Qt QFileDialog::setProxyModel() の落とし穴と解決策：よくあるエラーとトラブルシューティング

2025-05-27

QFileDialog とは何か？

まず、QFileDialog は、ユーザーがファイルやディレクトリを選択するための標準的なダイアログを提供します。通常、QFileDialog::getOpenFileName() や QFileDialog::getSaveFileName() のような静的関数を使って簡単に利用できます。しかし、これらの静的関数では、ファイルフィルター（例: *.txt, *.jpg）を設定したり、初期ディレクトリを指定したりする程度の基本的なカスタマイズしかできません。

なぜ setProxyModel() が必要か？

より高度なカスタマイズが必要な場合に setProxyModel() が役立ちます。具体的には、以下のようなシナリオで利用されます。

- システムファイルや隠しファイルなど、ユーザーに見せたくないファイルを非表示にしたい場合。
- 特定の条件（ファイルサイズ、更新日時など）に基づいてファイルをフィルタリングしたい場合。
表示順序を変更する（ソート）
- ファイルやディレクトリを名前以外の基準（例えば、サイズが大きい順、更新が新しい順など）でソートしたい場合。
仮想的なアイテムを追加する
- 実際にはファイルシステム上に存在しない「仮想ドライブ」や「お気に入りフォルダ」のような項目をダイアログに表示したい場合。
- ネットワーク上のリソースや、アプリケーション固有のデータストレージへのショートカットを表示したい場合。

setProxyModel() の仕組み

QFileDialog は内部的に QFileSystemModel というモデルを使用して、ファイルシステムからファイルやディレクトリの情報を取得し、それをビュー（ダイアログ内に表示されるリストなど）に表示しています。

setProxyModel() は、この QFileSystemModel とビューの間に「プロキシモデル」を挿入する機能です。プロキシモデルは QAbstractProxyModel を継承したクラス（通常は QSortFilterProxyModel を継承して作成します）で、ソースモデル（この場合は QFileSystemModel）からデータを受け取り、それを加工してビューに提供します。

つまり、プロキシモデルを介することで、元々のファイルシステムの情報に手を加えることなく、表示上の見え方だけを制御できるのです。

使用例（概念的な説明）

QSortFilterProxyModel を継承したカスタムプロキシモデルを作成し、filterAcceptsRow() メソッドをオーバーライドすることで、特定の条件に合致するファイルをフィルタリングできます。

#include <QFileDialog>
#include <QSortFilterProxyModel>
#include <QFileSystemModel> // QFileDialogが内部的に使用するモデル

// カスタムプロキシモデルの例
class MyFileFilterProxyModel : public QSortFilterProxyModel
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyFileFilterProxyProxyModel(QObject *parent = nullptr)
        : QSortFilterProxyModel(parent)
    {}

protected:
    // このメソッドをオーバーライドしてフィルタリングロジックを実装
    bool filterAcceptsRow(int sourceRow, const QModelIndex &sourceParent) const override
    {
        // ソースモデル（QFileSystemModel）からアイテムのインデックスを取得
        QModelIndex index = sourceModel()->index(sourceRow, 0, sourceParent);
        // ファイルシステム上のパスを取得
        QString path = qobject_cast<QFileSystemModel*>(sourceModel())->filePath(index);

        // 例: ".tmp" 拡張子のファイルを非表示にする
        if (path.endsWith(".tmp", Qt::CaseInsensitive)) {
            return false; // 非表示
        }

        // 例: 特定のディレクトリを非表示にする
        if (qobject_cast<QFileSystemModel*>(sourceModel())->isDir(index) && path.contains("HiddenFolder", Qt::CaseInsensitive)) {
            return false; // 非表示
        }

        return true; // 表示
    }
};

// QFileDialogでの使用例
void openCustomFileDialog() {
    QFileDialog dialog;

    // ネイティブダイアログではなく、Qtウィジェットベースのダイアログを使用することを強制
    // プロキシモデルはネイティブダイアログでは動作しない可能性があるため
    dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);

    // カスタムプロキシモデルを作成し、設定
    MyFileFilterProxyModel *proxyModel = new MyFileFilterProxyModel(&dialog);
    dialog.setProxyModel(proxyModel);

    // ファイルモードやフィルターなど、他のQFileDialogの設定も行う
    dialog.setFileMode(QFileDialog::ExistingFile);
    dialog.setNameFilter("すべてのファイル (*.*)");

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        QString selectedFile = dialog.selectedFiles().first();
        qDebug() << "選択されたファイル: " << selectedFile;
    }
}

重要な注意点

複雑性
単純なファイルフィルターであれば setNameFilter() で十分です。setProxyModel() は、より複雑なデータ操作や表示ロジックが必要な場合に検討すべき機能です。
QFileSystemModel の理解
QFileDialog が内部で QFileSystemModel を使用していることを理解すると、プロキシモデルでのフィルタリングやソートのロジックをより効果的に実装できます。QFileSystemModel はファイルシステムを抽象化し、ファイルやディレクトリをモデル/ビューアーキテクチャのアイテムとして扱えるようにします。
ネイティブダイアログとの互換性
setProxyModel() は、Qtが提供するウィジェットベースのファイルダイアログでのみ機能します。多くのOS（Windows, macOS, Linuxデスクトップ環境）では、デフォルトでプラットフォームネイティブなファイルダイアログが使用されます。ネイティブダイアログはOSの見た目や操作感に合うため一般的に好ましいですが、setProxyModel() のような詳細なカスタマイズはできません。 setProxyModel() を使用する場合は、QFileDialog::setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true); を呼び出して、Qtのウィジェットベースのダイアログを強制的に使用させる必要があります。

