QColor::yellow()のAtoZ：Qtプログラミングでの色の扱い方

2025-05-27

Qtプログラミングにおける int QColor::yellow() は、QColor クラスの静的メンバー関数です。これは、特定の色の値を返す便利な関数の一つです。

具体的には、以下の意味を持ちます。

int
戻り値の型が int となっていますが、これはQRgbというunsigned int型の別名で、色を32ビットの整数値（通常はAARRGGBB形式、アルファ・赤・緑・青の各コンポーネント）として表現するためのものです。実際には、QColorオブジェクト自体を返します。Qtのドキュメントによっては、QColorオブジェクトを返すように記述されていることもあります。これは、内部的に色が数値として扱われるため、このように表現されることがあります。
yellow()
これは、定義済み（プリセット）の黄色を表す QColor オブジェクトを返す関数です。この関数を呼び出すことで、開発者はRGB値を手動で指定することなく、簡単に「黄色」の色を取得して使用できます。
:: (スコープ解決演算子)
C++において、クラスのメンバーにアクセスするために使用されます。ここでは、QColor クラスのメンバーである yellow にアクセスしていることを示します。
QColor クラス
Qtフレームワークで色を表現するためのクラスです。RGB（赤、緑、青）、HSV（色相、彩度、明度）、CMYK（シアン、マゼンタ、イエロー、キープレート/黒）などの色モデルをサポートし、色の生成、変換、操作を行う機能を提供します。

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        QPainter painter(this);

        // QColor::yellow() を使って黄色を取得し、四角形を描画
        painter.setBrush(QColor::yellow());
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // QColor::blue() を使って青色を取得し、別の四角形を描画
        painter.setBrush(QColor::blue());
        painter.drawRect(200, 50, 100, 100);
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidget widget;
    widget.resize(400, 200);
    widget.setWindowTitle("QColor::yellow() Example");
    widget.show();
    return app.exec();
}

QColor::yellow() 自体は非常にシンプルな静的関数であり、通常は直接的なエラーの原因になることは稀です。しかし、この関数が返すQColorオブジェクトを使用する際に、いくつかの一般的なエラーや、それに伴うトラブルシューティングが必要になることがあります。

以下に、関連する一般的なエラーとトラブルシューティングについて説明します。

戻り値の型に関する誤解 (int と QColor オブジェクト)

よくある誤解
Qtのドキュメントや文脈によっては、QColor::yellow() の戻り値が int (具体的には QRgb 型) であると記述されている場合があります。これは、内部的に色が32ビットの整数値（AARRGGBB形式）として表現されるためです。しかし、実際にはこの関数は QColor オブジェクトを返します。

問題

intとして受け取ろうとしたり、QColorオブジェクトとして扱うべき場所でintとして扱おうとすると、型ミスマッチによるコンパイルエラーや予期せぬ挙動が発生する可能性があります。

トラブルシューティング

QRgb型としてRGB値を取得したい場合は、QColorオブジェクトのrgb()関数やrgba()関数を使用します。
```
QColor myColor = QColor::yellow();
QRgb rgbValue = myColor.rgb(); // 黄色のRGB値（整数）を取得
```

常に QColor オブジェクトとして扱うことが推奨されます。

QColor myColor = QColor::yellow(); // 正しい使い方
// int colorValue = QColor::yellow(); // これは避けるべき。コンパイルエラーになるか、意図しない値になる可能性がある。

無効な QColor オブジェクトの使用

QColor::yellow() は常に有効な黄色の QColor オブジェクトを返しますが、他の方法（例えば、文字列から色を作成する QColor::setNamedColor() など）で色を作成した場合に、無効な色になることがあります。

問題

無効な QColor オブジェクトをQPainterやウィジェットのパレットに設定しても、色が正しく描画されないか、予期せぬ描画結果になる場合があります。Qtは性能上の理由から、無効な色を無視することがあり、その結果は未定義です。

トラブルシューティング

QColor::setNamedColor() を使用して文字列から色を設定する場合、文字列が有効な色名（SVG 1.0 color namesなど）であることを確認してください。存在しない色名を指定すると、isValid() が false を返します。

