *insertAt2Button = new QPushButton("Insert at 2 (dynamic)");
    mainLayout->addWidget(insertAt2Button);

    QPushButton *toggleSortButton = new QPushButton("Toggle Sort Enabled");
    mainLayout->addWidget(toggleSortButton);

    // 初期項目
    listWidget->addItem("Gamma");
    listWidget->addItem("Alpha");
    listWidget->addItem("Delta");
    listWidget->addItem("Beta");

    // 動的に項目を挿入するカウンタ
    int itemCounter = 0;

    // --- スロットとシグナルの接続 ---

    // 「Insert at 0」ボタンがクリックされたら、常にリストの先頭に項目を挿入
    QObject::connect(insertAt0Button, &QPushButton::clicked, [listWidget, &itemCounter]() {
        QString newItemText = QString("New Item %1 (0)").arg(itemCounter++);
        listWidget->insertItem(0, newItemText);
        qDebug() << "Inserted '" << newItemText << "' at index 0. Current sorting enabled:" << listWidget->isSortingEnabled();
    });

    // 「Insert at 2」ボタンがクリックされたら、2番目のインデックスに項目を挿入
    QObject::connect(insertAt2Button, &QPushButton::clicked, [listWidget, &itemCounter]() {
        QString newItemText = QString("New Item %1 (2)").arg(itemCounter++);
        // ソートが有効な場合でも、指定されたインデックスに挿入したい場合は、一時的にソートを無効にする
        bool wasSortingEnabled = listWidget->isSortingEnabled();
        if (wasSortingEnabled) {
            listWidget->setSortingEnabled(false);
        }

        listWidget->insertItem(2, newItemText);

        if (wasSortingEnabled) {
            listWidget->setSortingEnabled(true);
            listWidget->sortItems(); // 再度ソートを有効にした後、必要であれば手動でソート
        }
        qDebug() << "Inserted '" << newItemText << "' at index 2 (with sort consideration). Current sorting enabled:" << listWidget->isSortingEnabled();
    });


    // 「Toggle Sort Enabled」ボタンでソートの有効/無効を切り替える
    QObject::connect(toggleSortButton, &QPushButton::clicked, [listWidget]() {
        bool isSortingEnabled = !listWidget->isSortingEnabled();
        listWidget->setSortingEnabled(isSortingEnabled);
        if (isSortingEnabled) {
            listWidget->sortItems(); // ソートを有効にしたら手動でソートを実行
            qDebug() << "Sorting enabled and items sorted.";
        } else {
            qDebug() << "Sorting disabled.";
        }
    });

    window->setLayout(mainLayout);
    window->resize(400, 500);
    window->show();
}

• ソートの一時的な無効化
  insertAt2Button のスロットでは、ソートが有効な場合でも指定した位置に挿入するために、setSortingEnabled(false) で一時的にソートを無効にし、挿入後に再度有効にして sortItems() で再ソートしています。これは、ソートが有効な状態で特定の位置に項目を強制的に挿入したい場合の一般的なパターンです。
• ソートの影響
  toggleSortButton をクリックしてソートの状態を切り替えることで、insertItem() の挙動がどのように変わるかを確認できます。
  • ソートが無効の場合、insertItem(0, ...) は常に一番上に、insertItem(2, ...) は常に3番目の位置に挿入されます。
  • ソートが有効な場合、insertItem(0, ...) や insertItem(2, ...) を呼び出しても、項目はそのテキストのソート順に従って適切な位置に挿入されます。明示的な位置指定は無視されます。
• 動的な挿入
  ボタンクリックによって項目が追加されることを示します。

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QListWidget::addItem()

これは最も一般的でシンプルな方法です。項目をリストの末尾に追加します。

• 使用例
  

  QListWidget *listWidget = new QListWidget();
  listWidget->addItem("Apple"); // リストの末尾に追加
  listWidget->addItem("Banana");
  QListWidgetItem *item = new QListWidgetItem("Cherry");
  listWidget->addItem(item); // QListWidgetItem オブジェクトを追加
  

• デメリット
  特定の位置に挿入することはできません。常に末尾に追加されます。

• メリット
  

  • 非常にシンプルで使いやすい。
  • insertItem() と同様に、文字列を渡すだけで QListWidgetItem を自動で生成してくれるオーバーロードもあります。

• 機能
  リストウィジェットの最後に新しい項目を追加します。

複数の文字列項目を一度にリストの末尾に追加するのに便利です。

• 使用例
  

  QListWidget *listWidget = new QListWidget();
  QStringList fruits;
  fruits << "Apple" << "Banana" << "Cherry";
  listWidget->addItems(fruits); // 一括で末尾に追加
  

• デメリット
  特定の位置に挿入することはできません。常に末尾に追加されます。

• メリット
  複数の項目を効率的に追加でき、ループで addItem() を複数回呼び出すよりもパフォーマンスが良い場合があります。

• 機能
  QStringList (文字列のリスト) を受け取り、その中のすべての項目をリストウィジェットの末尾に一括で追加します。

QListWidget::insertItems()

複数の文字列項目を一度に指定した位置に挿入するのに便利です。insertItem() の複数項目版です。

• 使用例
  

  QListWidget *listWidget = new QListWidget();
  listWidget->addItem("First");
  listWidget->addItem("Last");
  
  QStringList middleItems;
  middleItems << "Middle1" << "Middle2" << "Middle3";
  
  // 1番目のインデックスからmiddleItemsを挿入
  // 結果: First, Middle1, Middle2, Middle3, Last
  listWidget->insertItems(1, middleItems);
  

