Qtの色操作を極める: QColor::hsvSaturationF()とHSV/HSL彩度の違いとは？

この関数は、QColor クラスのメンバ関数であり、現在設定されている色のHSV（Hue-Saturation-Value）モデルにおける彩度（Saturation）の値をfloat型（浮動小数点数）で取得します。

HSVカラーモデルとは？

色を表現する方法はいくつかありますが、RGB（Red, Green, Blue）が一般的です。しかし、HSVは人間の色の認識に近い形で色を表現するためによく用いられます。

HSVは以下の3つの要素で構成されます。

• V (Value - 明度/輝度): 色の明るさを表します。明度が高いほど明るく、白に近づきます。明度が低いほど暗く、黒に近づきます。
• S (Saturation - 彩度): 色の鮮やかさ、純粋さを表します。彩度が高いほど色が鮮やかで純粋になり、彩度が低いほど色が灰色に近づきます。
• H (Hue - 色相): 色の種類を表します。赤、緑、青といった色の「質」を示し、通常は0〜359度の角度で表されます（赤が0度、緑が120度、青が240度など）。

hsvSaturationF() の詳細

QColor::hsvSaturationF() は、このHSVモデルの「彩度（Saturation）」の値を返します。

• 値の範囲: 0.0 から 1.0 の範囲です。
  • 0.0: 彩度が最も低い（完全に灰色、または色のない状態）
  • 1.0: 彩度が最も高い（最も鮮やかで純粋な色）
• 戻り値の型: float (浮動小数点数)

Qtの QColor クラスには、彩度を取得する関数として int hsvSaturation() もありますが、こちらは0から255までの整数値を返します。hsvSaturationF() は浮動小数点数でより細かい精度で彩度を取得したい場合に利用されます。

#include <QColor>
#include <QDebug> // デバッグ出力用

int main() {
    // 赤色のQColorオブジェクトを作成
    QColor red(255, 0, 0);

    // HSV彩度を浮動小数点数で取得
    float saturationRed = red.hsvSaturationF();
    qDebug() << "赤色のHSV彩度 (float):" << saturationRed; // 1.0 (最も鮮やか)

    // 灰色がかった青色のQColorオブジェクトを作成
    QColor grayishBlue = QColor::fromHsvF(240.0/360.0, 0.3, 0.8); // H:青 S:低 V:高
    float saturationGrayishBlue = grayishBlue.hsvSaturationF();
    qDebug() << "灰色がかった青色のHSV彩度 (float):" << saturationGrayishBlue; // 約0.3

    // 白色のQColorオブジェクトを作成
    QColor white(255, 255, 255);
    float saturationWhite = white.hsvSaturationF();
    qDebug() << "白色のHSV彩度 (float):" << saturationWhite; // 0.0 (色のない状態)

    return 0;
}

---

I don't have enough information to respond to your request. I can generate common errors and troubleshooting information regarding the float QColor::hsvSaturationF() function in Qt. But, I cannot provide any information regarding the current time or date. Qtの QColor::hsvSaturationF() 関数自体は非常にシンプルで、特別なエラーを引き起こすことは稀です。しかし、この関数を使用するコンテキストや、QColor オブジェクトの状態によって、意図しない結果や問題が発生する可能性があります。

QColor オブジェクトが有効でない (isValid() が false)

最も一般的な問題は、hsvSaturationF() を呼び出す QColor オブジェクト自体が無効な状態である場合です。

• トラブルシューティング
  
  • hsvSaturationF() を呼び出す前に、必ず QColor::isValid() 関数で色が有効であるかを確認してください。
  • QColor を作成する際に、有効なRGB値、HSV値、またはカラー名を使用しているか確認してください。
  • 例
    

    QColor invalidColor; // デフォルトでは無効な色
    if (!invalidColor.isValid()) {
        qDebug() << "エラー: QColorオブジェクトが無効です！";
    }
    
    QColor myColor(255, 0, 0); // 有効な赤色
    if (myColor.isValid()) {
        float saturation = myColor.hsvSaturationF();
        qDebug() << "彩度:" << saturation;
    } else {
        qDebug() << "エラー: 無効な色です。";
    }
    

