QColor::toRgb()で色変換！Qtプログラミングでの活用事例

2025-05-26

QColor QColor::toRgb() は、Qt の QColor クラスのメンバ関数の一つです。この関数は、現在保持している色の情報を RGB (Red, Green, Blue) 形式に変換し、新しい QColor オブジェクトとして返します。

QColor オブジェクトは、内部で色を表現するために様々な形式（RGB、HSV、CMYKなど）を使用できます。しかし、最終的に画面に色を描画する際には、ほとんどの場合RGB形式が使われます。toRgb() 関数は、ある色がどのような形式で表現されていようとも、それを標準的なRGB形式に統一して取得したい場合に非常に便利です。

RGBとは？

RGBは、光の三原色（赤、緑、青）を組み合わせて色を表現する加法混色モデルです。それぞれの色成分は通常0から255までの整数値で表され、0は「その色成分が全く含まれていない」、255は「その色成分が最大量含まれている」ことを意味します。例えば、rgb(255, 0, 0) は純粋な赤、rgb(0, 0, 0) は黒、rgb(255, 255, 255) は白を表します。

関数の使い方

toRgb() 関数は、引数を取らず、QColor オブジェクトを返します。

QColor originalColor = QColor::fromHsv(120, 255, 255); // HSV形式で緑色を生成
QColor rgbColor = originalColor.toRgb(); // RGB形式に変換

// 変換されたRGB値を取得
int red = rgbColor.red();
int green = rgbColor.green();
int blue = rgbColor.blue();
int alpha = rgbColor.alpha(); // アルファ値（透明度）も含まれる

上記の例では、HSV形式で定義された緑色をoriginalColorとして作成し、toRgb()を呼び出すことでRGB形式に変換されたrgbColorを取得しています。その後、rgbColorから各RGB成分（赤、緑、青）の値を取り出しています。アルファ値（透明度）も含まれていることに注意してください。

なぜ `toRgb()` が必要か？

QColor は非常に柔軟なクラスで、色をHSV (Hue, Saturation, Value) や CMYK (Cyan, Magenta, Yellow, Key/Black) といった異なる色空間で表現できます。

CMYK (Cyan, Magenta, Yellow, Key/Black)
シアン、マゼンタ、イエロー、キー（黒）で色を表現します。主に印刷業界で使われる減法混色モデルです。
HSV (Hue, Saturation, Value)
色相、彩度、明度で色を表現します。人間の色の認識に近い表現方法です。

これらの異なる色空間で定義された色を、アプリケーションの他の部分（例えば、画像を処理する関数や、特定のAPIに色情報を渡す場合など）でRGB形式として扱いたい場合に、toRgb() 関数が役立ちます。

QColor::toRgb() 関数自体が直接エラーを引き起こすことは稀です。この関数は、単に既存の QColor オブジェクトの色情報をRGB形式に変換して新しい QColor オブジェクトを返すものであり、その処理自体は非常に安定しています。

しかし、QColor::toRgb() を呼び出す前や、変換後に得られたRGB値を使用する際に、以下のような問題が発生することがあります。

不正な QColor オブジェクトからの変換

エラーの症状
プログラムのクラッシュ、予期しない色、あるいは無効なRGB値（例えば、red()、green()、blue() が -1 や 256 のような範囲外の値になる）など。

原因
toRgb() を呼び出す元の QColor オブジェクトが有効な色情報を保持していない場合。これは、例えば、以下のような状況で発生します。

無効な色名や値での初期化
QColor::setNamedColor() やコンストラクタで、Qtが認識しない無効な色名や、範囲外のRGB/HSV/CMYK値が与えられた場合。QColor::isValid() が false を返すような状態。
未初期化の QColor オブジェクト
QColor オブジェクトが適切に初期化される前に toRgb() が呼び出された場合。

トラブルシューティング

初期化の確認
QColor オブジェクトを常に有効な方法で初期化するようにします。
- QColor blackColor(0, 0, 0);
- QColor redColor("red");
- QColor fromHsv = QColor::fromHsv(120, 255, 255);

QColor::isValid() のチェック
toRgb() を呼び出す前に、QColor オブジェクトが有効であるか isValid() 関数で確認します。

QColor myColor; // 未初期化
// QColor myColor("unknown_color_name"); // 無効な色名で初期化

if (!myColor.isValid()) {
    qWarning() << "Warning: Invalid QColor object. Conversion to RGB might be unreliable.";
    // エラー処理、デフォルト値の割り当て、または早期リターンなど
}