QFileDialog::setProxyModel() を使用する際、多くの開発者が遭遇する問題は、主に「期待通りに動作しない」というものです。これは、Qt のモデル/ビューアーキテクチャ、特に QFileDialog が内部でどのようにファイルシステムを扱うかを十分に理解していない場合に発生しやすいです。

ネイティブダイアログが使用されている

問題
setProxyModel() を設定したにもかかわらず、フィルタリングやソートが適用されない。ダイアログがOSの標準的なファイルダイアログのように見える。

原因
QFileDialog はデフォルトで、OSのネイティブファイルダイアログを使用しようとします。ネイティブダイアログはOSの見た目や操作感に合致しており、一般的に推奨されますが、setProxyModel() のようなQt独自の高度なカスタマイズ機能はサポートしていません。

トラブルシューティング
QFileDialog::DontUseNativeDialog オプションを設定して、Qtのウィジェットベースのダイアログを強制的に使用させます。

QFileDialog dialog;
dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true); // これが重要！
// ... その他の設定とsetProxyModel()

これを忘れると、setProxyModel() を呼び出しても、その効果が表れないという典型的な問題に直面します。

プロキシモデルのロジックの誤り

問題
プロキシモデル（QSortFilterProxyModel のサブクラスなど）を作成したが、期待通りにファイルがフィルタリングされない、またはソートされない。

原因
filterAcceptsRow() (フィルタリングの場合) や lessThan() (ソートの場合) メソッドの実装に誤りがある可能性があります。特に、QFileSystemModel のデータ構造を正しく理解していないと、意図しない結果になることがあります。

トラブルシューティング

デバッグログ
- プロキシモデルのメソッド内に qDebug() ステートメントを挿入し、フィルタリング/ソートの過程でどのようなデータが処理されているか、どのような条件が適用されているかを確認します。
lessThan() の確認
- ソート順序が期待通りになるように、比較ロジックが正しく実装されているか確認します。
- sourceModel()->data(source_left_index, Qt::DisplayRole) などで正しいデータロールを取得しているか確認します。
- sourceModel() から取得した QModelIndex が正しいことを確認します。
- qobject_cast<QFileSystemModel*>(sourceModel()) を使用して、ソースモデルを QFileSystemModel にキャストし、filePath(index) や fileName(index)、isDir(index) などのメソッドを使って、正確なファイル情報を取得しているか確認します。
- デバッグ出力 (qDebug()) を使って、filterAcceptsRow() が各ファイル/ディレクトリに対してどのように評価されているかを確認します。

プロキシモデルのソースモデル設定の欠落

問題
ファイルダイアログが空で表示される、または一部のファイルしか表示されない。

原因
プロキシモデルのソースモデルが正しく設定されていない可能性があります。QFileDialog は内部的に QFileSystemModel を使用しますが、プロキシモデルがその QFileSystemModel をソースとして認識していないと、データが正しく流れません。

トラブルシューティング
setProxyModel() を呼び出す前に、カスタムプロキシモデルの setSourceModel() メソッドを呼び出し、QFileDialog が内部で利用する QFileSystemModel を明示的に設定する必要があります。しかし、QFileDialog はこの QFileSystemModel を自動的に作成し、プロキシモデルに設定してくれるため、通常は明示的に設定する必要はありません。

この問題が発生する場合、考えられるのは、QFileDialog の構築順序や、プロキシモデルを生成するタイミングの誤りです。通常は以下のように書きます。

QFileDialog dialog;
dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);

MyFileFilterProxyModel *proxyModel = new MyFileFilterProxyModel(&dialog); // dialogを親に設定
dialog.setProxyModel(proxyModel);

// dialog.setProxyModel()を呼び出すと、QFileDialogが内部で作成したQFileSystemModelを
// proxyModelのsourceModelとして自動的に設定してくれます。

もし、ユーザーが独自の QFileSystemModel インスタンスを QFileDialog に設定している（これは一般的ではありませんが）場合は、そのカスタム QFileSystemModel をプロキシモデルのソースとして設定する必要があります。

メモリ管理の問題（特にC++の場合）

問題
アプリケーションがクラッシュする、または未定義の動作をする。

原因
Qtのオブジェクトツリーの親子関係を正しく管理していない場合、プロキシモデルが意図せず削除されたり、二重解放されたりすることがあります。

トラブルシューティング

スタック上のオブジェクト
プロキシモデルをスタック上で作成しないようにします（例: MyFileFilterProxyModel proxyModel;）。モデルはヒープ上に作成し、Qtの所有権メカニズムを利用して寿命を管理するのが一般的です。
親オブジェクトの設定
プロキシモデルのインスタンスを生成する際に、QFileDialog インスタンスを親として設定します。これにより、QFileDialog が破棄される際にプロキシモデルも自動的に破棄され、メモリリークや二重解放を防ぐことができます。
```
MyFileFilterProxyModel *proxyModel = new MyFileFilterProxyModel(&dialog); // &dialog が親
```
これにより、dialog がスコープ外に出て破棄されるときに proxyModel も一緒に破棄されます。

QFileDialog::setNameFilter() との競合/混同

問題
setProxyModel() と setNameFilter() の両方を設定した場合、setNameFilter() で設定したフィルターが適用されないように見える。

原因
setProxyModel() を使用すると、プロキシモデルのフィルタリングロジックが優先されます。setNameFilter() はあくまで「表示上のフィルタリングオプション」として機能しますが、実際のフィルタリングはプロキシモデルが行うため、プロキシモデルが許可しないファイルは表示されません。