• 原因
  
  • 無効なコンストラクタ（例: 範囲外のRGB値で初期化）で QColor を作成した。
  • デフォルトコンストラクタ QColor() で作成したまま、色を設定していない（デフォルトでは無効な色）。
  • 無効なカラー名や形式の文字列で setNamedColor() を呼び出した。
• 症状
  hsvSaturationF() の戻り値が常に 0.0 になる、または予期しない値になる。

HSVモデルの特性を理解していない

hsvSaturationF() はHSVモデルにおける彩度を返します。特定の色の彩度は、RGBモデルとは異なる特性を持つため、予期しない結果になることがあります。

• トラブルシューティング
  
  • 無彩色の彩度が 0.0 になるのは正常な挙動であることを理解してください。
  • 色の「鮮やかさ」を別の観点から評価したい場合は、QColor::lightnessF() (HSLモデルの輝度) や、RGB成分（redF(), greenF(), blueF()）などを組み合わせて判断することも検討してください。
• 原因
  
  • HSVモデルにおいて、無彩色（白、黒、灰色）の彩度は常に 0 と定義されます。色相（Hue）も意味をなしません。これは正しい挙動です。
  • RGBで色が鮮やかだとしても、HSVの彩度が低くなることがあります。これは、RGBとHSVの変換ロジックによるものです。
• 症状
  
  • 白、黒、または灰色 (QColor(128, 128, 128) など) の色の hsvSaturationF() が 0.0 になる。
  • ある色がRGBで「鮮やか」に見えても、HSVの彩度が低く出る場合がある。

丸め誤差による微小なずれ

float 型を使用しているため、計算の過程でごくわずかな丸め誤差が生じることがあります。

• トラブルシューティング
  
  • float の比較には == ではなく、許容誤差（epsilon）を用いた比較を行うことを検討してください。
  • 厳密な数値比較が必要な場合は、int hsvSaturation() (0-255の整数値) を利用することも考慮できますが、精度は落ちます。
• 原因
  浮動小数点数演算の性質によるもの。
• 症状
  厳密に 1.0 になるはずの彩度が 0.9999999 のようになる、など。

誤ったカラー空間での操作

QColor はRGB、HSV、CMYKなど複数のカラー空間を扱えます。hsvSaturationF() はHSVモデルの彩度を返しますが、色を別のモデルで設定した場合、その変換によって期待と異なる結果になることがあります。

• トラブルシューティング
  
  • QColor をHSV値で直接設定したい場合は、QColor::fromHsv() または QColor::fromHsvF() を使用することをお勧めします。これにより、意図したHSV彩度の色を正確に作成できます。
  • 例
    

    // RGBで鮮やかな青を作成
    QColor rgbBlue(0, 0, 255);
    qDebug() << "RGB青のHSV彩度:" << rgbBlue.hsvSaturationF(); // 1.0
    
    // HSVで彩度0.5の青を作成
    QColor hsvBlue = QColor::fromHsvF(240.0/360.0, 0.5, 1.0);
    qDebug() << "HSV青のHSV彩度:" << hsvBlue.hsvSaturationF(); // 0.5
    

• 原因
  RGBとHSVの変換は数学的なアルゴリズムに基づいています。RGBでの各成分の値のバランスによってHSVの彩度が決まります。
• 症状
  RGB値で設定した色が、HSVに変換されると期待通りの彩度にならないと感じる。

QColor オブジェクトがスコープ外に出て破棄された後に、そのオブジェクトへのポインタや参照を使って hsvSaturationF() を呼び出すと、未定義の動作やクラッシュを引き起こす可能性があります。

• トラブルシューティング
  
  • QColor オブジェクトが有効なスコープ内にあることを確認してください。
  • 特に、関数から QColor を返す場合や、スレッド間で QColor を受け渡す場合は、オブジェクトのコピーやスマートポインタの利用を検討してください。
• 原因
  ダングリングポインタ、解放済みメモリへのアクセス。
• 症状
  クラッシュ、Segmentation Fault、予期しない値。

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例1: 基本的な彩度の取得と表示

最も基本的な使用例です。様々な色の彩度を取得し、デバッグ出力します。

#include <QCoreApplication> // コアアプリケーションクラス（コンソールアプリ用）
#include <QColor>           // QColorクラス
#include <QDebug>           // デバッグ出力用