QColor::isValid() 関数を使用して、色が有効かどうかを確認します。

QColor myColor = QColor::yellow(); // これは常に有効
if (myColor.isValid()) {
    // 色が有効なので使用する
    painter.setBrush(myColor);
} else {
    // エラー処理、デフォルトの色を設定するなど
    qDebug() << "Invalid color!";
    painter.setBrush(Qt::black); // 例として黒を設定
}

Qtバージョンによる挙動の違い（非常に稀）

QColor::yellow() のような基本的な定数関数は、Qtのバージョン間で挙動が変わることはほとんどありませんが、非常に古いバージョンでは、より現代的なQtの挙動と微妙な違いがある可能性もゼロではありません。

問題

非常に古いQtバージョンで開発されたコードを、新しいQtバージョンでコンパイル・実行した場合に、色の表現がわずかに異なる、といったごく稀なケース。

トラブルシューティング

ほとんどの場合、心配する必要はありません。もし色の表示に予期せぬ問題が発生し、Qtのバージョンアップが絡んでいる場合は、Qtの公式ドキュメントで該当バージョンの変更点を確認します。

QColor::yellow() 自体は問題なくても、その色を使用する描画処理（QPainterの使用、ウィジェットのパレット設定など）に問題がある場合があります。

問題

スタイルシート（QSS）が色の設定を上書きしている。
ウィジェットのパレット設定が正しく反映されていない。
paintEvent() 以外の場所で描画を行っている（Qtの描画は通常 paintEvent() 内で行う）。
QPainterが正しく初期化されていない。

QBrush や QPen を正しく設定しているか確認します。

QPainter painter(this);
painter.setBrush(QColor::yellow()); // 塗りつぶしの色を設定
painter.setPen(QColor::red());    // 線の色を設定
painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

スタイルシートを使用している場合、スタイルシートが優先されるため、Qt::GlobalColor の設定が上書きされていないか確認します。

// 例: スタイルシートでボタンの背景を青に設定している場合、
// QColor::yellow() を使ってボタンのパレットを設定しても反映されないことがある
myButton->setStyleSheet("QPushButton { background-color: blue; }");

update() や repaint() を呼び出して、ウィジェットの再描画をトリガーしているか確認します。
QPainter の使用法を確認します。QPainter は、paintEvent() 内で QPainter painter(this); のように初期化するのが一般的です。

例1: `QPainter` を使用してウィジェットに黄色い四角形を描画する

これは最も基本的な使用例です。QPainter を使って、ウィジェットの paintEvent() 関数内で図形を黄色で描画します。

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor> // QColor::yellow() を使うために必要

// カスタムウィジェットの定義
class MyDrawingWidget : public QWidget
{
public:
    MyDrawingWidget(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    // ウィジェットの再描画時に呼び出される関数
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event); // 未使用の引数に対する警告を抑制

        QPainter painter(this); // 現在のウィジェットを対象にQPainterを初期化

        // 黄色いブラシを設定
        painter.setBrush(QColor::yellow());

        // 黒いペンを設定（境界線用）
        painter.setPen(QColor::black());

        // 黄色い四角形を描画
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100); // (x, y, 幅, 高さ)
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv); // QApplicationオブジェクトを作成

    MyDrawingWidget widget; // カスタムウィジェットのインスタンスを作成
    widget.setWindowTitle("QColor::yellow() Example - Drawing"); // ウィンドウタイトルを設定
    widget.resize(300, 200); // ウィンドウサイズを設定
    widget.show(); // ウィジェットを表示

    return app.exec(); // アプリケーションのイベントループを開始
}

解説

painter.drawRect(50, 50, 100, 100); で、指定された位置とサイズで四角形を描画します。この四角形は、設定されたブラシ（黄色）で塗りつぶされ、ペン（黒）で縁取られます。
painter.setBrush(QColor::yellow()); で、図形を塗りつぶすための色（ブラシ）をQColor::yellow()が返す黄色に設定します。
QPainter painter(this); で、MyDrawingWidget 上に描画するための QPainter オブジェクトを作成します。

例2: `QLabel` の背景色を黄色に設定する

QPalette を使用して、ウィジェットの背景色や前景色を設定することもできます。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPalette>
#include <QColor>
#include <QVBoxLayout> // レイアウトのために必要