• デメリット
  QListWidgetItem オブジェクトを直接挿入することはできず、文字列のみを扱います。

• メリット
  複数の項目を特定の開始位置から効率的に挿入できます。

• 機能
  指定された行インデックスから QStringList 内のすべての項目を挿入します。

QListWidget::setItemWidget() (項目にカスタムウィジェットを設定する)

これは項目そのものを QListWidgetItem ではなく、任意の QWidget に置き換えたい場合に非常に強力な方法です。

• 使用例
  

  QListWidget *listWidget = new QListWidget();
  
  // 項目を作成
  QListWidgetItem *item1 = new QListWidgetItem(listWidget); // listWidgetを親として作成すると自動で追加される
  item1->setText("Item with a button"); // テキストはQListWidgetItemに設定しておく
  listWidget->insertItem(0, item1); // insertItemで項目を挿入
  
  // カスタムウィジェットを作成
  QWidget *widget1 = new QWidget();
  QHBoxLayout *hLayout1 = new QHBoxLayout(widget1);
  QLabel *label1 = new QLabel("Data:");
  QPushButton *button1 = new QPushButton("Action");
  hLayout1->addWidget(label1);
  hLayout1->addWidget(button1);
  hLayout1->setContentsMargins(0, 0, 0, 0); // マージンを調整してスペースを節約
  
  listWidget->setItemWidget(item1, widget1); // item1 に widget1 を設定
  
  // 別のカスタム項目
  QListWidgetItem *item2 = new QListWidgetItem(listWidget);
  item2->setText("Another custom item");
  listWidget->insertItem(1, item2); // insertItemで項目を挿入
  
  QLabel *label2 = new QLabel("This is a fancy custom item!");
  label2->setStyleSheet("QLabel { background-color: lightblue; padding: 5px; }");
  listWidget->setItemWidget(item2, label2);
  
  // リストウィジェットのサイズヒントを調整しないと、カスタムウィジェットが正しく表示されない場合がある
  // listWidget->setMinimumHeight(listWidget->sizeHintForRow(0) * listWidget->count());
  

• デメリット
  

  • QListWidgetItem を作成して挿入し、その後に setItemWidget() を呼び出すという2段階の作業が必要です。
  • 項目ごとにウィジェットが作成されるため、非常に多くの項目がある場合、メモリフットプリントやパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
  • ソート機能がデフォルトの QListWidgetItem のテキストに基づかなくなるため、カスタムソートロジックが必要になる場合があります。

• メリット
  

  • QListWidgetItem の提供する機能 (テキスト、アイコン、チェックボックス) では不十分な場合、高度なUI表現が可能になります。
  • 項目ごとにインタラクティブな要素 (ボタンなど) を配置できます。

• 機能
  特定の QListWidgetItem に対して、完全にカスタムなウィジェット (例: QPushButton, QLabel, 複数のウィジェットを配置した QWidget など) を設定します。

QListWidget は、内部で非常にシンプルなモデル (QStringListModel のようなもの) を持っています。より複雑なデータ構造や、より高度なカスタマイズ、大規模なデータセットを扱う場合は、Qt のモデル/ビューアーキテクチャを使用するのが最善です。

• 使用例 (概念のみ)
  

  #include <QListView>
  #include <QStringListModel>
  #include <QStandardItemModel> // より柔軟なモデル
  
  // QListView の場合
  QListView *listView = new QListView();
  QStringListModel *model = new QStringListModel(); // 文字列リストを扱う簡単なモデル
  QStringList data;
  data << "Item A" << "Item B" << "Item C";
  model->setStringList(data);
  listView->setModel(model);
  
  // モデルにデータを挿入
  // insertRows は QAbstractListModel のメソッド
  model->insertRows(1, 1); // 1番目のインデックスに1行挿入
  model->setData(model->index(1, 0), "New Item between A and B");
  
  // QStandardItemModel の場合 (より複雑なデータ構造とカスタマイズが可能)
  QListView *listView2 = new QListView();
  QStandardItemModel *stdModel = new QStandardItemModel();
  stdModel->appendRow(new QStandardItem("First Item"));
  stdModel->appendRow(new QStandardItem("Second Item"));
  
  // 挿入
  QStandardItem *newItem = new QStandardItem("Inserted Item");
  stdModel->insertRow(1, newItem); // 1番目のインデックスに挿入
  
  listView2->setModel(stdModel);
  

• デメリット
  

  • QListWidget よりも学習曲線が急です。
  • シンプルなリストではオーバーキルになる可能性があります。

• メリット
  

  • データと表示の分離
    データが変更されても、ビューは自動的に更新されます。
  • 大規模データ対応
    大量の項目でも効率的に処理できます（項目をすべてメモリにロードする必要がないため）。
  • 高度なカスタマイズ
    代理人 (Delegates) を使って、各項目を非常に柔軟に描画したり、カスタムエディタを提供したりできます。
  • 複数のビュー
    同じモデルを複数のビューで表示できます (例: QListView と QTableView で同じデータを異なる形式で表示)。

• 機能
  データをモデル (例: QStandardItemModel やカスタムの QAbstractListModel) で管理し、そのデータをビュー (例: QListView) で表示します。

QListWidget::insertItem() は、特定のインデックスに単一の項目を挿入するという明確な目的には最適です。しかし、以下の状況では、上記の代替方法を検討すると良いでしょう。

• 大規模なデータセットを扱う場合、またはデータ管理と表示を厳密に分離したい場合
  モデル/ビューアーキテクチャ (QListView とカスタムモデル)
• リスト項目に複雑なUI要素 (ボタン、画像、プログレスバーなど) を表示したい場合
  setItemWidget()
• 複数の項目を特定の開始位置に挿入したい場合
  insertItems()
• 常に末尾に追加したい場合
  addItem() または addItems()