QFileInfo::refresh()
QFileInfo::refresh()
の役割
QFileInfo
は、パフォーマンス向上のためにファイルシステムから取得した情報を内部的にキャッシュしています。しかし、ファイルはアプリケーションの外部(他のユーザーやプログラム、あるいは同じプログラムの別の部分)によって変更される可能性があります。例えば、ファイルのサイズが変わったり、ファイルが削除されたり、内容が更新されたりする場合があります。
QFileInfo::refresh()
メソッドは、このキャッシュされた情報を最新のファイルシステムの状態に合わせて更新するために使用されます。
なぜrefresh()
が必要なのか?
例えば、次のようなシナリオを考えてみましょう。
- あなたが
QFileInfo
オブジェクトを作成し、あるファイルの情報を取得しました。 - その直後に、別のプログラムが同じファイルを書き換え、サイズが変更されました。
- あなたが
QFileInfo
オブジェクトから再度ファイルサイズを取得しようとすると、refresh()
を呼び出していない場合、キャッシュされた古い情報(変更前のサイズ)が返される可能性があります。
このような場合にrefresh()
を呼び出すことで、QFileInfo
オブジェクトがファイルシステムにアクセスし直し、最新のファイル情報を取得して内部キャッシュを更新します。これにより、常に正確なファイル情報にアクセスできるようになります。
使用例
#include <QCoreApplication>
#include <QFileInfo>
#include <QDebug>
#include <QFile>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QString filePath = "test_file.txt"; // 例としてファイルパスを設定
// テストファイルを作成
QFile file(filePath);
if (file.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text)) {
file.write("Original content.");
file.close();
}
QFileInfo fileInfo(filePath);
qDebug() << "Initial size:" << fileInfo.size() << "bytes";
// 別の処理(ファイルを変更するシミュレーション)
// 例えば、少し待ってからファイルを追記するなど
QFile file2(filePath);
if (file2.open(QIODevice::Append | QIODevice::Text)) {
file2.write("Appended content.");
file2.close();
}
// refresh()を呼び出す前にサイズを再度取得してみる
qDebug() << "Size before refresh (might be old):" << fileInfo.size() << "bytes";
// ここで情報をリフレッシュする
fileInfo.refresh();
// refresh()を呼び出した後にサイズを再度取得する
qDebug() << "Size after refresh (should be updated):" << fileInfo.size() << "bytes";
// テストファイルを削除
QFile::remove(filePath);
return 0;
}
この例では、test_file.txt
を作成し、そのサイズを取得します。次に、ファイルに内容を追記してサイズを変更しますが、QFileInfo::refresh()
を呼び出す前は古いサイズが返される可能性があります。refresh()
を呼び出すことで、最新のファイルサイズが取得できることがわかります。
- 通常、ファイル情報が頻繁に外部から変更されることが予想される場合に
refresh()
を使用することを検討します。そうでない場合は、不要なファイルシステムアクセスを避けるために、必ずしも頻繁に呼び出す必要はありません。 QFileInfo
のキャッシングを完全に無効にしたい場合は、QFileInfo::setCaching(false)
を使用できます。ただし、これを設定すると、ファイル情報を取得するたびにファイルシステムへのアクセスが発生するため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
refresh()を呼び出しても情報が更新されない
考えられる原因
- シンボリックリンクの解決
QFileInfo
がシンボリックリンクを解決している場合、リンク先のファイルが変更されても、リンク自体の情報(例えば、リンクの存在)は変わらないため、refresh()
で情報が更新されないように見えることがあります。QFileInfo::canonicalFilePath()
やQFileInfo::absoluteFilePath()
などを確認し、どのパスを追跡しているかを確認してください。 - 異なるファイルシステムアクセス方法
QFileInfo
が使用するファイルシステムアクセス方法と、ファイルを変更したプログラムが使用する方法が異なる場合、一貫性の問題が発生することがあります(非常に稀ですが)。 - 権限の問題