QColor rgbColor = myColor.toRgb();

アルファチャンネルの取り扱いに関する誤解

エラーの症状
色が期待通りに透明にならない、または不透明になる。

原因
QColor::toRgb() は、元の QColor オブジェクトが持っていたアルファチャンネル（透明度）情報も引き継ぎます。しかし、他の関数（例えば、QColor(QRgb) コンストラクタや QRgb QColor::rgb()）を使う際に、アルファチャンネルが暗黙的に失われることがあります。

QRgb QColor::rgb() 関数は、QRgb 型として色を返しますが、これはアルファチャンネル情報を含んでいます。しかし、一部の古いコードやライブラリでは、このアルファチャンネルが適切に扱われないことがあります。
QColor(QRgb) コンストラクタや QColor::fromRgb(QRgb) 関数は、渡された QRgb 値のアルファチャンネルを無視し、完全に不透明（255）として色を作成します。

トラブルシューティング

明示的なアルファ値の取得と設定
必要に応じて、alpha() や setAlpha() を使ってアルファ値を明示的に操作します。

アルファチャンネルを考慮した関数を使用
アルファチャンネルを含む QRgb 値から QColor を作成する場合は、QColor::fromRgba(QRgb) を使用します。

QRgb rgbaValue = qRgba(255, 0, 0, 128); // 半透明の赤
QColor colorWithAlpha = QColor::fromRgba(rgbaValue); // これが正しい
// QColor wrongColor(rgbaValue); // 間違い: アルファチャンネルが無視される
// QColor wrongColor2 = QColor::fromRgb(rgbaValue); // 間違い: アルファチャンネルが無視される

QColor convertedRgb = colorWithAlpha.toRgb();
// convertedRgb は元のアルファチャンネル (128) を保持している

浮動小数点精度と整数精度間の丸め誤差

エラーの症状
ごくわずかな色の違い（特にグラデーションや精密な色計算で顕著）。

原因
QColor は、内部で色成分を16ビット整数（0～65535）で保持している場合があります。red(), green(), blue() のような関数は0～255の整数値を返しますが、これは内部の16ビット値から8ビット値への変換（シフトと丸め）が行われるためです。HSVやCMYKなど、他の色空間からRGBに変換する際にも、浮動小数点演算が関与することがあり、結果としてごくわずかな丸め誤差が生じることがあります。

トラブルシューティング

誤差の許容範囲の考慮
視覚的に問題にならない程度のわずかな色の違いであれば、許容範囲とすることも考慮します。

F サフィックスの関数を利用
より高い精度が必要な場合は、redF(), greenF(), blueF() のような浮動小数点値を返す関数を使用し、計算も浮動小数点で行います。

QColor originalColor = QColor::fromHsvF(0.5, 1.0, 1.0); // HSVの浮動小数点版
QColor rgbColor = originalColor.toRgb();

qreal redF = rgbColor.redF();
qreal greenF = rgbColor.greenF();
qreal blueF = rgbColor.blueF();

特定のプラットフォームやQtバージョンの違い

エラーの症状
特定の環境で色の表示がおかしい、またはクラッシュする。

原因
非常に稀ですが、古いQtバージョンや、特定のグラフィックドライバー、オペレーティングシステム環境によっては、色の表現や変換にわずかな差異が生じる可能性があります。これはtoRgb() よりも、その前後で使われる描画システムや色の設定方法に起因することがほとんどです。

シンプルなコードでの再現
問題を切り分けるために、最小限のコードで問題が再現するかどうかを試します。
プラットフォーム固有の動作の確認
もし特定のプラットフォームでのみ問題が発生する場合、そのプラットフォームでのQtのドキュメントやフォーラムで類似の報告がないか確認します。
Qtバージョンの確認
使用しているQtバージョンが最新であるか、または既知の問題が修正されているバージョンであるかを確認します。

HSVからRGBへの変換

最も一般的な使用例の一つは、HSV (Hue, Saturation, Value) 形式で色を定義し、それをRGB形式に変換して各成分（赤、緑、青、アルファ）を取得するケースです。

