Qt QFileDialog サイドバー操作の完全ガイド:コード例で学ぶ設定と取得
QFileDialog::sidebarUrls()
とは
- 用途:
- 現在設定されているサイドバーの項目を確認する。
- カスタムのファイルダイアログを作成する際に、デフォルトのサイドバー項目を取得し、それを基に独自の項目を追加したり、既存の項目を削除したりする。
- ユーザーが頻繁にアクセスする特定のディレクトリを、プログラムからサイドバーに表示したい場合に、現在のリストを取得して
setSidebarUrls()
で新しいリストを設定する前処理として使う。
- 返り値:
QList<QUrl>
型のオブジェクトを返します。これは、サイドバーに表示されている各エントリに対応するQUrl
オブジェクトのリストです。QUrl
は、ファイルパスやネットワークパスなど、様々な種類のURLを表現できるQtのクラスです。 - 目的:
QFileDialog
クラスは、ユーザーがファイルやディレクトリを選択するためのダイアログを提供します。このダイアログの左側には、よく使う場所(デスクトップ、ドキュメント、ダウンロードなど)や、ユーザーが追加したショートカットが表示される「サイドバー」があります。sidebarUrls()
関数は、このサイドバーに表示されているURLのリスト(QList<QUrl>
)を返します。
具体的な使用例(概念)
#include <QFileDialog>
#include <QList>
#include <QUrl>
#include <QDebug> // デバッグ出力用
void showSidebarUrls() {
QFileDialog dialog;
// QFileDialogのインスタンスを作成(この時点でのデフォルトのサイドバーURLを取得)
QList<QUrl> urls = dialog.sidebarUrls(); // サイドバーのURLリストを取得
qDebug() << "Current sidebar URLs:";
for (const QUrl& url : urls) {
qDebug() << url.toLocalFile(); // ローカルファイルパスに変換して表示
}
// 例えば、サイドバーに新しいURLを追加する場合
// dialog.setSidebarUrls(...) を使う前に、現在のリストを取得して操作することができます。
}
- QUrl:
QUrl
は汎用的なURLクラスなので、サイドバーの項目はファイルパスだけでなく、FTPなどの他のプロトコルを指すことも理論的には可能です。ただし、ファイルダイアログの文脈では、ほとんどの場合がローカルファイルパスになるでしょう。 - カスタム設定:
setSidebarUrls()
関数を使用して、サイドバーに表示されるURLをプログラムからカスタマイズすることができます。sidebarUrls()
はその逆で、現在の設定を取得するものです。 - プラットフォームネイティブダイアログ: Qtの
QFileDialog
は、デフォルトではOSが提供するネイティブのファイルダイアログを使用しようとします(Windowsではエクスプローラー風、macOSではFinder風など)。ネイティブダイアログを使用している場合、sidebarUrls()
が返すリストは、Qtが管理している内部のリストではなく、OSのファイルダイアログが提供する情報に依存する可能性があります。
QFileDialog::sidebarUrls()
自体が直接エラーを発生させることは稀ですが、関連する機能や想定される動作とのずれによって問題が生じることがあります。
想定通りのサイドバー項目が取得できない
問題
sidebarUrls()
を呼び出しても、OSのファイルダイアログに表示されている項目と異なる、あるいは期待していた項目が含まれていない。
原因
- プラットフォームによる挙動の違い
OSによってサイドバーの挙動や標準的な項目が異なるため、特定のOSでのみ問題が発生することがあります。 - カスタム設定の上書き
以前にsetSidebarUrls()
でカスタムのリストを設定している場合、それが反映されている可能性があります。 - ネイティブダイアログの使用
QtのQFileDialog
は、デフォルトでOSのネイティブダイアログを使用しようとします(例: Windowsのエクスプローラー風ダイアログ、macOSのFinderダイアログ)。この場合、sidebarUrls()
が返すリストは、Qtが内部的に管理しているリストではなく、OSのネイティブダイアログが提供する情報に依存する可能性があります。OSによっては、ネイティブダイアログのサイドバー項目をプログラムから直接取得する標準的なAPIが存在しない、あるいはQtがそのAPIをサポートしていない場合があります。
トラブルシューティング
- OSの挙動調査
使用しているOSで、ネイティブのファイルダイアログのサイドバー項目がどのように管理されているかを調べます。Qtの範囲外の問題である可能性があります。 - デバッグ出力
取得したQList<QUrl>
の内容を詳細にデバッグ出力し、実際にどのようなURLが返されているかを確認します。QUrl::toLocalFile()
やQUrl::toString()
を使用して、内容を検証してください。 - QFileDialog::DontUseNativeDialogフラグの確認
QFileDialog
のコンストラクタやsetOption()
でQFileDialog::DontUseNativeDialog
フラグを設定しているか確認してください。このフラグを設定するとQtが提供するジェネリックなダイアログが使われ、その場合はsidebarUrls()
がより予測可能な結果を返す傾向があります。QFileDialog dialog; dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog); QList<QUrl> urls = dialog.sidebarUrls(); // Qt独自のサイドバー項目が取得される