ファイルやディレクトリへのアクセス権限がない場合、QFileInfo
が最新の情報を取得できないことがあります。 - ファイルシステム上の変更がまだ反映されていない
オペレーティングシステムによっては、ファイルシステムへの変更が即座にディスクに書き込まれず、キャッシュされている場合があります。特にネットワークドライブやクラウドストレージでは、変更が反映されるまでに時間差が生じることがあります。 - ファイルパスが正しくない、またはファイルが存在しない
QFileInfo
オブジェクトが指すファイルがそもそも存在しない場合、refresh()
を呼び出しても情報は更新されません。
トラブルシューティング
- 簡略化されたテストケース
問題を再現できる最小限のコードスニペットを作成し、他の要因を排除して問題を特定します。 - 権限の確認
アプリケーションを実行しているユーザーが、対象のファイルやディレクトリに対して十分な読み取り権限を持っているか確認します。 - ファイルシステムのキャッシュを考慮する
特にネットワークドライブやクラウドストレージの場合、少し時間をおいてから再度refresh()
を試すか、OSのファイルシステムキャッシュクリアなどの操作を検討します(ただし、これはアプリケーションから制御できることではありません)。 - エラーハンドリングの強化
ファイル操作(QFile::open()
など)でエラーが発生していないか確認し、エラーメッセージをデバッグ出力します。 - QFileInfo::exists()で存在を確認する
refresh()
を呼び出す前に、fileInfo.exists()
を呼び出してファイルが存在するかどうかを確認します。存在しない場合は、パスが間違っている可能性があります。
パフォーマンスの低下
考えられる原因
- 多数のファイルに対するrefresh()
大量のファイルに対してループ内でrefresh()
を呼び出すと、処理に時間がかかります。 - refresh()の頻繁な呼び出し
refresh()
はファイルシステムへのアクセスを伴うため、頻繁に呼び出しすぎるとパフォーマンスのボトルネックになる可能性があります。
トラブルシューティング
- QFileInfo::setCaching(false)の使用を避ける
QFileInfo
のキャッシングを無効にすると、すべての情報取得がファイルシステムアクセスにつながるため、パフォーマンスが大幅に低下します。特別な理由がない限り、デフォルトのキャッシングを有効にしておくべきです。 - 必要な時だけrefresh()を呼び出す
ファイル情報が本当に最新である必要がある場合のみrefresh()
を呼び出すようにします。例えば、ファイルの変更を監視する必要がある場合は、QFileSystemWatcher
を使用する方が効率的です。
QFileInfo::refresh()が常に成功するわけではない
考えられる原因
refresh()
メソッド自体はvoid
を返すため、成功/失敗の直接的なステータスは返しません。しかし、refresh()
後にexists()
やsize()
などのメソッドが正しい情報を返さない場合、それは事実上の失敗とみなせます。
- 特に
QFileInfo::exists()
の戻り値は重要です。refresh()
後にexists()
がfalse
を返す場合、そのファイルは存在しないか、アクセスできない状態になっていることを意味します。 refresh()
を呼び出した後、関連するQFileInfo
のメソッド(例:exists()
,size()
,lastModified()
,isDir()
など)の戻り値を常に確認するようにします。これらのメソッドが期待する値を返さない場合、refresh()
が意図した通りに機能しなかった可能性があります。
- Qtのバージョン
使用しているQtのバージョンによって、QFileInfo
の内部実装や挙動がわずかに異なる場合があります。Qtの公式ドキュメントで、使用しているバージョンのQFileInfo
に関する情報を確認してください。 - OS固有の挙動の理解
ファイルシステムへのアクセスはOSに依存するため、特定のOS(Windows, macOS, Linuxなど)でのファイルシステム操作の挙動やキャッシュの仕組みを理解することも重要です。 - デバッグ出力の活用
qDebug()
を使用して、refresh()
の前後のファイルパス、サイズ、最終更新日時などの情報を出力し、何が更新され、何が更新されていないのかを詳細に追跡します。
例1: ファイルサイズの変更を検出する
この例では、ファイルを作成し、そのサイズを取得します。次に、外部でファイルのサイズを変更したと仮定し、refresh()
を呼び出すことでQFileInfo
オブジェクトが最新のサイズを反映することを示します。
#include <QCoreApplication>
#include <QFileInfo>
#include <QFile>
#include <QDebug>
#include <QThread> // QThread::sleep() を使用するため
#include <QDateTime> // タイムスタンプ表示のため
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QString fileName = "my_test_file.txt";