トラブルシューティング

もし setNameFilter() の挙動とカスタムプロキシモデルのフィルタリングを連携させたい場合は、プロキシモデル内で現在の QFileDialog の選択されたフィルター (selectedNameFilter()) を取得し、それに基づいてフィルタリングロジックを調整する必要があります。これはより高度な実装になります。
setNameFilter() は、ユーザーが選択できるフィルタの種類をUIに表示するために使用し、実際のファイル選択ロジックはプロキシモデルに任せる、という役割分担を理解します。

仮想アイテムのインタラクションの問題

問題
プロキシモデルで仮想的なディレクトリやファイルを追加したが、それをクリックしても何も起こらない、または期待する動作をしない。

原因
QSortFilterProxyModel は基本的に既存のデータ（ソースモデルのデータ）を変換するためのものです。仮想的なアイテム（ソースモデルに存在しないアイテム）を追加した場合、これらのアイテムに対するクリックなどの操作は、標準の QFileDialog の内部ロジックでは扱われないことがあります。特に mapToSource() メソッドは、仮想アイテムに対して意味のあるソースインデックスを返せません。

トラブルシューティング

シグナル/スロットでの処理
ダイアログのビュー（通常は QListView や QTreeView）から発せられるシグナル（例: clicked(), doubleClicked()）を捕捉し、そのインデックスが仮想アイテムに対応するかどうかを判断し、手動で処理を行う必要があります。
QAbstractProxyModel を直接継承
仮想アイテムを扱う場合、QSortFilterProxyModel ではなく、より汎用的な QAbstractProxyModel を直接継承し、必要なすべてのモデルインターフェース（index(), parent(), rowCount(), columnCount(), data() など）を自分で実装する必要があります。これにより、仮想アイテムの動作を完全に制御できます。

QFileDialog::setProxyModel() を使用するには、通常 QSortFilterProxyModel を継承したカスタムプロキシモデルを作成し、その filterAcceptsRow() メソッド（フィルタリングの場合）や lessThan() メソッド（ソートの場合）をオーバーライドします。

準備: プロジェクト設定

まず、Qt プロジェクトで widgets モジュールが有効になっていることを確認してください。.pro ファイルに以下を追加します。

QT += widgets

例1: 特定の拡張子のファイルのみを表示するフィルタリング

この例では、ファイルダイアログで .txt ファイルとディレクトリのみを表示し、他の拡張子のファイルを非表示にします。

カスタムプロキシモデルの定義 (myfilterproxymodel.h)

#ifndef MYFILTERPROXYMODEL_H
#define MYFILTERPROXYMODEL_H

#include <QSortFilterProxyModel>
#include <QFileSystemModel> // QFileDialogが内部的に使用するモデル

class MyFilterProxyModel : public QSortFilterProxyModel
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyFilterProxyModel(QObject *parent = nullptr);

protected:
    // このメソッドをオーバーライドしてフィルタリングロジックを実装します
    bool filterAcceptsRow(int sourceRow, const QModelIndex &sourceParent) const override;
};

#endif // MYFILTERPROXYMODEL_H

カスタムプロキシモデルの実装 (myfilterproxymodel.cpp)

#include "myfilterproxymodel.h"
#include <QFileInfo>
#include <QDebug>

MyFilterProxyModel::MyFilterProxyModel(QObject *parent)
    : QSortFilterProxyModel(parent)
{
    // ソースモデルがQFileSystemModelであることを想定
    // QFileDialogが自動的に設定してくれるので、ここでは明示的にsetSourceModelは呼び出しません
}

bool MyFilterProxyModel::filterAcceptsRow(int sourceRow, const QModelIndex &sourceParent) const
{
    // ソースモデルから対応するインデックスを取得
    QModelIndex index = sourceModel()->index(sourceRow, 0, sourceParent);

    // QFileSystemModelにキャストして、ファイル情報を取得
    const QFileSystemModel *fileSystemModel = qobject_cast<const QFileSystemModel*>(sourceModel());
    if (!fileSystemModel) {
        return true; // ソースモデルがQFileSystemModelでない場合は、そのまま表示
    }

    // ディレクトリの場合は常に表示
    if (fileSystemModel->isDir(index)) {
        return true;
    }

    // ファイルの場合
    QFileInfo fileInfo = fileSystemModel->fileInfo(index);
    // .txt 拡張子のファイルのみを許可
    if (fileInfo.suffix().toLower() == "txt") {
        return true;
    }

    // それ以外のファイルは非表示
    return false;
}

QFileDialog の使用例 (main.cpp や任意のWidgetクラス)

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QDebug>
#include "myfilterproxymodel.h"

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QFileDialog dialog;
    // ネイティブダイアログではなく、Qtウィジェットベースのダイアログを使用することを強制
    // これを忘れるとプロキシモデルは機能しません！
    dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);

    // カスタムプロキシモデルを作成し、QFileDialogに設定
    MyFilterProxyModel *proxyModel = new MyFilterProxyModel(&dialog); // dialogを親に設定
    dialog.setProxyModel(proxyModel);

    // ダイアログの初期設定
    dialog.setWindowTitle("カスタムファイルダイアログ（.txtのみ表示）");
    dialog.setFileMode(QFileDialog::ExistingFile); // 既存ファイルを選択
    dialog.setDirectory(QDir::homePath()); // ホームディレクトリを初期パスに設定

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        QString selectedFile = dialog.selectedFiles().first();
        qDebug() << "選択されたファイル: " << selectedFile;
    } else {
        qDebug() << "ファイル選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

例2: 隠しファイルと特定のディレクトリを非表示にする

この例では、隠しファイル（ドットで始まるファイル/ディレクトリ）と、"SystemFiles"という名前のディレクトリを非表示にします。

カスタムプロキシモデルの定義 (mycomplexfilterproxymodel.h)

