PyTorchで多クラス分類を行うための最適な損失関数を選択する:NLLLossとその他の選択肢を比較


NLLLossとは何か?

より具体的には、NLLLossは以下の式で計算されます。

NLLLoss(input, target) = -∑ᵢ log(pᵢ)

ここで、

  • pᵢ は、input の第 i 番目の要素であり、i 番目のクラスの確率を表します。
  • target は、正解ラベルを表すテンソルです。
  • input は、ニューラルネットワークが出力した非正規化されたログ確率 (Logit) のベクトルです。

式の意味としては、各クラスについて、そのクラスが正解であると予測した確率の対数を取って、その和を負にしたものです。 言い換えると、ネットワークが出力した確率分布が正解ラベルとどれだけ一致していないかを表しています。

NLLLossの使い方

NLLLossは、以下の手順でニューラルネットワークの学習に使用できます。

  1. モデルを定義:まず、多クラス分類を行うニューラルネットワークモデルを定義します。
  2. 損失関数を定義:次に、torch.nn.NLLLossを使用して損失関数を定義します。
  3. 最適化アルゴリズムを設定:最適化アルゴリズム (Adamなど) を設定します。
  4. データをバッチ処理:データをバッチと呼ばれる小さなまとまりに分割し、それぞれのバッチに対して以下の処理を行います。
    • モデルに入力データを送り、ネットワークを出力させます。
    • ネットワークの出力と正解ラベルを使用して、NLLLossを使って損失を計算します。
    • 損失に基づいて、モデルの重みを最適化アルゴリズムを使って更新します。
  5. ループを繰り返す:上記の手順4を、所望の回数だけ繰り返します。

PyTorchには、NLLLossと似たような損失関数としてtorch.nn.CrossEntropyLossがあります。

2つの関数の主な違いは以下の通りです。

  • 計算式: NLLLossは上記で示した式で計算されます。一方、CrossEntropyLossは以下の式で計算されます。
  • 入力: NLLLossは非正規化されたログ確率 (Logit) を入力とします。一方、CrossEntropyLossは正規化された確率 (Softmaxで正規化したもの) を入力とします。
CrossEntropyLoss(input, target) = -∑ᵢ targetᵢ * log(pᵢ)

上記の通り、CrossEntropyLossはNLLLossとほぼ同じ式で計算されますが、入力と計算式に若干の違いがあります。

一般的には、以下の場合にNLLLossを使用します。

  • 損失関数を自分で計算したい場合
  • ネットワークの出力層にLogSoftmax関数を適用していない場合

一方、以下の場合にはCrossEntropyLossを使用します。

  • より簡潔なコードで書きたい場合
  • ネットワークの出力層にLogSoftmax関数を適用している場合

NLLLossは、PyTorchにおける多クラス分類問題の損失関数を計算するための重要なモジュールです。 NLLLossとCrossEntropyLossの違いを理解し、状況に応じて適切な損失関数を選択することが重要です。



import torch
import torch.nn as nn
import torch.optim as optim
from torch.utils.data import DataLoader

# データの準備
...

# モデルの定義
class MyNetwork(nn.Module):
    def __init__(self, input_dim, num_classes):
        super().__init__()
        self.fc1 = nn.Linear(input_dim, 100)
        self.fc2 = nn.Linear(100, num_classes)

    def forward(self, x):
        x = self.fc1(x)
        x = F.relu(x)
        x = self.fc2(x)
        return x

# モデルの作成
model = MyNetwork(input_dim, num_classes)

# 損失関数の定義
criterion = nn.NLLLoss()

# 最適化アルゴリズムの設定
optimizer = optim.Adam(model.parameters())

# データローダーの作成
data_loader = DataLoader(dataset, batch_size=64, shuffle=True)

# 学習ループ
for epoch in range(num_epochs):
    for i, (data, target) in enumerate(data_loader):
        # データをモデルに入力
        output = model(data)