#include <QApplication>
#include <QColor>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // 1. HSV形式で色を定義 (純粋な緑色、不透明)
    // Hue (色相): 0-359 (緑は120)
    // Saturation (彩度): 0-255 (純粋な色は255)
    // Value (明度): 0-255 (明るい色は255)
    QColor hsvColor = QColor::fromHsv(120, 255, 255);

    qDebug() << "元のHSV色情報:";
    qDebug() << "  Hue:" << hsvColor.hue();
    qDebug() << "  Saturation:" << hsvColor.saturation();
    qDebug() << "  Value:" << hsvColor.value();
    qDebug() << "  Alpha:" << hsvColor.alpha(); // デフォルトは255 (不透明)

    // 2. toRgb() を使ってRGB形式に変換
    QColor rgbColor = hsvColor.toRgb();

    qDebug() << "\nRGB形式に変換後の色情報:";
    qDebug() << "  Red:" << rgbColor.red();     // 赤成分 (0-255)
    qDebug() << "  Green:" << rgbColor.green();   // 緑成分 (0-255)
    qDebug() << "  Blue:" << rgbColor.blue();    // 青成分 (0-255)
    qDebug() << "  Alpha:" << rgbColor.alpha();   // アルファ成分 (0-255)

    // 別の色 (紫、半透明)
    QColor hsvPurple = QColor::fromHsv(270, 200, 200, 150); // アルファ値150 (半透明)

    qDebug() << "\n元のHSV色情報 (紫、半透明):";
    qDebug() << "  Hue:" << hsvPurple.hue();
    qDebug() << "  Saturation:" << hsvPurple.saturation();
    qDebug() << "  Value:" << hsvPurple.value();
    qDebug() << "  Alpha:" << hsvPurple.alpha();

    QColor rgbPurple = hsvPurple.toRgb();

    qDebug() << "\nRGB形式に変換後の色情報 (紫、半透明):";
    qDebug() << "  Red:" << rgbPurple.red();
    qDebug() << "  Green:" << rgbPurple.green();
    qDebug() << "  Blue:" << rgbPurple.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << rgbPurple.alpha(); // アルファ値も引き継がれる

    return app.exec(); // この例ではGUIは表示されない
}

実行結果の例

元のHSV色情報:
  Hue: 120
  Saturation: 255
  Value: 255
  Alpha: 255

RGB形式に変換後の色情報:
  Red: 0
  Green: 255
  Blue: 0
  Alpha: 255

元のHSV色情報 (紫、半透明):
  Hue: 270
  Saturation: 200
  Value: 200
  Alpha: 150

RGB形式に変換後の色情報 (紫、半透明):
  Red: 128
  Green: 55
  Blue: 200
  Alpha: 150

解説

変換後の rgbColor オブジェクトから、red(), green(), blue(), alpha() といった関数を使って個々のRGB成分とアルファ値を取得しています。アルファ値は変換後も正しく保持されていることがわかります。
toRgb() を呼び出すことで、QColor オブジェクトは内部的にHSV形式の情報をRGB形式に変換し、新しい QColor オブジェクトとして返します。
QColor::fromHsv(h, s, v, a) を使用して、HSV形式で色を作成しています。

CMYKからRGBへの変換

CMYK (Cyan, Magenta, Yellow, Key/Black) 形式で色を定義し、それをRGB形式に変換する例です。CMYKは主に印刷で使われる色空間です。

#include <QApplication>
#include <QColor>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // 1. CMYK形式で色を定義 (鮮やかな青、不透明)
    // Cyan: 0-255
    // Magenta: 0-255
    // Yellow: 0-255
    // Key (Black): 0-255
    QColor cmykColor = QColor::fromCmyk(255, 0, 0, 0); // 純粋なシアン

    qDebug() << "元のCMYK色情報:";
    qDebug() << "  Cyan:" << cmykColor.cyan();
    qDebug() << "  Magenta:" << cmykColor.magenta();
    qDebug() << "  Yellow:" << cmykColor.yellow();
    qDebug() << "  Black:" << cmykColor.black();
    qDebug() << "  Alpha:" << cmykColor.alpha();

    // 2. toRgb() を使ってRGB形式に変換
    QColor rgbColor = cmykColor.toRgb();

    qDebug() << "\nRGB形式に変換後の色情報:";
    qDebug() << "  Red:" << rgbColor.red();
    qDebug() << "  Green:" << rgbColor.green();
    qDebug() << "  Blue:" << rgbColor.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << rgbColor.alpha();