#ifndef MYCOMPLEXFILTERPROXYMODEL_H
#define MYCOMPLEXFILTERPROXYMODEL_H

#include <QSortFilterProxyModel>
#include <QFileSystemModel>

class MyComplexFilterProxyModel : public QSortFilterProxyModel
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyComplexFilterProxyModel(QObject *parent = nullptr);

protected:
    bool filterAcceptsRow(int sourceRow, const QModelIndex &sourceParent) const override;
};

#endif // MYCOMPLEXFILTERPROXYMODEL_H

カスタムプロキシモデルの実装 (mycomplexfilterproxymodel.cpp)

#include "mycomplexfilterproxymodel.h"
#include <QFileInfo>
#include <QDir>
#include <QDebug>

MyComplexFilterProxyModel::MyComplexFilterProxyModel(QObject *parent)
    : QSortFilterProxyModel(parent)
{
    // 通常、QFileSystemModel のフィルターオプションと連携させることも可能です。
    // 例: setFilterFixedString("."); // ドットファイルでフィルタリングする
}

bool MyComplexFilterProxyModel::filterAcceptsRow(int sourceRow, const QModelIndex &sourceParent) const
{
    QModelIndex index = sourceModel()->index(sourceRow, 0, sourceParent);
    const QFileSystemModel *fileSystemModel = qobject_cast<const QFileSystemModel*>(sourceModel());
    if (!fileSystemModel) {
        return true;
    }

    QFileInfo fileInfo = fileSystemModel->fileInfo(index);

    // 1. 隠しファイルを非表示にする
    if (fileInfo.isHidden()) {
        return false;
    }

    // 2. 特定のディレクトリを非表示にする
    if (fileInfo.isDir() && fileInfo.fileName().compare("SystemFiles", Qt::CaseInsensitive) == 0) {
        return false;
    }

    // 3. 例: バックアップファイルを非表示にする (.bak, ~で終わるファイル)
    if (fileInfo.isFile()) {
        QString fileName = fileInfo.fileName();
        if (fileName.endsWith(".bak", Qt::CaseInsensitive) || fileName.endsWith("~")) {
            return false;
        }
    }

    // 上記の条件に合致しない場合は表示
    return true;
}

QFileDialog の使用例 (main.cpp など)

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QDebug>
#include "mycomplexfilterproxymodel.h" // 新しいプロキシモデルをインクルード

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QFileDialog dialog;
    dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);

    MyComplexFilterProxyModel *proxyModel = new MyComplexFilterProxyModel(&dialog);
    dialog.setProxyModel(proxyModel);

    dialog.setWindowTitle("カスタムファイルダイアログ（隠しファイル/特定ディレクトリ非表示）");
    dialog.setFileMode(QFileDialog::AnyFile); // 任意のファイルを選択可能
    dialog.setDirectory(QDir::homePath());

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        QStringList selectedFiles = dialog.selectedFiles();
        for (const QString &file : selectedFiles) {
            qDebug() << "選択されたファイル: " << file;
        }
    } else {
        qDebug() << "ファイル選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

例3: ファイルをサイズでソートする

この例では、ファイルダイアログ内のファイルをファイルサイズの大きい順にソートします。

カスタムプロキシモデルの定義 (mysortproxymodel.h)

#ifndef MYSORTPROXYMODEL_H
#define MYSORTPROXYMODEL_H

#include <QSortFilterProxyModel>
#include <QFileSystemModel>

class MySortProxyModel : public QSortFilterProxyModel
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MySortProxyModel(QObject *parent = nullptr);

protected:
    // このメソッドをオーバーライドしてソートロジックを実装します
    bool lessThan(const QModelIndex &left, const QModelIndex &right) const override;
};

#endif // MYSORTPROXYMODEL_H

カスタムプロキシモデルの実装 (mysortproxymodel.cpp)

#include "mysortproxymodel.h"
#include <QFileInfo>
#include <QDebug>

MySortProxyModel::MySortProxyModel(QObject *parent)
    : QSortFilterProxyModel(parent)
{
    // ソートするカラムを指定
    // QFileSystemModel のサイズカラムは通常 QFileSystemModel::SizeColumn (3)
    setSortRole(Qt::UserRole + 1); // サイズ比較のためにカスタムロールを使用
}

bool MySortProxyModel::lessThan(const QModelIndex &left, const QModelIndex &right) const
{
    const QFileSystemModel *fileSystemModel = qobject_cast<const QFileSystemModel*>(sourceModel());
    if (!fileSystemModel) {
        return QSortFilterProxyModel::lessThan(left, right); // デフォルトの動作にフォールバック
    }

    // ディレクトリとファイルを区別してソートする（ディレクトリは常に上位に表示）
    bool leftIsDir = fileSystemModel->isDir(left);
    bool rightIsDir = fileSystemModel->isDir(right);

    if (leftIsDir && !rightIsDir) return true;  // left がディレクトリ、right がファイル -> left が小さい
    if (!leftIsDir && rightIsDir) return false; // left がファイル、right がディレクトリ -> right が小さい

    // 両方ともディレクトリ、または両方ともファイルの場合
    if (leftIsDir && rightIsDir) {
        // ディレクトリは名前でソート（デフォルトの動作）
        return fileSystemModel->fileName(left).toLower() < fileSystemModel->fileName(right).toLower();
    } else {
        // ファイルの場合：サイズで大きい順にソート
        // `QFileSystemModel::fileInfo()` からファイルサイズを取得
        qint64 leftSize = fileSystemModel->fileInfo(left).size();
        qint64 rightSize = fileSystemModel->fileInfo(right).size();