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    QLabel *label1 = new QLabel("このラベルは背景が黄色です。");
    // label1 の背景を自動で塗りつぶす設定（重要）
    label1->setAutoFillBackground(true);

    QPalette palette1 = label1->palette(); // 現在のパレットを取得
    palette1.setColor(QPalette::Window, QColor::yellow()); // ウィンドウ（背景）色を黄色に設定
    label1->setPalette(palette1); // パレットをラベルに適用

    QLabel *label2 = new QLabel("このラベルの文字色は黄色です。");
    QPalette palette2 = label2->palette();
    palette2.setColor(QPalette::WindowText, QColor::yellow()); // 文字色を黄色に設定
    label2->setPalette(palette2);

    layout->addWidget(label1);
    layout->addWidget(label2);

    window.setWindowTitle("QColor::yellow() Example - QLabel");
    window.resize(300, 150);
    window.show();

    return app.exec();
}

解説

label->setPalette(palette); で変更したパレットをウィジェットに適用します。
palette.setColor() を使用して、指定されたロールの色を QColor::yellow() が返す黄色に設定します。
QPalette::WindowText はウィジェットの文字色を示すロールです。
QPalette::Window はウィジェットの背景色を示すロールです。
label1->setAutoFillBackground(true); は、ウィジェットの背景がパレット設定に基づいて自動的に塗りつぶされるようにするために重要です。

注意点
スタイルシート (.setStyleSheet()) を使用している場合、パレットの設定がスタイルシートに上書きされることがあります。より柔軟なスタイリングにはスタイルシートの使用が推奨されますが、単純な色の設定にはパレットも有効です。

QColor::yellow() で得られたQColorオブジェクトのRGB値を取得したり、他の色と比較したりする例です。

#include <QApplication>
#include <QDebug> // デバッグ出力用
#include <QColor>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QColor yellowColor = QColor::yellow(); // 黄色いQColorオブジェクトを取得

    qDebug() << "Yellow Color (RGB):"
             << "R=" << yellowColor.red()
             << "G=" << yellowColor.green()
             << "B=" << yellowColor.blue()
             << "A=" << yellowColor.alpha(); // アルファ値（透明度）も取得可能

    qDebug() << "Yellow Color (Hex):" << yellowColor.name(QColor::HexRgb); // 16進数形式で色名を取得

    // 別の色と比較
    QColor customYellow(255, 255, 0); // RGBで黄色を定義
    QColor redColor(255, 0, 0);       // 赤色を定義

    if (yellowColor == customYellow) {
        qDebug() << "QColor::yellow() is equal to customYellow (RGB 255, 255, 0).";
    } else {
        qDebug() << "QColor::yellow() is NOT equal to customYellow.";
    }

    if (yellowColor == redColor) {
        qDebug() << "QColor::yellow() is equal to redColor.";
    } else {
        qDebug() << "QColor::yellow() is NOT equal to redColor.";
    }

    // 色の明るさや暗さの調整
    QColor darkerYellow = yellowColor.darker(150); // 150%暗くする
    QColor lighterYellow = yellowColor.lighter(150); // 150%明るくする

    qDebug() << "Darker Yellow (RGB):"
             << "R=" << darkerYellow.red()
             << "G=" << darkerYellow.green()
             << "B=" << darkerYellow.blue();

    qDebug() << "Lighter Yellow (RGB):"
             << "R=" << lighterYellow.red()
             << "G=" << lighterYellow.green()
             << "B=" << lighterYellow.blue();

    return 0; // QApplicationが不要な場合はapp.exec()は不要
}

darker() と lighter() 関数は、元の色から新しい（暗い/明るい）QColor オブジェクトを作成します。引数は、明るさを調整するファクターです（デフォルトは150）。100より大きいと暗く、100より小さいと明るくなります。
== 演算子を使用して、2つの QColor オブジェクトが同じ色を表しているか比較できます。
yellowColor.name(QColor::HexRgb) は、色を #RRGGBB 形式の文字列で返します。
yellowColor.red(), yellowColor.green(), yellowColor.blue(), yellowColor.alpha() で、色の各コンポーネントの数値を取得できます。