    // 別の色 (黒、不透明)
    QColor cmykBlack = QColor::fromCmyk(0, 0, 0, 255); // 純粋な黒 (Keyが255)

    qDebug() << "\n元のCMYK色情報 (黒):";
    qDebug() << "  Cyan:" << cmykBlack.cyan();
    qDebug() << "  Magenta:" << cmykBlack.magenta();
    qDebug() << "  Yellow:" << cmykBlack.yellow();
    qDebug() << "  Black:" << cmykBlack.black();
    qDebug() << "  Alpha:" << cmykBlack.alpha();

    QColor rgbBlack = cmykBlack.toRgb();

    qDebug() << "\nRGB形式に変換後の色情報 (黒):";
    qDebug() << "  Red:" << rgbBlack.red();
    qDebug() << "  Green:" << rgbBlack.green();
    qDebug() << "  Blue:" << rgbBlack.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << rgbBlack.alpha();

    return app.exec();
}

実行結果の例

元のCMYK色情報:
  Cyan: 255
  Magenta: 0
  Yellow: 0
  Black: 0
  Alpha: 255

RGB形式に変換後の色情報:
  Red: 0
  Green: 255
  Blue: 255
  Alpha: 255

元のCMYK色情報 (黒):
  Cyan: 0
  Magenta: 0
  Yellow: 0
  Black: 255
  Alpha: 255

RGB形式に変換後の色情報 (黒):
  Red: 0
  Green: 0
  Blue: 0
  Alpha: 255

解説

黒はCMYKで (0, 0, 0, 255) と表現され、RGBでは (0, 0, 0) に変換されます。
シアンはRGBの緑と青の組み合わせで表現されるため、純粋なシアン (255, 0, 0, 0) はRGBでは (0, 255, 255) に変換されます。
QColor::fromCmyk(c, m, y, k, a) を使用して、CMYK形式で色を作成しています。

QColor は、"red", "blue", "green" のような名前付き色や、"#RRGGBB" のようなHEXコードでも初期化できます。これらの色も toRgb() でRGB成分に変換できます。

この例では、変換した色を QLabel の背景色として設定し、GUIで表示してみます。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QColor>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    window.setWindowTitle("QColor::toRgb() 例");

    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    // 名前付き色 "steelblue" をQColorオブジェクトとして作成
    QColor namedColor("steelblue");
    qDebug() << "元の名前付き色:" << namedColor.name();

    // RGB形式に変換
    QColor rgbSteelblue = namedColor.toRgb();

    qDebug() << "変換後のRGB色情報 (SteelBlue):";
    qDebug() << "  Red:" << rgbSteelblue.red();
    qDebug() << "  Green:" << rgbSteelblue.green();
    qDebug() << "  Blue:" << rgbSteelblue.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << rgbSteelblue.alpha();

    // QLabelを作成し、変換したRGB色で背景を設定
    QLabel *label1 = new QLabel("SteelBlue (from named color)");
    label1->setMinimumSize(200, 50);
    label1->setAlignment(Qt::AlignCenter);
    label1->setStyleSheet(QString("background-color: rgb(%1, %2, %3); color: white;")
                          .arg(rgbSteelblue.red())
                          .arg(rgbSteelblue.green())
                          .arg(rgbSteelblue.blue()));
    layout->addWidget(label1);

    // HEXコードで色を定義
    QColor hexColor("#FF00FF"); // マゼンタ
    qDebug() << "\n元のHEX色:" << hexColor.name();

    // RGB形式に変換
    QColor rgbMagenta = hexColor.toRgb();

    qDebug() << "変換後のRGB色情報 (Magenta):";
    qDebug() << "  Red:" << rgbMagenta.red();
    qDebug() << "  Green:" << rgbMagenta.green();
    qDebug() << "  Blue:" << rgbMagenta.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << rgbMagenta.alpha();

    // 別のQLabelを作成し、変換したRGB色で背景を設定
    QLabel *label2 = new QLabel("Magenta (from HEX code)");
    label2->setMinimumSize(200, 50);
    label2->setAlignment(Qt::AlignCenter);
    label2->setStyleSheet(QString("background-color: rgb(%1, %2, %3); color: white;")
                          .arg(rgbMagenta.red())
                          .arg(rgbMagenta.green())
                          .arg(rgbMagenta.blue()));
    layout->addWidget(label2);

    window.setLayout(layout);
    window.show();

    return app.exec();
}

実行結果の例 (GUIウィンドウ)