        # 損失を計算
        loss = criterion(output, target)

        # 勾配をゼロ化
        optimizer.zero_grad()

        # 損失の勾配を計算
        loss.backward()

        # 重みを更新
        optimizer.step()

        # ログを出力
        if (i + 1) % 100 == 0:
            print('Epoch [{}/{}], Step [{}/{}], Loss: {:.4f}'.format(epoch + 1, num_epochs, i + 1, len(data_loader), loss.item()))

このコードは以下の通り動作します。

  1. データの準備: まず、学習と評価に使用するためのデータセットを準備する必要があります。データセットは、入力データと正解ラベルのペアで構成されている必要があります。
  2. モデルの定義: 次に、多クラス分類を行うニューラルネットワークモデルを定義します。この例では、2つの全結合層を持つシンプルなモデルを使用しています。
  3. 損失関数の定義: 次に、torch.nn.NLLLossを使用して損失関数を定義します。
  4. 最適化アルゴリズムの設定: 次に、最適化アルゴリズム (Adamなど) を設定します。この例では、Adamを使用しています。
  5. データローダーの作成: 次に、データローダーを作成します。データローダーは、データをバッチと呼ばれる小さなまとまりに分割し、それらをモデルに入力する準備をします。
  6. 学習ループ: 最後に、学習ループを実行します。このループでは、以下の処理をエポック数だけ繰り返します。
    • バッチごとに、データと正解ラベルをモデルに入力し、ネットワークを出力させます。
    • ネットワークの出力と正解ラベルを使用して、NLLLossを使って損失を計算します。
    • 損失に基づいて、モデルの重みを最適化アルゴリズムを使って更新します。
    • 定期的に、損失の値をログ出力します。

例えば、以下のような変更が考えられます。

  • バッチサイズや学習率を調整する
  • データ拡張を使用する
  • 異なる損失関数を使用する
  • モデルのアーキテクチャを変更する


torch.nn.CrossEntropyLoss

torch.nn.CrossEntropyLoss は、torch.nn.NLLLoss とほぼ同じ式で計算される損失関数です。

主な違いは以下の通りです。

  • 計算式: 以下の式で計算されます。
  • 入力: NLLLoss は非正規化されたログ確率 (Logit) を入力とします。一方、CrossEntropyLoss は正規化された確率 (Softmaxで正規化したもの) を入力とします。
CrossEntropyLoss(input, target) = -∑ᵢ targetᵢ * log(pᵢ)

NLLLoss との計算式の差は、target に掛けられる符号のみです。

一般的に、ネットワークの出力層に LogSoftmax 関数を適用している場合は CrossEntropyLoss を使用し、そうでない場合は NLLLoss を使用するのが一般的です。

自定义損失関数

独自の損失関数を定義することもできます。

これは、特定のタスクや要件に合わせた損失関数を設計したい場合に役立ちます。

カスタム損失関数を定義するには、以下の手順を実行する必要があります。

  1. 損失関数を計算するクラスを作成する
  2. __init__ メソッドで、必要なパラメータを定義する
  3. forward メソッドで、損失関数を計算する

以下の例は、カスタムの FocalLoss 関数を定義する方法を示しています。

import torch
import torch.nn as nn

class FocalLoss(nn.Module):
    def __init__(self, gamma=2, alpha=0.5):
        super().__init__()
        self.gamma = gamma
        self.alpha = alpha

    def forward(self, input, target):
        p = torch.softmax(input, dim=1)
        pt = p.gather(1, target)
        loss = -self.alpha * (1 - pt)**self.gamma * torch.log(pt)
        return loss

このコードは、gammaalpha という 2 つのハイパーパラメータを持つ FocalLoss クラスを定義します。

forward メソッドは、FocalLossの計算を行います。

上記以外にも、様々な損失関数が用意されています。

代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

  • K-Nearest Neighbors Loss
  • Margin Loss
  • Hinge Loss

これらの損失関数は、それぞれ異なる特性を持っています。

最適な損失関数は、具体的なタスクやデータセットによって異なります。

torch.nn.NLLLoss以外にも、様々な方法で多クラス分類問題における損失関数を計算することができます。