RGB (Red, Green, Blue) 値による指定

最も一般的で直感的な方法の一つです。赤、緑、青の各成分を0から255までの整数で指定します。黄色は通常、赤と緑が最大で青が0の組み合わせで表現されます。

コード例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>

class MyWidgetRgb : public QWidget
{
public:
    MyWidgetRgb(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event);
        QPainter painter(this);

        // RGB値で黄色を指定 (R=255, G=255, B=0, A=255: 不透明)
        QColor customYellow(255, 255, 0, 255);
        painter.setBrush(customYellow);
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // 半透明の黄色 (R=255, G=255, B=0, A=127: 半透明)
        QColor semiTransparentYellow(255, 255, 0, 127);
        painter.setBrush(semiTransparentYellow);
        painter.drawRect(180, 50, 100, 100);
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidgetRgb widget;
    widget.setWindowTitle("QColor - RGB Example");
    widget.resize(350, 200);
    widget.show();
    return app.exec();
}

解説

a はアルファ（透明度）成分で、0（完全透明）から255（完全不透明）の範囲で指定します。デフォルトは255です。
r, g, b はそれぞれ赤、緑、青の成分で、0（なし）から255（最大）の範囲で指定します。
QColor(int r, int g, int b, int a = 255) コンストラクタを使用します。

16進数文字列による指定 (#RRGGBB または #AARRGGBB)

ウェブ開発などでよく使われる16進数形式の文字列で色を指定することもできます。

コード例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>

class MyWidgetHex : public QWidget
{
public:
    MyWidgetHex(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event);
        QPainter painter(this);

        // 16進数文字列で黄色を指定 (#RRGGBB)
        QColor hexYellow("#FFFF00");
        painter.setBrush(hexYellow);
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // 16進数文字列で半透明の黄色を指定 (#AARRGGBB)
        QColor hexSemiTransparentYellow("#80FFFF00"); // 80は128 (約50%透明)
        painter.setBrush(hexSemiTransparentYellow);
        painter.drawRect(180, 50, 100, 100);
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidgetHex widget;
    widget.setWindowTitle("QColor - Hex String Example");
    widget.resize(350, 200);
    widget.show();
    return app.exec();
}

解説

#AARRGGBB 形式はアルファチャネルを含む色を表します。
#RRGGBB 形式は不透明な色を表します。
# から始まる16進数文字列で色を指定します。
QColor(const QString &name) コンストラクタを使用します。

色の名前による指定 (CSS/SVG カラーネーム)

QColor::setNamedColor() を使用すると、CSSやSVGで定義されている標準的なカラーネーム（例: "red", "blue", "yellow", "steelblue" など）で色を指定できます。QColor::yellow() はこれらの一種と考えても良いでしょう。

コード例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>
#include <QDebug> // デバッグ出力用

class MyWidgetNamedColor : public QWidget
{
public:
    MyWidgetNamedColor(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event);
        QPainter painter(this);

        // 色の名前で黄色を指定
        QColor namedYellow("yellow"); // QColor::yellow() とほぼ同じ色
        painter.setBrush(namedYellow);
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // 別の色名で指定
        QColor steelBlue("steelblue");
        painter.setBrush(steelBlue);
        painter.drawRect(180, 50, 100, 100);

        qDebug() << "Is 'yellow' color valid?" << namedYellow.isValid();
        qDebug() << "Is 'invalidcolorname' valid?" << QColor("invalidcolorname").isValid();
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidgetNamedColor widget;
    widget.setWindowTitle("QColor - Named Color Example");
    widget.resize(350, 200);
    widget.show();
    return app.exec();
}

解説

文字列が有効な色名でない場合、QColorオブジェクトは無効になります (isValid() が false を返します)。
QColor(const QString &name) コンストラクタを使用します。

HSV (Hue, Saturation, Value) 値による指定

HSVは、色相（Hue）、彩度（Saturation）、明度（Value）で色を表現する色モデルです。特に色相の調整が容易なため、色のバリエーションを生成するのに便利です。

コード例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>

class MyWidgetHsv : public QWidget
{
public:
    MyWidgetHsv(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event);
        QPainter painter(this);