setSidebarUrls() で設定した項目が反映されない
問題
sidebarUrls()
で現在のリストを取得し、setSidebarUrls()
で変更したリストを設定しても、ファイルダイアログに反映されない。
原因
- 無効なURLの指定
QUrl
が無効なパスを指している場合、その項目は表示されない可能性があります。 - ダイアログの表示前に設定していない
setSidebarUrls()
は、ダイアログが表示される前に呼び出す必要があります。ダイアログがすでに表示されている状態で呼び出しても、変更は反映されません。 - ネイティブダイアログの使用
上記と同様に、ネイティブダイアログを使用している場合、QtがsetSidebarUrls()
で設定した内容をネイティブダイアログに反映させることができない場合があります。ネイティブダイアログは、通常OSのシステム設定に基づいてサイドバーを表示するため、プログラムからの直接的な変更を受け付けません。
トラブルシューティング
- URLの有効性チェック
QUrl::isValid()
やQFile::exists()
などを用いて、設定しようとしているURLが有効なパスを指しているか確認してください。 - setSidebarUrls()の呼び出しタイミング
exec()
(またはopen()
)を呼び出す前にsetSidebarUrls()
を呼び出しているか確認してください。 - QFileDialog::DontUseNativeDialogフラグの設定
setSidebarUrls()
でカスタムのサイドバー項目を確実に反映させたい場合は、必ずQFileDialog::DontUseNativeDialog
フラグを設定してください。 これにより、Qtが提供する汎用ダイアログが使用され、setSidebarUrls()
の設定が有効になります。
サイドバーの項目が重複して表示される
問題
同じ項目がサイドバーに複数回表示される。
原因
- システムのデフォルトとカスタム設定の重複
システムのデフォルト項目と、プログラムで追加したカスタム項目がたまたま同じパスを指しており、両方が表示されている。 - 重複追加
sidebarUrls()
で取得したリストに、すでに存在するURLを誤って再度追加している。
トラブルシューティング
- フィルタリング
デフォルトのサイドバー項目の一部を削除したい場合は、sidebarUrls()
で取得したリストから不要な項目を削除してからsetSidebarUrls()
で設定し直します。 - 追加前の重複チェック
setSidebarUrls()
に渡すリストを構築する際に、QList<QUrl>::contains()
などを使用して、追加しようとしているURLが既にリストに存在しないか確認してください。QList<QUrl> currentUrls = dialog.sidebarUrls(); QUrl newUrl("/path/to/my/favorite"); // 追加したいURL if (!currentUrls.contains(newUrl)) { currentUrls.append(newUrl); dialog.setSidebarUrls(currentUrls); }
特定のプラットフォームでのみサイドバーの挙動が異なる
問題
Windowsでは動くがmacOSでは動かない、またはその逆。
原因
- OS固有のファイルダイアログの挙動
各OSのネイティブファイルダイアログは、そのOSのUXガイドラインやAPIに基づいているため、Qtが提供する共通のインターフェースを通しても、OS固有の挙動が表面化することがあります。特に、サイドバーのカスタマイズ機能はOS間で大きな違いがあります。
- プラットフォーム固有のコード
どうしてもネイティブダイアログを使いたいが、サイドバーのカスタマイズが必要な場合は、#ifdef Q_OS_MAC
などのプリプロセッサディレクティブを使用して、プラットフォームごとに異なる処理を記述する必要があるかもしれません。ただし、これは複雑さが増すため、最後の手段と考えるべきです。 - QFileDialog::DontUseNativeDialogの活用
クロスプラットフォームで一貫したサイドバーの挙動が必要な場合は、QFileDialog::DontUseNativeDialog
を使用することを強く検討してください。
重要
QFileDialog
はデフォルトでOSネイティブのダイアログを使用しようとします。sidebarUrls()
やsetSidebarUrls()
が意図通りに動作しない場合、QFileDialog::DontUseNativeDialog
オプションを設定して、Qt独自のダイアログを使用させることを検討してください。
現在のサイドバーURLを取得して表示する
この例では、QFileDialog
インスタンスを作成し、現在のサイドバーに登録されているURLのリストを取得してデバッグ出力します。
#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QList>
#include <QUrl>
#include <QDebug> // デバッグ出力用
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QFileDialog dialog;
// ネイティブダイアログを使わない設定(オプション)
// この設定により、sidebarUrls()とsetSidebarUrls()の挙動がより予測可能になります。
dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);
QList<QUrl> currentSidebarUrls = dialog.sidebarUrls();
qDebug() << "--- 現在のサイドバーURL ---";
if (currentSidebarUrls.isEmpty()) {