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv); // Qtアプリケーションのインスタンス

    qDebug() << "--- QColor::hsvSaturationF() の基本例 ---";

    // 1. 真っ赤な色 (最も鮮やか)
    QColor red(255, 0, 0);
    qDebug() << "赤色 (RGB: 255, 0, 0) のHSV彩度:" << red.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 1.0 (最も高い彩度)

    // 2. 鮮やかな緑色
    QColor green(0, 255, 0);
    qDebug() << "緑色 (RGB: 0, 255, 0) のHSV彩度:" << green.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 1.0

    // 3. 鮮やかな青色
    QColor blue(0, 0, 255);
    qDebug() << "青色 (RGB: 0, 0, 255) のHSV彩度:" << blue.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 1.0

    // 4. 黄色 (赤と緑の組み合わせ)
    QColor yellow(255, 255, 0);
    qDebug() << "黄色 (RGB: 255, 255, 0) のHSV彩度:" << yellow.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 1.0

    // 5. 白色 (無彩色)
    QColor white(255, 255, 255);
    qDebug() << "白色 (RGB: 255, 255, 255) のHSV彩度:" << white.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 0.0 (無彩色の彩度は0)

    // 6. 黒色 (無彩色)
    QColor black(0, 0, 0);
    qDebug() << "黒色 (RGB: 0, 0, 0) のHSV彩度:" << black.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 0.0

    // 7. 灰色 (無彩色)
    QColor gray(128, 128, 128);
    qDebug() << "灰色 (RGB: 128, 128, 128) のHSV彩度:" << gray.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 0.0

    // 8. 彩度が低い（くすんだ）色
    QColor dullRed(200, 100, 100); // 赤みがかった、少し灰色がかった色
    qDebug() << "くすんだ赤色 (RGB: 200, 100, 100) のHSV彩度:" << dullRed.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 0.5 (約) - 計算によって異なる可能性がありますが、0.0と1.0の間になります

    // 9. HSV値から作成した色の彩度
    // QColor::fromHsvF(hue, saturation, value, alpha)
    QColor hsvCustomColor = QColor::fromHsvF(0.5, 0.7, 0.8); // 緑がかった色、彩度0.7
    qDebug() << "HSVで指定したカスタム色の彩度:" << hsvCustomColor.hsvSaturationF();
    // 期待される出力: 0.7

    return a.exec(); // イベントループを開始（コンソールアプリでは通常すぐ終了）
}

コンパイルと実行方法 (Linux/macOS)

1. saturtion_example.pro というファイルを作成し、以下を記述します。

   QT += core
   SOURCES += saturation_example.cpp
   

2. saturation_example.cpp に上記のC++コードを貼り付けます。
3. ターミナルで以下のコマンドを実行します。

   qmake
   make
   ./saturation_example
   

実際のGUIアプリケーションで、hsvSaturationF() をどのように使うかの例です。ここでは、スライダーで色を変更し、その色の彩度に応じてテキストの色を変えるというシンプルな例を考えます。

widget.h

#ifndef WIDGET_H
#define WIDGET_H

#include <QWidget>
#include <QColor>
#include <QSlider>
#include <QLabel>
#include <QVBoxLayout>

class Widget : public QWidget
{
    Q_OBJECT

public:
    Widget(QWidget *parent = nullptr);
    ~Widget();

private slots:
    void onHueSliderValueChanged(int value);
    void onSaturationSliderValueChanged(int value);
    void onValueSliderValueChanged(int value);

private:
    void updateColorDisplay();

    QSlider *m_hueSlider;
    QSlider *m_saturationSlider;
    QSlider *m_valueSlider;
    QLabel *m_colorBox; // 色を表示するラベル
    QLabel *m_saturationInfoLabel; // 彩度情報を表示するラベル
    QColor m_currentColor;
};
#endif // WIDGET_H

widget.cpp

#include "widget.h"
#include <QDebug>

Widget::Widget(QWidget *parent)
    : QWidget(parent)
{
    // スライダーの初期化
    m_hueSlider = new QSlider(Qt::Horizontal);
    m_hueSlider->setRange(0, 359); // 色相: 0-359度
    m_hueSlider->setValue(0);

    m_saturationSlider = new QSlider(Qt::Horizontal);
    m_saturationSlider->setRange(0, 100); // 彩度: 0-100%
    m_saturationSlider->setValue(100); // 初期値は鮮やか

    m_valueSlider = new QSlider(Qt::Horizontal);
    m_valueSlider->setRange(0, 100); // 明度: 0-100%
    m_valueSlider->setValue(100); // 初期値は明るい