        // 降順ソート（大きい方が小さいとみなされる）
        return leftSize > rightSize;
    }
}

QFileDialog の使用例 (main.cpp など)

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QDebug>
#include "mysortproxymodel.h" // 新しいプロキシモデルをインクルード

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QFileDialog dialog;
    dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);

    MySortProxyModel *proxyModel = new MySortProxyModel(&dialog);
    dialog.setProxyModel(proxyModel);

    // ダイアログのビューのソートカラムとソート順を設定
    // QFileDialogのビューは通常、QTreeViewとQListViewで構成されます
    // デフォルトでは名前でソートされているため、ソートを有効にする必要があります
    // また、特定のカラムでソートするように指示する必要があります。
    // QFileSystemModelのSizeColumnは通常3番目のカラムです。
    // ただし、QFileDialogは内部で自動的にビューのソートを設定する場合があるため、
    // 明示的な設定が難しい場合があります。
    // この例では、lessThan() でロジックを直接制御しているため、
    // ここでのソートカラム設定は必須ではありませんが、
    // 一般的なQSortFilterProxyModelの使用例として参考にしてください。
    dialog.findChild<QTreeView*>()->setSortingEnabled(true);
    // dialog.findChild<QTreeView*>()->sortByColumn(QFileSystemModel::SizeColumn, Qt::DescendingOrder); // SizeColumn (3) が正しいか確認が必要

    dialog.setWindowTitle("カスタムファイルダイアログ（サイズでソート）");
    dialog.setFileMode(QFileDialog::ExistingFile);
    dialog.setDirectory(QDir::homePath());

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        QString selectedFile = dialog.selectedFiles().first();
        qDebug() << "選択されたファイル: " << selectedFile;
    } else {
        qDebug() << "ファイル選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

メモリ管理
プロキシモデルのインスタンスをヒープに作成し (new MyFilterProxyModel(...))、QFileDialog インスタンスを親として設定することで、QFileDialog が破棄されるときにプロキシモデルも自動的に解放されるようにします。
QFileSystemModel の利用
QFileDialog は内部で QFileSystemModel を使用しています。プロキシモデル内でファイル情報を取得する際は、qobject_cast<const QFileSystemModel*>(sourceModel()) を使ってソースモデルを QFileSystemModel にキャストし、そのメソッド（fileInfo(), isDir(), fileName(), filePath() など）を利用するのが一般的です。
QFileDialog::DontUseNativeDialog
繰り返しますが、setProxyModel() はネイティブダイアログでは機能しないため、必ず dialog.setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true); を設定してください。

QFileDialog の標準機能を利用する

最もシンプルで推奨される方法です。setProxyModel() ほど柔軟ではありませんが、多くの一般的なユースケースに対応できます。

a. `setNameFilter()` / `setNameFilters()` によるファイルフィルタリング

これは最も一般的なフィルタリング方法で、ダイアログ下部の「ファイルの種類」ドロップダウンリストに表示されるフィルターを設定します。

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QString fileName = QFileDialog::getOpenFileName(
        nullptr,
        "画像ファイルを選択",
        QDir::homePath(), // 初期ディレクトリ
        "画像ファイル (*.png *.jpg *.jpeg);;テキストファイル (*.txt);;すべてのファイル (*.*)" // 複数のフィルター
    );

    if (!fileName.isEmpty()) {
        qDebug() << "選択されたファイル: " << fileName;
    } else {
        qDebug() << "ファイル選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

欠点
- フィルタリングは拡張子ベースに限られる。ファイルサイズ、更新日時、隠しファイルなどのより複雑な条件でのフィルタリングはできない。
- ソート順のカスタマイズはできない（OSのネイティブダイアログのソート機能に依存）。
利点
- 非常に簡単で直感的。
- ほとんどのプラットフォームでネイティブダイアログが使用されるため、OSの見た目や操作感に合う。

b. `QFileDialog::setFileMode()` による選択モードの指定

ファイルモード（ファイルのみ、ディレクトリのみ、複数選択など）を設定できます。

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QFileDialog dialog;
    dialog.setWindowTitle("ディレクトリを選択");
    dialog.setFileMode(QFileDialog::Directory); // ディレクトリのみ選択可能
    dialog.setOption(QFileDialog::ShowDirsOnly, true); // ディレクトリのみ表示 (推奨)
    dialog.setDirectory(QDir::homePath());

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        QString selectedDir = dialog.selectedFiles().first();
        qDebug() << "選択されたディレクトリ: " << selectedDir;
    } else {
        qDebug() << "ディレクトリ選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

欠点
フィルタリングやソートのカスタマイズとは直接関係ない。
利点
ファイルダイアログの用途を明確にできる。

c. `QFileDialog::setOption()` による振る舞いの変更

例えば、隠しファイルを表示するかどうかなど、特定の振る舞いを変更できます。

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QDebug>
#include <QDir> // QDir::Hidden を使用するため

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QFileDialog dialog;
    dialog.setWindowTitle("隠しファイルを表示する");
    dialog.setFileMode(QFileDialog::ExistingFile);
    dialog.setDirectory(QDir::homePath());

    // 隠しファイルも表示するオプション
    dialog.setOption(QFileDialog::ShowDirsOnly, false); // 通常のファイル表示
    dialog.setFilter(QDir::AllEntries | QDir::Hidden | QDir::System); // QDir::Hidden オプション

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        QString selectedFile = dialog.selectedFiles().first();
        qDebug() << "選択されたファイル: " << selectedFile;
    } else {
        qDebug() << "ファイル選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