qDebug() << "サイドバーにURLが登録されていません。";
} else {
for (const QUrl& url : currentSidebarUrls) {
// QUrlをローカルファイルパスに変換して表示
qDebug() << "URL:" << url.toLocalFile();
}
}
// ダイアログを表示してユーザーにファイルを選択させる(オプション)
// dialog.exec();
return app.exec();
}
解説
- ループで各
QUrl
をtoLocalFile()
でローカルファイルパスに変換して出力します。 dialog.sidebarUrls();
で現在のサイドバーのURLリストを取得し、QList<QUrl>
に格納します。dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);
は、OSネイティブダイアログではなくQtが提供する汎用ダイアログを使用するように設定します。これにより、サイドバーの操作がより確実になります。QFileDialog dialog;
でQFileDialog
のインスタンスを作成します。
サイドバーにカスタムURLを追加する
この例では、既存のサイドバーURLに新しいURLを追加し、それをsetSidebarUrls()
で設定してファイルダイアログに反映させます。
#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QList>
#include <QUrl>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QFileDialog dialog;
// カスタムサイドバーを確実に反映させるため、ネイティブダイアログを使用しない設定
dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);
QList<QUrl> customSidebarUrls = dialog.sidebarUrls(); // 現在のリストを取得
// 新しく追加したいURL
// 環境に合わせて適切なパスに修正してください
QUrl customFolder1 = QUrl::fromLocalFile("C:/MyImportantDocs"); // Windowsの場合
// QUrl customFolder1 = QUrl::fromLocalFile("/home/user/projects"); // Linux/macOSの場合
QUrl customFolder2 = QUrl::fromLocalFile("D:/SharedData"); // Windowsの場合
// QUrl customFolder2 = QUrl::fromLocalFile("/mnt/network_drive"); // Linux/macOSの場合
// 重複を避けて追加
if (!customSidebarUrls.contains(customFolder1)) {
customSidebarUrls.append(customFolder1);
}
if (!customSidebarUrls.contains(customFolder2)) {
customSidebarUrls.append(customFolder2);
}
dialog.setSidebarUrls(customSidebarUrls); // サイドバーのURLを新しいリストに設定
qDebug() << "--- 新しく設定されたサイドバーURL ---";
for (const QUrl& url : dialog.sidebarUrls()) {
qDebug() << "URL:" << url.toLocalFile();
}
dialog.setWindowTitle("カスタムサイドバーのファイルダイアログ");
dialog.exec(); // ダイアログを表示
return app.exec();
}
解説
dialog.exec();
でダイアログを表示すると、設定したカスタムURLがサイドバーに表示されるはずです。dialog.setSidebarUrls(customSidebarUrls);
で、更新されたリストをダイアログのサイドバーに設定します。customSidebarUrls.append(newUrl);
で新しいURLをリストに追加します。QList::contains()
を使って、追加しようとしているURLが既にリストに存在しないかチェックし、重複を防ぎます。QUrl::fromLocalFile()
を使って、ローカルファイルパスからQUrl
を作成します。dialog.sidebarUrls();
で現在のサイドバーのリストを取得します。
サイドバーの項目をクリアする
サイドバーから全ての項目を削除したい場合の例です。
#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QList>
#include <QUrl>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QFileDialog dialog;
// ネイティブダイアログを使わない設定(必須)
// これを設定しないと、ネイティブダイアログのサイドバーはクリアされません。
dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);
QList<QUrl> emptyUrls; // 空のURLリストを作成
dialog.setSidebarUrls(emptyUrls); // サイドバーのURLを空のリストに設定
qDebug() << "--- サイドバーURLをクリアしました ---";
QList<QUrl> currentSidebarUrls = dialog.sidebarUrls();
if (currentSidebarUrls.isEmpty()) {
qDebug() << "サイドバーは空です。";