    // 色表示用のラベル
    m_colorBox = new QLabel("現在の色");
    m_colorBox->setFixedSize(100, 100);
    m_colorBox->setAlignment(Qt::AlignCenter);
    m_colorBox->setStyleSheet("border: 1px solid black;"); // 枠線を追加

    // 彩度情報表示用のラベル
    m_saturationInfoLabel = new QLabel("彩度: N/A");

    // レイアウトの設定
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(this);
    layout->addWidget(new QLabel("色相 (Hue):"));
    layout->addWidget(m_hueSlider);
    layout->addWidget(new QLabel("彩度 (Saturation):"));
    layout->addWidget(m_saturationSlider);
    layout->addWidget(new QLabel("明度 (Value):"));
    layout->addWidget(m_valueSlider);
    layout->addWidget(m_colorBox);
    layout->addWidget(m_saturationInfoLabel);

    // スライダーのシグナルとスロットの接続
    connect(m_hueSlider, &QSlider::valueChanged, this, &Widget::onHueSliderValueChanged);
    connect(m_saturationSlider, &QSlider::valueChanged, this, &Widget::onSaturationSliderValueChanged);
    connect(m_valueSlider, &QSlider::valueChanged, this, &Widget::onValueSliderValueChanged);

    // 初期表示の更新
    updateColorDisplay();
}

Widget::~Widget() {}

void Widget::onHueSliderValueChanged(int value) {
    Q_UNUSED(value); // 未使用変数警告を抑制
    updateColorDisplay();
}

void Widget::onSaturationSliderValueChanged(int value) {
    Q_UNUSED(value);
    updateColorDisplay();
}

void onValueSliderValueChanged(int value) {
    Q_UNUSED(value);
    updateColorDisplay();
}

void Widget::updateColorDisplay() {
    // スライダーの値を取得し、HSV浮動小数点数に変換
    float hueF = static_cast<float>(m_hueSlider->value()) / 359.0f; // 0-1の範囲に正規化
    float saturationF = static_cast<float>(m_saturationSlider->value()) / 100.0f; // 0-1の範囲に正規化
    float valueF = static_cast<float>(m_valueSlider->value()) / 100.0f; // 0-1の範囲に正規化

    // HSV値からQColorオブジェクトを作成
    m_currentColor = QColor::fromHsvF(hueF, saturationF, valueF);

    // QColor::hsvSaturationF() を使用して彩度を取得
    float currentSaturation = m_currentColor.hsvSaturationF();

    // 背景色とテキスト色のスタイルシートを更新
    QString colorStyle = QString("background-color: %1;").arg(m_currentColor.name());
    m_colorBox->setStyleSheet("border: 1px solid black; " + colorStyle);

    // 彩度情報を表示
    m_saturationInfoLabel->setText(QString("彩度: %1").arg(currentSaturation, 0, 'f', 3)); // 3桁の小数点表示

    // 彩度が低い（例: 0.2未満）場合はテキストの色を黒に、それ以外は白にする
    // これにより、背景色が暗い（明度も低い）場合でもテキストが見やすくなる
    if (currentSaturation < 0.2f || m_currentColor.valueF() < 0.5f) {
        m_colorBox->setStyleSheet(m_colorBox->styleSheet() + " color: black;");
    } else {
        m_colorBox->setStyleSheet(m_colorBox->styleSheet() + " color: white;");
    }

    qDebug() << "H:" << m_hueSlider->value()
             << " S:" << m_saturationSlider->value()
             << " V:" << m_valueSlider->value()
             << " -> currentSaturationF:" << currentSaturation;
}

main.cpp

#include <QApplication> // GUIアプリケーションクラス
#include "widget.h"     // 作成したWidgetクラス