// 1. テストファイルを作成し、初期内容を書き込む
QFile file(fileName);
if (file.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text)) {
file.write("Initial content for testing QFileInfo::refresh().");
file.close();
qDebug() << "ファイル作成: " << fileName;
} else {
qCritical() << "ファイルの作成に失敗しました: " << fileName;
return 1;
}
// 2. QFileInfoオブジェクトを作成し、初期情報を取得
QFileInfo fileInfo(fileName);
qDebug() << "--- 初期情報 ---";
qDebug() << "ファイル名: " << fileInfo.fileName();
qDebug() << "ファイルパス: " << fileInfo.absoluteFilePath();
qDebug() << "サイズ: " << fileInfo.size() << "バイト";
qDebug() << "最終変更日時: " << fileInfo.lastModified().toString(Qt::ISODate);
// 3. 外部でファイルが変更されたことをシミュレートする
// (実際には別のプロセスやユーザーが行う作業)
qDebug() << "\n--- 1秒待機し、ファイルを変更します ---";
QThread::sleep(1); // ファイルの変更日時が確実に変わるように少し待つ
if (file.open(QIODevice::Append | QIODevice::Text)) {
file.write("\nThis is appended content.");
file.close();
qDebug() << "ファイルに内容を追記しました。";
} else {
qCritical() << "ファイルの追記に失敗しました: " << fileName;
return 1;
}
// 4. refresh()を呼び出す前に情報を再度取得(キャッシュされた古い情報が表示される可能性あり)
qDebug() << "\n--- refresh()呼び出し前の情報(古い可能性あり) ---";
qDebug() << "ファイル名: " << fileInfo.fileName(); // ファイル名は変わらないはず
qDebug() << "サイズ: " << fileInfo.size() << "バイト"; // 古いサイズの可能性あり
qDebug() << "最終変更日時: " << fileInfo.lastModified().toString(Qt::ISODate); // 古いタイムスタンプの可能性あり
// 5. QFileInfoの情報をリフレッシュする
qDebug() << "\n--- QFileInfo::refresh() を呼び出します ---";
fileInfo.refresh();
// 6. refresh()を呼び出した後に情報を再度取得(最新の情報が反映されるはず)
qDebug() << "\n--- refresh()呼び出し後の情報(最新) ---";
qDebug() << "ファイル名: " << fileInfo.fileName();
qDebug() << "サイズ: " << fileInfo.size() << "バイト"; // 新しいサイズが反映される
qDebug() << "最終変更日時: " << fileInfo.lastModified().toString(Qt::ISODate); // 新しいタイムスタンプが反映される
// 7. テストファイルを削除
if (file.remove()) {
qDebug() << "\nテストファイルを削除しました: " << fileName;
} else {
qWarning() << "\nテストファイルの削除に失敗しました: " << fileName;
}
return a.exec();
}
解説
- まず、
my_test_file.txt
というファイルを作成し、初期内容を書き込みます。 QFileInfo fileInfo(fileName);
でQFileInfo
オブジェクトを作成し、初期のファイル情報(サイズ、最終変更日時など)を表示します。この時点では、QFileInfo
はファイルシステムから情報を読み込み、内部にキャッシュします。QThread::sleep(1);
で1秒待機した後、同じファイルに追記します。これにより、ファイルサイズと最終変更日時が変更されます。fileInfo.refresh();
を呼び出す前に再度ファイル情報を取得すると、多くの場合、QFileInfo
がキャッシュしている古い情報が表示されます。fileInfo.refresh();
を呼び出すことで、QFileInfo
はファイルシステムにアクセスし直して情報を更新します。refresh()
の呼び出し後に再度ファイル情報を取得すると、更新されたサイズと最終変更日時が表示されるはずです。
この例では、refresh()
がファイルの存在状況やタイプ(ファイルからディレクトリになったなど)の変化をどのように扱うかを示します。