（ウィンドウが表示され、上段のラベルがSteelBlue、下段のラベルがMagentaの背景色になります。）

これらの色も toRgb() によってRGB成分に変換され、その値を使ってCSS形式で QLabel の背景色を設定しています。これは、Qtスタイルシートで色を指定する際などに、RGB値が必要になる場合に便利です。
QColor("steelblue") や QColor("#FF00FF") のように、色名やHEXコード文字列から QColor オブジェクトを直接作成しています。

red(), green(), blue(), alpha() (または redF(), greenF(), blueF(), alphaF()) の直接使用

QColor オブジェクトは、その内部表現がRGB, HSV, CMYKのいずれであっても、直接 red(), green(), blue(), alpha() といった関数を呼び出すことで、対応するRGB成分の8ビット整数値（0-255）を取得できます。同様に、redF(), greenF(), blueF(), alphaF() を使用すれば、0.0から1.0までの浮動小数点値を取得できます。

これは toRgb() を呼び出して新しい QColor オブジェクトを作成する手間を省き、元の QColor オブジェクトから直接RGB成分を取り出したい場合に最も簡潔な方法です。

例

#include <QApplication>
#include <QColor>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // HSV形式で色を定義
    QColor hsvColor = QColor::fromHsv(240, 255, 255, 128); // 青色、半透明

    qDebug() << "直接成分を取得 (整数値):";
    qDebug() << "  Red:" << hsvColor.red();
    qDebug() << "  Green:" << hsvColor.green();
    qDebug() << "  Blue:" << hsvColor.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << hsvColor.alpha();

    qDebug() << "直接成分を取得 (浮動小数点値):";
    qDebug() << "  RedF:" << hsvColor.redF();
    qDebug() << "  GreenF:" << hsvColor.greenF();
    qDebug() << "  BlueF:" << hsvColor.blueF();
    qDebug() << "  AlphaF:" << hsvColor.alphaF();

    return app.exec();
}

出力例

直接成分を取得 (整数値):
  Red: 0
  Green: 0
  Blue: 255
  Alpha: 128
直接成分を取得 (浮動小数点値):
  RedF: 0
  GreenF: 0
  BlueF: 1
  AlphaF: 0.501961

いつ使うか

QRgb 型への変換が不要な場合（例：Qtスタイルシートで rgb(r,g,b) を使う場合）。
新しい QColor オブジェクトを作成する必要がなく、単にRGB成分の値が欲しい場合。

getRgb() (または getRgbF()) 関数

QColor::getRgb() 関数は、複数のRGB成分を一度にポインタで渡された変数に格納します。これは、複数の成分を同時に取得したい場合に便利です。浮動小数点精度が必要な場合は getRgbF() を使用します。

例

#include <QApplication>
#include <QColor>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QColor cmykColor = QColor::fromCmyk(100, 50, 0, 0); // シアンが強めの色

    int r, g, b, a;
    cmykColor.getRgb(&r, &g, &b, &a);

    qDebug() << "getRgb() を使って取得:";
    qDebug() << "  Red:" << r;
    qDebug() << "  Green:" << g;
    qDebug() << "  Blue:" << b;
    qDebug() << "  Alpha:" << a;

    qreal rF, gF, bF, aF;
    cmykColor.getRgbF(&rF, &gF, &bF, &aF);

    qDebug() << "getRgbF() を使って取得:";
    qDebug() << "  RedF:" << rF;
    qDebug() << "  GreenF:" << gF;
    qDebug() << "  BlueF:" << bF;
    qDebug() << "  AlphaF:" << aF;

    return app.exec();
}

出力例

getRgb() を使って取得:
  Red: 0
  Green: 128
  Blue: 255
  Alpha: 255
getRgbF() を使って取得:
  RedF: 0
  GreenF: 0.501961
  BlueF: 1
  AlphaF: 1

いつ使うか

主にC言語スタイルのAPIや、複数の値を同時に返す必要があるユーティリティ関数などで役立つことがあります。
複数のRGB成分を一度に、かつ出力パラメータとして取得したい場合。

rgb() または rgba() 関数と QRgb 型

QColor::rgb() 関数は、色のRGB成分を QRgb 型（unsigned int のtypedef）として返します。この QRgb 型は、通常 #AARRGGBB の形式（アルファ、赤、緑、青の順）で色を表す32ビット整数です。QColor::rgba() 関数も同様にアルファチャンネルを含む QRgb を返します。

QRgb 値から個々の成分を取り出すには、Qtが提供するヘルパー関数 qAlpha(), qRed(), qGreen(), qBlue() を使用できます。逆に、個々の成分から QRgb を作成するには qRgb() や qRgba() を使用します。