} else {
qDebug() << "エラー: サイドバーがクリアされていません。";
}
dialog.setWindowTitle("サイドバークリア済みダイアログ");
dialog.exec();
return app.exec();
}
解説
- この場合も、
QFileDialog::DontUseNativeDialog
の設定が非常に重要です。ネイティブダイアログでは、この方法でサイドバーを完全にクリアすることは通常できません。 - 空の
QList<QUrl>
を作成し、それをsetSidebarUrls()
に渡すことで、サイドバーの全ての項目を削除します。
#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QList>
#include <QUrl>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QFileDialog dialog;
dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);
QList<QUrl> sidebarUrls = dialog.sidebarUrls();
// 例として、ドキュメントフォルダを削除してみる(Windows/macOS/Linuxのパスを考慮)
QUrl documentsUrl = QUrl::fromLocalFile(QDir::homePath() + "/Documents"); // QDir::homePath()はクロスプラットフォームでホームディレクトリを取得
// 別の例: 特定のドライブレター (Windows)
// QUrl driveD = QUrl::fromLocalFile("D:/");
qDebug() << "--- 削除前のサイドバーURL ---";
for (const QUrl& url : sidebarUrls) {
qDebug() << url.toLocalFile();
}
// 削除対象のURLをリストから探して削除
// QList::removeAll() は指定された値の全てのインスタンスを削除します
int removedCount = sidebarUrls.removeAll(documentsUrl);
// あるいは、イテレータを使って特定の条件で削除することも可能
// for (auto it = sidebarUrls.begin(); it != sidebarUrls.end(); ) {
// if (it->toLocalFile().contains("不要なキーワード")) {
// it = sidebarUrls.erase(it);
// } else {
// ++it;
// }
// }
if (removedCount > 0) {
qDebug() << "削除された項目数:" << removedCount;
dialog.setSidebarUrls(sidebarUrls); // 変更されたリストを再設定
qDebug() << "--- 削除後のサイドバーURL ---";
for (const QUrl& url : dialog.sidebarUrls()) {
qDebug() << url.toLocalFile();
}
} else {
qDebug() << "削除対象の項目は見つかりませんでした。";
}
dialog.setWindowTitle("特定項目削除済みダイアログ");
dialog.exec();
return app.exec();
}
- その後、変更されたリストを再度
setSidebarUrls()
で設定します。 - 既存のリストを取得し、
QList::removeAll()
やイテレータを使ったループで、削除したいQUrl
をリストから取り除きます。
QFileDialog::DontUseNativeDialog を積極的に利用する
これは代替手段というよりは、sidebarUrls()
/ setSidebarUrls()
の機能を最大限に活用するための「設定」ですが、非常に重要です。OSネイティブのファイルダイアログは、そのOSの設計やセキュリティポリシーによってサイドバーのカスタマイズが制限されることがよくあります。
- コード例:
QFileDialog dialog; dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true); // これが重要 // 以降、sidebarUrls() と setSidebarUrls() を使用してサイドバーを操作
- 欠点:
- 見た目や操作感がOSのネイティブダイアログと異なるため、一部のユーザーは違和感を覚える可能性があります。
- OS固有の高度な機能(例: クラウドストレージ連携など)が利用できない場合があります。
- 利点:
- クロスプラットフォームで一貫したサイドバーの動作が保証されます。
setSidebarUrls()
で設定したURLが確実に反映されます。sidebarUrls()
で現在の設定を正確に取得できます。
- 目的: OSネイティブダイアログの代わりに、Qtが提供する汎用的なファイルダイアログを使用することで、
sidebarUrls()
およびsetSidebarUrls()
によるサイドバーの完全な制御を可能にします。
完全にカスタムなファイルブラウザダイアログを作成する
最も柔軟な方法ですが、実装が最も複雑になります。QFileDialog
を使わず、QDialog
を継承した独自のウィジェットを作成し、ファイルシステムの表示と操作をゼロから構築します。
- コード例(概念):