#include <QCoreApplication>
#include <QFileInfo>
#include <QFile>
#include <QDir>
#include <QDebug>
#include <QThread>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QString itemPath = "my_dynamic_item"; // ファイルまたはディレクトリとして使うパス
// 1. まずファイルとして作成
QFile file(itemPath);
if (file.open(QIODevice::WriteOnly)) {
file.write("This is a file.");
file.close();
qDebug() << "初期: ファイルとして作成しました: " << itemPath;
}
QFileInfo itemInfo(itemPath);
qDebug() << "\n--- 初期状態 ---";
qDebug() << "存在: " << itemInfo.exists();
qDebug() << "ファイルか: " << itemInfo.isFile();
qDebug() << "ディレクトリか: " << itemInfo.isDir();
// 2. ファイルを削除し、同じパスにディレクトリを作成する
qDebug() << "\n--- ファイルを削除し、ディレクトリを作成します ---";
QThread::sleep(1); // 変更日時が確実に変わるように少し待つ
if (file.remove()) {
qDebug() << "ファイルを削除しました。";
} else {
qWarning() << "ファイルの削除に失敗しました。";
}
QDir dir;
if (dir.mkdir(itemPath)) {
qDebug() << "ディレクトリを作成しました。";
} else {
qWarning() << "ディレクトリの作成に失敗しました。";
}
// 3. refresh()を呼び出す前に情報を確認
qDebug() << "\n--- refresh()呼び出し前の情報 ---";
qDebug() << "存在: " << itemInfo.exists(); // 古い可能性あり (まだファイルと認識しているかも)
qDebug() << "ファイルか: " << itemInfo.isFile(); // 古い可能性あり
qDebug() << "ディレクトリか: " << itemInfo.isDir(); // 古い可能性あり
// 4. 情報をリフレッシュする
qDebug() << "\n--- QFileInfo::refresh() を呼び出します ---";
itemInfo.refresh();
// 5. refresh()呼び出し後の情報を確認
qDebug() << "\n--- refresh()呼び出し後の情報 ---";
qDebug() << "存在: " << itemInfo.exists(); // 最新
qDebug() << "ファイルか: " << itemInfo.isFile(); // 最新
qDebug() << "ディレクトリか: " << itemInfo.isDir(); // 最新
// 6. クリーンアップ
QDir(itemPath).removeRecursively(); // 作成したディレクトリを削除
qDebug() << "\nクリーンアップ完了。";
return a.exec();
}
- まず、
my_dynamic_item
という名前でファイルを作成します。 QFileInfo
オブジェクトを作成し、その状態(存在、ファイルか、ディレクトリか)を表示します。- 次に、そのファイルを削除し、同じパスに同名のディレクトリを作成します。
refresh()
を呼び出す前にQFileInfo
の情報を再確認すると、古い(ファイルだった頃の)情報がキャッシュされているために、isDir()
がfalse
を返したり、isFile()
がtrue
を返したりする可能性があります。itemInfo.refresh();
を呼び出すと、QFileInfo
はファイルシステムから最新の情報を取得し、isDir()
がtrue
、isFile()
がfalse
を返すようになります。
QFileSystemWatcher を使用する
これはQFileInfo::refresh()
の最も強力で推奨される代替手段であり、特にファイルの変更をリアルタイムで監視する必要がある場合に非常に有効です。
- 使用例