欠点
setProxyModel() のような柔軟なカスタムロジックには対応できない。
利点
特定の標準的な表示オプションを制御できる。

QFileDialog を継承してカスタマイズする

QFileDialog をサブクラス化し、その内部コンポーネント（ビューやレイアウト）にアクセスしてカスタムウィジェットを追加したり、イベントを処理したりする方法です。setProxyModel() よりもさらに低レベルなカスタマイズが必要な場合に検討されますが、非常に複雑になります。

この方法は、QFileDialog::DontUseNativeDialog を設定してQtのウィジェットベースのダイアログを使用する場合にのみ有効です。

#include <QApplication>
#include <QFileDialog>
#include <QVBoxLayout>
#include <QPushButton>
#include <QDebug>
#include <QAbstractButton> // QPushButton の基底クラス

// QFileDialogを継承したカスタムダイアログ
class MyCustomFileDialog : public QFileDialog
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyCustomFileDialog(QWidget *parent = nullptr, const QString &caption = QString(),
                                const QString &directory = QString(), const QString &filter = QString())
        : QFileDialog(parent, caption, directory, filter)
    {
        // Qtのウィジェットベースのダイアログを強制
        setOption(QFileDialog::DontUseNativeDialog, true);

        // ダイアログのレイアウトを取得（複雑で不安定な場合がある）
        // QFileDialogの内部構造はバージョンによって変わる可能性があるため、注意が必要です。
        // 一般的には、QFileDialogの内部ウィジェットにアクセスするのは推奨されません。
        // ここではあくまで「代替手段」として示します。

        // 例: カスタムボタンを追加
        QPushButton *myCustomButton = new QPushButton("カスタムボタン", this);
        // ダイアログのレイアウトに追加する最も簡単な方法（ただし配置は制御しにくい）
        // QFileDialogのレイアウトは内部的に非常に複雑なので、
        // 既存のレイアウトに直接追加するのは困難な場合があります。
        // 別の方法として、ダイアログの親ウィジェットを取得し、そこにカスタムウィジェットを追加する方法も考えられますが、
        // QFileDialogの内部ビューを操作するのはさらに複雑です。

        // 代わりに、QFileDialogの子供ウィジェットを特定し、そのレイアウトを変更する例（非常に危険）
        // これはQtの内部実装に依存するため、将来のバージョンで動作しなくなる可能性があります。
        // 一般的なQFileDialogのカスタマイズでは、このレベルの操作は避けるべきです。
        // QWidget *centralWidget = findChild<QWidget*>("qt_filedialog_directory_model_view"); // 例
        // if (centralWidget) {
        //     QVBoxLayout *mainLayout = qobject_cast<QVBoxLayout*>(centralWidget->layout());
        //     if (mainLayout) {
        //         mainLayout->addWidget(myCustomButton);
        //     }
        // }

        // より現実的なカスタマイズとしては、シグナル/スロットを利用して外部から制御します。
        // 例: ファイル選択時に何かカスタム処理を行う
        connect(this, &QFileDialog::fileSelected, this, [](const QString &file){
            qDebug() << "カスタムダイアログでファイルが選択されました: " << file;
            // ここで追加のバリデーションや処理を行う
        });
        // OK/Cancelボタンが押されたときのカスタム処理
        connect(this, &QFileDialog::accepted, this, [](){
            qDebug() << "カスタムダイアログがOKで閉じられました。";
        });
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    MyCustomFileDialog dialog(nullptr, "完全にカスタムされたダイアログ");
    dialog.setFileMode(QFileDialog::ExistingFile);
    dialog.setDirectory(QDir::homePath());
    dialog.setNameFilter("すべてのファイル (*.*)");

    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        qDebug() << "最終的に選択されたファイル: " << dialog.selectedFiles().first();
    } else {
        qDebug() << "最終的にキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

#include "main.moc" // Q_OBJECT を使用する場合、mocファイルをインクルードする必要がある

欠点
- 非常に複雑でメンテナンスが難しい。 QFileDialog の内部構造はQtのバージョンアップで変更される可能性があり、互換性が失われるリスクが高い。
- QFileDialog は内部的に多くのプライベートなウィジェットを持つため、それらを安全に操作するのが難しい。
- ネイティブダイアログを使用できない。
利点
QFileDialog の外観や挙動をより細かく制御できる可能性がある。カスタムウィジェットの埋め込みなどが可能。

最も柔軟ですが、最も労力がかかる方法です。QTreeView や QListView と QFileSystemModel を組み合わせて、独自のファイルエクスプローラコンポーネントを作成します。

#include <QApplication>
#include <QDialog>
#include <QVBoxLayout>
#include <QHBoxLayout>
#include <QTreeView>
#include <QListView>
#include <QFileSystemModel>
#include <QPushButton>
#include <QLineEdit>
#include <QDebug>
#include <QSplitter>

class MyFileExplorerDialog : public QDialog
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyFileExplorerDialog(QWidget *parent = nullptr)
        : QDialog(parent)
    {
        setWindowTitle("独自のファイルエクスプローラー");
        resize(800, 600);

        QVBoxLayout *mainLayout = new QVBoxLayout(this);

        // ファイルシステムモデル
        fileSystemModel = new QFileSystemModel(this);
        fileSystemModel->setRootPath(QDir::homePath());
        fileSystemModel->setFilter(QDir::AllDirs | QDir::Files | QDir::NoDotAndDotDot | QDir::Hidden); // 隠しファイルもここで制御