例

#include <QApplication>
#include <QColor>
#include <QDebug>
#include <QGlobal.h> // qAlpha, qRed, qGreen, qBlue, qRgb, qRgba を含む

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QColor originalColor = QColor::fromHsv(60, 200, 200, 200); // 黄色っぽい色、半透明

    // rgb() または rgba() でQRgb値を取得
    QRgb rgbValue = originalColor.rgba(); // rgba()は常にアルファチャンネルを含む

    qDebug() << "QRgb 値:" << QString::number(rgbValue, 16).toUpper(); // 16進数で表示

    // QRgb値から各成分を抽出
    int r = qRed(rgbValue);
    int g = qGreen(rgbValue);
    int b = qBlue(rgbValue);
    int a = qAlpha(rgbValue);

    qDebug() << "QRgbから抽出した成分:";
    qDebug() << "  Red:" << r;
    qDebug() << "  Green:" << g;
    qDebug() << "  Blue:" << b;
    qDebug() << "  Alpha:" << a;

    // 逆に、QRgb値からQColorを再作成する例
    QColor recreatedColor = QColor::fromRgba(rgbValue); // fromRgb(QRgb)はアルファを無視するので注意

    qDebug() << "\nQRgbから再作成したQColorの成分:";
    qDebug() << "  Red:" << recreatedColor.red();
    qDebug() << "  Green:" << recreatedColor.green();
    qDebug() << "  Blue:" << recreatedColor.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << recreatedColor.alpha();

    return app.exec();
}

出力例

QRgb 値: C8C8C833
QRgbから抽出した成分:
  Red: 200
  Green: 200
  Blue: 51
  Alpha: 200

QRgbから再作成したQColorの成分:
  Red: 200
  Green: 200
  Blue: 51
  Alpha: 200

いつ使うか

C++の標準ライブラリのデータ構造で色を保存する際に、軽量な表現が必要な場合。
色情報を単一の32ビット整数として扱いたい場合（例：低レベルのグラフィックAPIに渡す場合、または色のハッシュ値を生成する場合）。

convertTo() 関数

QColor::convertTo() 関数は、QColor オブジェクトを特定の QColor::Spec （Rgb, Hsv, Cmyk, Hsl など）に変換した新しい QColor オブジェクトを返します。これは toRgb() のより汎用的なバージョンと言えます。

例

#include <QApplication>
#include <QColor>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QColor originalColor = QColor::fromHsl(180, 255, 128); // HSL形式でシアン色

    // convertTo(QColor::Rgb) を使ってRGB形式に変換
    QColor convertedRgbColor = originalColor.convertTo(QColor::Rgb);

    qDebug() << "convertTo(QColor::Rgb) を使って変換:";
    qDebug() << "  Red:" << convertedRgbColor.red();
    qDebug() << "  Green:" << convertedRgbColor.green();
    qDebug() << "  Blue:" << convertedRgbColor.blue();
    qDebug() << "  Alpha:" << convertedRgbColor.alpha();

    return app.exec();
}

出力例

convertTo(QColor::Rgb) を使って変換:
  Red: 0
  Green: 255
  Blue: 255
  Alpha: 255

いつ使うか

RGB以外にも、toHsv() や toCmyk() のように、他の色空間への変換も統一的に行いたい場合。
toRgb() と同様に、変換された形式の新しい QColor オブジェクトが必要な場合。

QColor::toRgb() は特定の色空間からRGB形式への変換に特化していますが、多くの場合、目的は単にRGB成分の値を取得することです。その場合、red(), green(), blue() の直接呼び出しや、getRgb() 関数の方が簡潔で効率的な場合があります。

QColor::toRgb()で色変換！Qtプログラミングでの活用事例

RGBとは？

関数の使い方

なぜ toRgb() が必要か？

不正な QColor オブジェクトからの変換

アルファチャンネルの取り扱いに関する誤解

浮動小数点精度と整数精度間の丸め誤差

特定のプラットフォームやQtバージョンの違い

HSVからRGBへの変換

CMYKからRGBへの変換

red(), green(), blue(), alpha() (または redF(), greenF(), blueF(), alphaF()) の直接使用

getRgb() (または getRgbF()) 関数

rgb() または rgba() 関数と QRgb 型

convertTo() 関数

なぜ `toRgb()` が必要か？