注意: 上記はあくまで概念的なコードであり、実際の使用にはさらに多くの機能(ファイルフィルタリング、複数選択、ファイルモードの切り替え、エラーハンドリングなど)の実装が必要です。#include <QDialog> #include <QTreeView> #include <QFileSystemModel> #include <QVBoxLayout> #include <QPushButton> #include <QListView> // サイドバー風リスト用 #include <QStandardItemModel> // カスタムサイドバーモデル用 #include <QStandardItem> class CustomFileDialog : public QDialog { Q_OBJECT public: explicit CustomFileDialog(QWidget *parent = nullptr) : QDialog(parent) { setWindowTitle("カスタムファイルダイアログ"); QVBoxLayout *mainLayout = new QVBoxLayout(this); // ファイルシステムビュー fileModel = new QFileSystemModel(this); fileModel->setRootPath(QDir::homePath()); // 初期パス fileModel->setFilter(QDir::AllDirs | QDir::Files | QDir::NoDotAndDotDot); fileView = new QTreeView(this); fileView->setModel(fileModel); fileView->setRootIndex(fileModel->index(QDir::homePath())); fileView->hideColumn(1); // サイズ列を非表示 fileView->hideColumn(2); // タイプ列を非表示 fileView->hideColumn(3); // 更新日時列を非表示 // カスタムサイドバー(QListViewとQStandardItemModelを使用) sidebarModel = new QStandardItemModel(this); sidebarView = new QListView(this); sidebarView->setModel(sidebarModel); // 例: カスタムショートカットの追加 addSidebarItem("デスクトップ", QDir::homePath() + "/Desktop"); addSidebarItem("プロジェクト", "/home/user/my_projects"); // 実際のパスに修正 connect(sidebarView, &QListView::clicked, this, &CustomFileDialog::onSidebarItemClicked); // レイアウトの組み立て QHBoxLayout *contentLayout = new QHBoxLayout(); contentLayout->addWidget(sidebarView, 1); // サイドバーを左に配置 contentLayout->addWidget(fileView, 4); // ファイルビューを右に配置 mainLayout->addLayout(contentLayout); // OK/Cancelボタン QHBoxLayout *buttonLayout = new QHBoxLayout(); QPushButton *okButton = new QPushButton("開く", this); QPushButton *cancelButton = new QPushButton("キャンセル", this); buttonLayout->addStretch(); buttonLayout->addWidget(okButton); buttonLayout->addWidget(cancelButton); mainLayout->addLayout(buttonLayout); connect(okButton, &QPushButton::clicked, this, &QDialog::accept); connect(cancelButton, &QPushButton::clicked, this, &QDialog::reject); } QStringList selectedFiles() const { QStringList files; for (const QModelIndex& index : fileView->selectionModel()->selectedIndexes()) { if (index.column() == 0) { // ファイル名のある列 files << fileModel->filePath(index); } } return files; } private slots: void onSidebarItemClicked(const QModelIndex &index) { QString path = sidebarModel->data(index, Qt::UserRole).toString(); // データからパスを取得 if (!path.isEmpty()) { fileView->setRootIndex(fileModel->index(path)); // ファイルビューのルートを変更 } } private: void addSidebarItem(const QString& name, const QString& path) { QStandardItem *item = new QStandardItem(QIcon::fromTheme("folder"), name); item->setData(path, Qt::UserRole); // パスをUserRoleに保存 sidebarModel->appendRow(item); } QFileSystemModel *fileModel; QTreeView *fileView; QStandardItemModel *sidebarModel; QListView *sidebarView; }; // main関数での使用例 /* int main(int argc, char *argv[]) { QApplication app(argc, argv); CustomFileDialog dialog; if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) { qDebug() << "選択されたファイル:" << dialog.selectedFiles(); } return app.exec(); } */