        // ディレクトリツリービュー
        QTreeView *treeView = new QTreeView(this);
        treeView->setModel(fileSystemModel);
        treeView->setRootIndex(fileSystemModel->index(QDir::homePath()));
        treeView->hideColumn(1); // サイズ
        treeView->hideColumn(2); // タイプ
        treeView->hideColumn(3); // 更新日時
        treeView->setHeaderHidden(true); // ヘッダーを非表示
        connect(treeView, &QTreeView::clicked, this, &MyFileExplorerDialog::onTreeViewClicked);

        // ファイルリストビュー
        fileListView = new QListView(this);
        fileListView->setModel(fileSystemModel);
        fileListView->setRootIndex(fileSystemModel->index(QDir::homePath()));
        fileListView->setSelectionMode(QAbstractItemView::SingleSelection); // 単一ファイル選択
        connect(fileListView, &QListView::clicked, this, &MyFileExplorerDialog::onFileListViewClicked);
        connect(fileListView, &QListView::doubleClicked, this, &MyFileExplorerDialog::onFileListViewDoubleClicked);

        // スプリッターでツリービューとリストビューを配置
        QSplitter *splitter = new QSplitter(Qt::Horizontal, this);
        splitter->addWidget(treeView);
        splitter->addWidget(fileListView);
        splitter->setStretchFactor(0, 1);
        splitter->setStretchFactor(1, 3);
        mainLayout->addWidget(splitter);

        // 選択されたファイル名表示
        selectedFileLineEdit = new QLineEdit(this);
        selectedFileLineEdit->setReadOnly(true);
        mainLayout->addWidget(selectedFileLineEdit);

        // OK/Cancelボタン
        QHBoxLayout *buttonLayout = new QHBoxLayout();
        QPushButton *okButton = new QPushButton("OK", this);
        QPushButton *cancelButton = new QPushButton("キャンセル", this);
        buttonLayout->addStretch();
        buttonLayout->addWidget(okButton);
        buttonLayout->addWidget(cancelButton);
        mainLayout->addLayout(buttonLayout);

        connect(okButton, &QPushButton::clicked, this, &MyFileExplorerDialog::accept);
        connect(cancelButton, &QPushButton::clicked, this, &MyFileExplorerDialog::reject);
    }

    QString selectedFile() const {
        return m_selectedFile;
    }

private slots:
    void onTreeViewClicked(const QModelIndex &index) {
        if (fileSystemModel->isDir(index)) {
            fileListView->setRootIndex(index);
            m_currentPath = fileSystemModel->filePath(index);
            selectedFileLineEdit->clear(); // ディレクトリ選択時はクリア
        }
    }

    void onFileListViewClicked(const QModelIndex &index) {
        if (!fileSystemModel->isDir(index)) {
            m_selectedFile = fileSystemModel->filePath(index);
            selectedFileLineEdit->setText(m_selectedFile);
        } else {
            // ディレクトリがクリックされた場合は、そのディレクトリに移動
            fileListView->setRootIndex(index);
            m_currentPath = fileSystemModel->filePath(index);
            selectedFileLineEdit->clear();
        }
    }

    void onFileListViewDoubleClicked(const QModelIndex &index) {
        if (!fileSystemModel->isDir(index)) {
            m_selectedFile = fileSystemModel->filePath(index);
            selectedFileLineEdit->setText(m_selectedFile);
            accept(); // ファイルがダブルクリックされたらダイアログを閉じる
        } else {
            // ディレクトリがダブルクリックされた場合は、そのディレクトリに移動
            fileListView->setRootIndex(index);
            m_currentPath = fileSystemModel->filePath(index);
            selectedFileLineEdit->clear();
        }
    }

private:
    QFileSystemModel *fileSystemModel;
    QListView *fileListView;
    QLineEdit *selectedFileLineEdit;
    QString m_selectedFile;
    QString m_currentPath;
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    MyFileExplorerDialog dialog;
    if (dialog.exec() == QDialog::Accepted) {
        qDebug() << "選択されたファイル: " << dialog.selectedFile();
    } else {
        qDebug() << "ファイル選択がキャンセルされました。";
    }

    return a.exec();
}

#include "main.moc" // Q_OBJECT を使用する場合、mocファイルをインクルードする必要がある

欠点
- 開発コストが非常に高い
  QFileDialog が提供する多くの機能を自分で実装し直す必要がある。
- 標準的なファイルダイアログの挙動を再現するにはかなりの労力が必要。
- プラットフォームネイティブな見た目や操作感は得られない。
利点
- 究極の柔軟性
  外観、レイアウト、ファイル表示ロジック、フィルタリング、ソート、追加機能（プレビュー、サムネイルなど）を完全に制御できます。
- 仮想ファイルシステムやネットワークパスなど、QFileSystemModel では扱えないデータソースを統合することも可能（QAbstractItemModel を継承して独自のモデルを作成することで）。

ファイルダイアログのUI、機能、データソースを完全に制御したい場合
独自のウィジェットを組み合わせてゼロからファイルエクスプローラーを構築するのが唯一の選択肢ですが、最も開発コストが高く、複雑です。
より複雑なフィルタリングやソートが必要で、ネイティブダイアログの見た目は犠牲にできる場合
QFileDialog::setProxyModel() とカスタム QSortFilterProxyModel を使用するのが最もバランスの取れた方法です。
簡単なフィルタリングや基本的な機能で十分な場合
QFileDialog::setNameFilter() や setFileMode()、setOption() など、QFileDialog の標準機能を利用するのが最も簡単で推奨されます。ネイティブダイアログも利用できます。