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv); // Qt GUIアプリケーションのインスタンス
    Widget w;                   // Widgetのインスタンス
    w.setWindowTitle("HSV Color Saturation Example");
    w.show();                   // ウィンドウを表示

    return a.exec();            // イベントループを開始
}

コンパイルと実行方法 (Qt Creatorまたはコマンドライン)

1. Qt Creatorで新しいQt Widgets Applicationプロジェクトを作成します。
2. widget.h, widget.cpp, main.cpp を上記のコードで置き換えます。
3. プロジェクトファイル (.pro ファイル) に QT += widgets が含まれていることを確認します。
4. ビルドして実行します。

• 取得した彩度に基づいて、m_saturationInfoLabel に情報を表示し、さらにm_colorBox のテキスト色を動的に変更しています。これにより、彩度が低い（つまり灰色に近い）背景色のときにテキストが読みやすくなります。
• m_currentColor.hsvSaturationF() を呼び出して、現在の色の彩度を取得しています。
• QColor::fromHsvF() を使って、スライダーの値から直接HSVカラーを作成しています。

---

ここでは、QColor::hsvSaturationF() の代替手段と、それがどのような場合に有用かについて説明します。

int QColor::hsvSaturation() の利用

これは最も直接的な代替方法であり、hsvSaturationF() と同じHSVモデルの彩度を取得しますが、戻り値の型が int です。

• 注意点: hsvSaturationF() が 0.0 から 1.0 の範囲であるのに対し、hsvSaturation() は 0 から 255 の範囲です。これは単なるスケーリングの違いなので、相互に変換可能です (saturationF * 255 または saturation / 255.0f)。
• 用途:
  • 浮動小数点数の精度が必要なく、整数値で十分な場合。
  • 0 から 255 の範囲で彩度を表現したい場合。
• 特徴:
  • 彩度を 0 から 255 の整数値で返します。
  • hsvSaturationF() と同じHSV変換ロジックを使用します。

#include <QColor>
#include <QDebug>

int main() {
    QColor color(200, 100, 100); // 少し鮮やかでない赤

    float saturationF = color.hsvSaturationF();
    int saturationInt = color.hsvSaturation();

    qDebug() << "float 彩度:" << saturationF; // 例: 0.5
    qDebug() << "int 彩度:" << saturationInt;   // 例: 127 (0.5 * 255 に近い)

    // 相互変換
    qDebug() << "float -> int 変換:" << static_cast<int>(saturationF * 255.0f);
    qDebug() << "int -> float 変換:" << static_cast<float>(saturationInt) / 255.0f;

    return 0;
}

void QColor::getHsvF(qreal *h, qreal *s, qreal *v, qreal *a = nullptr) const の利用

この関数は、HSVの各成分（色相、彩度、明度）とアルファ値をポインタ引数で一度に取得できます。

• 特徴:
  • hsvSaturationF() と同じく qreal (floatまたはdouble) 型で値を返します。
  • 色相、彩度、明度を同時に取得したい場合に便利です。

#include <QColor>
#include <QDebug>

int main() {
    QColor color(255, 128, 0); // オレンジ

    qreal h, s, v; // qrealはfloatまたはdoubleのtypedef
    color.getHsvF(&h, &s, &v);

    qDebug() << "getHsvF() で取得した彩度:" << s;
    qDebug() << "hsvSaturationF() で取得した彩度:" << color.hsvSaturationF();
    // 両者は同じ値を返します

    qDebug() << "色相 (H):" << h;
    qDebug() << "明度 (V):" << v;

    return 0;
}

HSL (Hue-Saturation-Lightness) モデルの彩度 (hslSaturationF())

HSVと似たカラーモデルにHSLがあります。QColorはHSLもサポートしており、その彩度を取得する関数もあります。

• HSV彩度との違い:
  • 同じRGB値でも、HSV彩度とHSL彩度は異なる値になります。無彩色（白、黒、灰色）の場合、両モデルの彩度は 0 になりますが、それ以外の色では計算方法が異なるため結果が変わります。
  • 例えば、純粋な赤（RGB: 255, 0, 0）はHSVでは彩度 1.0 ですが、HSLでは彩度 1.0 かもしれませんが、計算式が異なるため注意が必要です。
• 用途:
  • HSLモデルの色の鮮やかさを評価したい場合。
  • 特に、色を明度によって調整する際に、HSLモデルの方がより直感的に感じる場合に有用です。
  • 例えば、Photoshopの彩度スライダーはHSVに近いですが、Microsoft Paintの彩度スライダーはHSLに近いと言われています。
• 特徴:
  • float QColor::hslSaturationF() は、HSLモデルにおける彩度を 0.0 から 1.0 の浮動小数点数で返します。
  • HSVの"Value"が色の明るさを黒からの距離で表現するのに対し、HSLの"Lightness"は黒から色へ、そして色から白への明るさを表現します。このため、HSVとHSLの彩度には違いがあります。