- 欠点:
- 実装の複雑さ: ファイルシステムのナビゲーション、選択、フィルタリング、エラー処理など、多くの機能を自分で実装する必要があります。
- OSネイティブダイアログの利点(アクセシビリティ、ユーザーの慣れ親しんだ操作、OS統合機能)が失われます。
- 利点:
- デザインと機能の完全な自由度。
QFileDialog
の機能では不可能な、アプリケーション固有の特殊なファイル選択ロジックを実装できます。- サイドバーの見た目や項目を自由にカスタマイズできます。
- 主要コンポーネント:
QDialog
: カスタムダイアログの基盤。QTreeView
/QListView
: ファイルやディレクトリを表示するためのビューウィジェット。QFileSystemModel
: ファイルシステムのデータをビューに提供するモデル(あるいはカスタムモデル)。QDir
/QFileInfo
: ファイルシステム操作(ディレクトリの移動、ファイルのチェックなど)。- カスタムウィジェット: サイドバーの代わりに、ユーザーがよく使う場所へのショートカットボタンやリストなどを独自に配置します。
- 目的: ファイルダイアログの外観、機能、およびサイドバーの挙動を完全に制御したい場合。
Qt Quick (QML) を使用している場合、QMLには専用のFileDialog
タイプがあり、JavaScriptでサイドバーのショートカットを操作できます。
- コード例 (QML):
注意: QMLのimport QtQuick 2.15 import QtQuick.Controls 2.15 import QtQuick.Dialogs 1.2 // または 1.3 (Qt 6.xの場合) ApplicationWindow { width: 640 height: 480 visible: true title: "QML FileDialog with Sidebar" Button { text: "ファイルを選択" onClicked: fileDialog.open() anchors.centerIn: parent } FileDialog { id: fileDialog title: "ファイルを選択してください" folder: shortcuts.home // 初期フォルダをホームディレクトリに設定 // サイドバーの項目をカスタマイズ (Qt 6.x の QML FileDialog では sidebarUrls はありません) // その代わり、ショートカットやカスタムURLを設定できます。 // 以下の例は、QML FileDialog が内部的に持つショートカットオブジェクトの利用例です。 // カスタムパスを直接追加する直接的なプロパティは提供されていません。 // QML FileDialog のサイドバーは、OSのネイティブダイアログまたはQtの内部実装に依存し、 // C++のQFileDialog::setSidebarUrls()のような直接的なカスタムURLリスト設定はできません。 // 代わりに、カスタムパスへのショートカットを別のUI要素として提供することを検討します。 // // sidebarVisible: true // サイドバーの表示/非表示 onAccepted: { console.log("選択されたファイル: " + fileDialog.fileUrl) // 複数選択の場合: fileDialog.fileUrls } onRejected: { console.log("キャンセルされました") } } }
FileDialog
は、C++のQFileDialog
と同様に、ネイティブダイアログを優先します。C++のsetSidebarUrls()
のような、カスタムURLリストを直接設定するプロパティはQMLのFileDialog
には提供されていません。QMLでサイドバーを細かく制御したい場合は、上記2.の「完全にカスタムなファイルブラウザダイアログ」をQMLで実装するか、C++のQFileDialog
をDontUseNativeDialog
オプション付きで使用し、C++/QML連携でダイアログを表示させる方法を検討する必要があります。 - 欠点:
- C++(Qt Widgets)アプリケーションとは別の技術スタック。
- 利点:
- QMLの宣言的な構文により、UIの構築が容易。
shortcuts
プロパティを介して一般的なパスにアクセス可能。sidebarVisible
プロパティでサイドバーの表示/非表示を制御可能。
- 目的: QMLベースのアプリケーションでファイル選択ダイアログを提供し、サイドバーをカスタマイズする。
QFileDialog::sidebarUrls()
の代替手段は、主に「ネイティブダイアログの制限をどう回避するか」という点に集約されます。
QFileDialog::DontUseNativeDialog
: 最も簡単で推奨される方法です。Qtの汎用ダイアログを使うことで、sidebarUrls()
とsetSidebarUrls()
の機能を最大限に活用できます。- カスタムファイルブラウザダイアログ: 最も柔軟性がありますが、実装コストが高いです。
QFileSystemModel
などを利用して、ゼロからUIを構築します。 - QMLの
FileDialog
: QMLアプリケーション向けですが、C++のsidebarUrls()
のような直接的なカスタムURLリスト設定機能は持っていません。