        // HSV値で黄色を指定 (H=60:黄色, S=255:鮮やか, V=255:明るい)
        QColor hsvYellow;
        hsvYellow.setHsv(60, 255, 255); // (H=0-359, S=0-255, V=0-255)
        painter.setBrush(hsvYellow);
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // 色相だけを変更した別の色 (H=0:赤)
        QColor hsvRed;
        hsvRed.setHsv(0, 255, 255);
        painter.setBrush(hsvRed);
        painter.drawRect(180, 50, 100, 100);
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidgetHsv widget;
    widget.setWindowTitle("QColor - HSV Example");
    widget.resize(350, 200);
    widget.show();
    return app.exec();
}

解説

v (明度): 0（黒）から255（白に近い）までの範囲で色の明るさを表します。
s (彩度): 0（灰色）から255（純色）までの範囲で色の鮮やかさを表します。
h (色相): 0から359までの角度で色を表します（赤0度、緑120度、青240度など）。黄色は通常60度付近です。
QColor オブジェクトを作成した後、setHsv(int h, int s, int v, int a = 255) を使用します。

CMYK (Cyan, Magenta, Yellow, Key/Black) 値による指定

印刷業界でよく使われる色モデルです。シアン、マゼンタ、イエロー、キー（黒）の各成分で色を表現します。

コード例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>

class MyWidgetCmyk : public QWidget
{
public:
    MyWidgetCmyk(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event);
        QPainter painter(this);

        // CMYK値で黄色を指定 (C=0, M=0, Y=255, K=0)
        QColor cmykYellow;
        cmykYellow.setCmyk(0, 0, 255, 0); // (C, M, Y, K, A=255)
        painter.setBrush(cmykYellow);
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // 緑色 (C=255, M=0, Y=255, K=0)
        QColor cmykGreen;
        cmykGreen.setCmyk(255, 0, 255, 0);
        painter.setBrush(cmykGreen);
        painter.drawRect(180, 50, 100, 100);
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidgetCmyk widget;
    widget.setWindowTitle("QColor - CMYK Example");
    widget.resize(350, 200);
    widget.show();
    return app.exec();
}

解説

各成分は0から255の範囲で指定します。
QColor オブジェクトを作成した後、setCmyk(int c, int m, int y, int k, int a = 255) を使用します。

Qt 5.14以降では、QColorConstants という新しい名前空間が導入され、Qt::GlobalColor と同じ色定数をよりタイプセーフな方法で提供しています。

コード例

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>
#include <QColor>
#include <QColorConstants> // QColorConstants::Yellow を使うために必要

class MyWidgetConstants : public QWidget
{
public:
    MyWidgetConstants(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent) {}

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override
    {
        Q_UNUSED(event);
        QPainter painter(this);

        // QColorConstants::Yellow を使用
        painter.setBrush(QColorConstants::Yellow);
        painter.drawRect(50, 50, 100, 100);

        // QColorConstants::Blue を使用
        painter.setBrush(QColorConstants::Blue);
        painter.drawRect(180, 50, 100, 100);
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidgetConstants widget;
    widget.setWindowTitle("QColor - QColorConstants Example");
    widget.resize(350, 200);
    widget.show();
    return app.exec();
}

QColorConstants::Yellow は QColor::yellow() と同じ色を表しますが、Qt::GlobalColor のような古い enum ではなく、よりモダンな方法で提供されます。Qt 6ではこれが推奨される形式です。

QColor::yellow()のAtoZ：Qtプログラミングでの色の扱い方

戻り値の型に関する誤解 (int と QColor オブジェクト)

無効な QColor オブジェクトの使用

Qtバージョンによる挙動の違い（非常に稀）

例1: QPainter を使用してウィジェットに黄色い四角形を描画する

例2: QLabel の背景色を黄色に設定する

RGB (Red, Green, Blue) 値による指定

16進数文字列による指定 (#RRGGBB または #AARRGGBB)

色の名前による指定 (CSS/SVG カラーネーム)

HSV (Hue, Saturation, Value) 値による指定

CMYK (Cyan, Magenta, Yellow, Key/Black) 値による指定

例1: `QPainter` を使用してウィジェットに黄色い四角形を描画する

例2: `QLabel` の背景色を黄色に設定する