#include <QColor>
#include <QDebug>

int main() {
    QColor red(255, 0, 0); // 純粋な赤
    QColor midGray(128, 128, 128); // 中間グレー

    qDebug() << "赤色のHSV彩度F:" << red.hsvSaturationF(); // 1.0
    qDebug() << "赤色のHSL彩度F:" << red.hslSaturationF(); // 1.0 (ただし、計算式は異なる)

    qDebug() << "中間の灰色のHSV彩度F:" << midGray.hsvSaturationF(); // 0.0
    qDebug() << "中間の灰色のHSL彩度F:" << midGray.hslSaturationF(); // 0.0

    // くすんだ青色
    QColor dullBlue = QColor::fromRgbF(0.4, 0.4, 0.8);
    qDebug() << "くすんだ青色のHSV彩度F:" << dullBlue.hsvSaturationF();
    qDebug() << "くすんだ青色のHSL彩度F:" << dullBlue.hslSaturationF();
    // 異なる値になることが多いです
    // 例: HSV: 0.5 (約) / HSL: 0.333 (約)
    // これは、HSLの方が「明るさ」の概念が異なるためです。
    // HSLでは、中間明度が最も彩度が高くなり、白や黒に近づくにつれて彩度が低下すると解釈されます。

    return 0;
}

Qtは強力なカラークラスを提供しているため、通常は自分でHSV変換を実装する必要はありません。しかし、色の変換アルゴリズムを深く理解したい場合や、非常に特殊な要件がある場合には、RGB値から彩度を自分で計算することも可能です。

HSVの彩度（S）は、RGBの最大成分と最小成分の差を、最大成分（または明度V）で割ることで計算されます。

計算式

S = (Max - Min) / Max

ここで Max はR, G, Bのうち最大の成分値、Min はR, G, Bのうち最小の成分値です。Max が 0 の場合（完全な黒）、彩度は定義されません（通常 0 と見なされます）。

#include <QColor>
#include <QDebug>
#include <algorithm> // std::max, std::min 用

int main() {
    QColor color(200, 100, 100); // 少し鮮やかでない赤

    // RGB成分を0.0-1.0の範囲に正規化
    qreal r = color.redF();
    qreal g = color.greenF();
    qreal b = color.blueF();

    qreal maxVal = std::max({r, g, b}); // C++11以降
    qreal minVal = std::min({r, g, b});

    qreal calculatedSaturation = 0.0f;
    if (maxVal > 0.0001f) { // 黒に近い色の場合はゼロとして扱う
        calculatedSaturation = (maxVal - minVal) / maxVal;
    }

    qDebug() << "手動計算したHSV彩度:" << calculatedSaturation;
    qDebug() << "QColor::hsvSaturationF() からの彩度:" << color.hsvSaturationF();
    // ほとんど同じ値になるはずです

    return 0;
}

注意点

• 通常はQtが提供する関数を使用するべきです。手動計算は学習目的やデバッグに留めるのが賢明です。
• この手動計算はHSVの基本的な彩度計算を示していますが、Qtの内部実装はさらに厳密で、浮動小数点数の精度や丸め処理などを考慮している可能性があります。

QColor::hsvSaturationF() は、Qtで色のHSV彩度を浮動小数点数で取得する際に最も推奨される、効率的で正確な方法です。

代替手段は、主に以下の目的で検討されます。

• 色の変換ロジックを深く理解したい場合（通常は非推奨）: RGB値からの手動計算
• HSLモデルの彩度が必要な場合: float QColor::hslSaturationF()
• HSVの他の成分（色相、明度）も同時に取得したい: void QColor::getHsvF(...)
• 異なるデータ型で彩度を取得したい: int QColor::hsvSaturation()