Qtプログラミング初心者必見！QFileDialog::acceptModeのエラーと解決策

QFileDialog::acceptMode には主に以下の2つの値があります。QFileDialog::AcceptSave: これは、ユーザーがファイルを保存しようとしていることを示します。このモードでは、通常、ダイアログの「OK」ボタン（またはプラットフォームに応じた同等のボタン）のテキストが「保存」や「Save」といった表示になります。また、既に存在するファイル名を入力した場合に、上書きの確認ダイアログを表示するかどうか（confirmOverwrite プロパティによって制御されます）などの動作に影響を与えます。ファイルの保存ダイアログとして機能します。

Qt アプリケーション開発：QFileDialogのイベント処理をマスターする

保護された仮想関数 (protected virtual function): 保護された (protected): この関数は、QFileDialog クラス自身、およびその派生クラスからのみアクセスできます。外部のオブジェクトから直接呼び出すことはできません。仮想 (virtual): これは重要なポイントです。QFileDialog を継承して独自のファイルダイアログクラスを作成した場合、この関数を再実装（オーバーライド）することで、状態変化に対する独自の処理を記述できます。

Qt QFileDialog: currentChanged()の代替シグナルと使い分けを徹底解説

Qtプログラミングにおけるvoid QFileDialog::currentChanged(const QString &path)は、QFileDialog（ファイルダイアログ）クラスが提供するシグナルの一つです。このシグナルは、ユーザーがQFileDialog内で現在選択しているファイルまたはディレクトリが変更されたときに発生します。つまり、ユーザーがダイアログ内で別のファイルやフォルダをクリックしたり、キーボードで移動したりして、選択が変更されるたびにこのシグナルが発せられます。

void QFileDialog::currentUrlChanged()

Qt プログラミングにおける void QFileDialog::currentUrlChanged() は、QFileDialog クラスが提供するシグナルです。これは、ファイルダイアログ内でユーザーが選択しているファイルのURL（パス）が変更されたときに発生します。

【Qtプログラミング】QFileDialogのdefaultSuffix代替案！柔軟なファイル名制御を実現

QFileDialog::defaultSuffix は、Qtのファイルダイアログ（ファイルを開いたり保存したりする際に表示されるウィンドウ）において、ユーザーがファイル名に拡張子を入力しなかった場合に、自動的に追加されるデフォルトの拡張子を設定するためのプロパティです。

Qt フォルダ選択で困らない！QFileDialog::directory() のエラーと解決策

QFileDialog::directory() は、静的（スタティック）な関数で、ユーザーにディレクトリ（フォルダ）を選択させるための標準的なファイルダイアログを表示し、選択されたディレクトリのパスを表す QString オブジェクトを返します。もしユーザーがキャンセルした場合や、エラーが発生した場合は、空の QString が返されます。

Qtプログラミング入門: QFileDialog::directoryEntered()シグナルの徹底解説

Qtにおける void QFileDialog::directoryEntered(const QString &directory) は、QFileDialog クラスが提供するシグナルの一つです。どのようなときに発せられるか？このシグナルは、ユーザーがファイルダイアログ内でディレクトリ（フォルダ）を移動し、新しいディレクトリに入ったときに発せられます。例えば、ユーザーがファイルダイアログ上でダブルクリックしてサブフォルダを開いたり、パスを手動で入力して別のディレクトリに移動したりしたときに、このシグナルがトリガーされます。

Qt でディレクトリ選択ダイアログをカスタマイズする方法

QFileDialog::directoryUrl() は、Qt フレームワークの QFileDialog クラスのメソッドで、現在ダイアログに表示されているディレクトリの URL を取得します。具体的に何をするのか？ディレクトリ選択ダイアログの表示 QFileDialog を使って、ファイルやディレクトリを選択するためのダイアログを表示します。

QFileDialog::directoryUrlEnteredのよくあるエラーと解決策【Qt】

Qt プログラミングにおける void QFileDialog::directoryUrlEntered() は、QFileDialog クラスが提供するシグナルです。どのようなときに発生するか？このシグナルは、ユーザーが QFileDialog （ファイル選択ダイアログ）内で、新しいディレクトリの URL（Uniform Resource Locator）を入力または選択し、そのディレクトリに入ろうとしたときに発行されます。

QFileDialog::done()の深掘り：内部動作とカスタマイズのヒント

まず、QFileDialog はQtにおける標準的なファイルダイアログを提供するクラスです。これは、ユーザーがファイルを開いたり、保存したり、ディレクトリを選択したりする際に使用されるGUIコンポーネントです。done() メソッドは、QDialog クラス（QFileDialog が継承しているクラス）から継承された保護された（protected）スロットです。このメソッドは、ダイアログが閉じられる際に呼び出され、ダイアログの結果コード（Accepted または Rejected）を設定するために使用されます。

Qt QFileDialog::setProxyModel() の落とし穴と解決策：よくあるエラーとトラブルシューティング

QFileDialog とは何か？

ネイティブダイアログが使用されている

プロキシモデルのロジックの誤り

プロキシモデルのソースモデル設定の欠落

メモリ管理の問題（特にC++の場合）

QFileDialog::setNameFilter() との競合/混同

仮想アイテムのインタラクションの問題

準備: プロジェクト設定

例1: 特定の拡張子のファイルのみを表示するフィルタリング

例2: 隠しファイルと特定のディレクトリを非表示にする

例3: ファイルをサイズでソートする

QFileDialog の標準機能を利用する

a. setNameFilter() / setNameFilters() によるファイルフィルタリング

b. QFileDialog::setFileMode() による選択モードの指定

c. QFileDialog::setOption() による振る舞いの変更

QFileDialog を継承してカスタマイズする

a. `setNameFilter()` / `setNameFilters()` によるファイルフィルタリング

b. `QFileDialog::setFileMode()` による選択モードの指定

c. `QFileDialog::setOption()` による振る舞いの変更