#include <QCoreApplication> #include <QFileSystemWatcher> #include <QDebug> #include <QFile> #include <QThread> // シミュレーション用 int main(int argc, char *argv[]) { QCoreApplication a(argc, argv); QString filePath = "watched_file.txt"; // 初期ファイル作成 QFile file(filePath); if (file.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text)) { file.write("Initial content."); file.close(); qDebug() << "ファイル作成: " << filePath; } QFileSystemWatcher watcher; watcher.addPath(filePath); // ファイルを監視対象に追加 QObject::connect(&watcher, &QFileSystemWatcher::fileChanged, [&](const QString &path) { qDebug() << "ファイルが変更されました: " << path; QFileInfo fileInfo(path); // 変更されたファイルのQFileInfoを新たに作成または更新 qDebug() << "新しいサイズ: " << fileInfo.size() << "バイト"; qDebug() << "最終変更日時: " << fileInfo.lastModified().toString(Qt::ISODate); // ここで、変更されたファイルに対する追加の処理を行う }); QObject::connect(&watcher, &QFileSystemWatcher::directoryChanged, [&](const QString &path) { // ディレクトリが変更された場合の処理(この例ではファイルのみ監視しているので発生しない) qDebug() << "ディレクトリが変更されました: " << path; }); qDebug() << "ファイル監視を開始しました。2秒後にファイルを変更します..."; // シミュレーション: 別のスレッドでファイルを変更 QThread::sleep(2); if (file.open(QIODevice::Append | QIODevice::Text)) { file.write("\nAppended new content."); file.close(); qDebug() << "ファイルを変更しました。"; } QThread::sleep(2); // シグナルが処理されるのを待つ // クリーンアップ file.remove(); return a.exec(); }
- 欠点
- OSの制約により、すべてのファイルシステムイベントがサポートされているわけではありません(例: 一部のネットワークドライブや特定のファイルシステムのイベント)。
- 大量のファイルやディレクトリを監視すると、OSリソースを消費する可能性があります。
- 利点
- リアルタイム通知
ファイルが変更された瞬間にアプリケーションが通知を受け取ることができます。ポーリング(定期的なrefresh()
呼び出し)が不要になります。 - 効率性
ファイルシステムへのアクセスを必要なときに限定できるため、refresh()
の頻繁な呼び出しよりもはるかに効率的です。 - イベント駆動型
変更を検出したときに特定の処理を実行する、イベント駆動型のプログラミングに適しています。
- リアルタイム通知
- 仕組み
QFileSystemWatcher
は、指定されたファイルやディレクトリの変更をOSレベルで監視し、変更があった場合にシグナルを発します。
新しい QFileInfo オブジェクトを常に作成する
毎回ファイル情報を取得するたびに、新しいQFileInfo
オブジェクトを作成することで、refresh()
を明示的に呼び出す必要がなくなります。
- 使用例
#include <QCoreApplication> #include <QFileInfo> #include <QFile> #include <QDebug> #include <QThread> int main(int argc, char *argv[]) { QCoreApplication a(argc, argv); QString filePath = "new_qfileinfo_file.txt"; // 初期ファイル作成 QFile file(filePath); if (file.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text)) { file.write("Initial content."); file.close(); } // 1. 最初は新しいQFileInfoで情報取得 QFileInfo info1(filePath); qDebug() << "初回取得サイズ: " << info1.size(); // 2. ファイル変更をシミュレート QThread::sleep(1); if (file.open(QIODevice::Append | QIODevice::Text)) { file.write("More content."); file.close(); } // 3. 変更後、新しいQFileInfoで情報を取得 QFileInfo info2(filePath); // 新しいオブジェクトを作成することで、自動的に最新情報を取得 qDebug() << "変更後(新規QFileInfo)サイズ: " << info2.size(); // クリーンアップ file.remove(); return a.exec(); }
- 欠点
- パフォーマンスの低下
頻繁に情報を取得する必要がある場合、毎回新しいオブジェクトを作成し、ファイルシステムにアクセスするため、refresh()
を適切に利用するよりもパフォーマンスが低下する可能性があります。 - オブジェクトの再生成
毎回新しいオブジェクトが生成されるため、その都度メモリ割り当てと解放が発生します。
- パフォーマンスの低下
- 利点
- シンプルで分かりやすい。
refresh()
を呼び出すかどうかの判断ロジックが不要。
- 仕組み
QFileInfo
のコンストラクタは、ファイルシステムから最新の情報を読み込みます。
これは、QFileInfo::refresh()
をタイマーなどと組み合わせて定期的に呼び出す方法です。QFileSystemWatcher
が利用できない環境や、より粗い粒度でファイル状態を監視したい場合に考えられます。
- 使用例
(UIアプリケーションでQTimer
を使用する典型的な例)// このコードはウィジェット/ウィンドウクラス内で使用することを想定しています // 例えば、MyWindow::MyWindow() コンストラクタ内など #include <QApplication> #include <QWidget> #include <QLabel> #include <QTimer> #include <QFileInfo> #include <QFile> #include <QVBoxLayout> class FileMonitorWidget : public QWidget { Q_OBJECT public: FileMonitorWidget(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) { filePath = "polling_file.txt"; // 初期ファイル作成 QFile file(filePath); if (file.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text)) { file.write("Polling test content."); file.close(); } label = new QLabel("ファイル情報: 初期化中", this); QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(this); layout->addWidget(label); timer = new QTimer(this); connect(timer, &QTimer::timeout, this, &FileMonitorWidget::updateFileInfo); timer->start(1000); // 1秒ごとに更新 updateFileInfo(); // 初回更新 } private slots: void updateFileInfo() { QFileInfo fileInfo(filePath); fileInfo.refresh(); // QFileInfoオブジェクトが既存の場合に更新 if (fileInfo.exists()) { label->setText(QString("ファイル名: %1\nサイズ: %2 バイト\n最終変更: %3") .arg(fileInfo.fileName()) .arg(fileInfo.size()) .arg(fileInfo.lastModified().toString(Qt::ISODate))); } else { label->setText(QString("ファイルが存在しません: %1").arg(filePath)); } } private: QString filePath; QLabel *label; QTimer *timer; }; #include "main.moc" // mocファイルはコンパイル時に生成されます int main(int argc, char *argv[]) { QApplication a(argc, argv); FileMonitorWidget w; w.show(); return a.exec(); }
- 欠点
- 非効率
変更がない場合でも定期的にファイルシステムにアクセスするため、CPUリソースとI/Oを無駄に消費する可能性があります。 - リアルタイム性に欠ける
変更が発生してから検出されるまでにタイムラグがあります。 QFileSystemWatcher
が利用可能であれば、通常はそちらの方が推奨されます。
- 非効率
- 利点
QFileSystemWatcher
がサポートされていない環境でも動作する。- 実装が比較的シンプル。
- 仕組み
QTimer
を使用して一定時間ごとにQFileInfo::refresh()
を呼び出し、その後で必要な情報を取得します。
- 代替手段が使えない場合や、粗い粒度での監視
QFileSystemWatcher
が利用できない特殊な環境や、リアルタイム性が不要な場合は、QTimer
とQFileInfo::refresh()
を組み合わせたポーリングも選択肢になりますが、効率の悪さに注意が必要です。 - 単一のファイル情報取得
ある瞬間のファイル情報が欲しいだけであれば、その都度新しいQFileInfo
オブジェクトを作成するのが最もシンプルです。 - リアルタイムかつ効率的な監視
ほとんどの場合、QFileInfo::refresh()
の代替としてQFileSystemWatcher
が最も推奨される方法です。