【超解説】PyTorchにおける3D平均プーリングのすべて ~『torch.nn.functional.avg_pool3d』を使いこなして、畳み込みニューラルネットワークをレベルアップ!~
torch.nn.functional.avg_pool3d
は、PyTorchのnn.functional
モジュールにある3D平均プーリング関数を用いる関数です。この関数は、入力テンソルを指定されたサイズで分割し、各領域の平均値を計算して出力テンソルを生成します。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)において、特徴マップの次元を縮小したり、ノイズを低減したりするために使用されます。
引数
dtype
: 出力テンソルのデータ型ceil_mode
: 天井モードフラグ。Trueの場合、出力テンソルの形状は入力テンソルの形状をceilで計算したものになります。Falseの場合、floorで計算されます。padding
: パディング。形状は(padding_d, padding_h, padding_w)である必要があり、ここで:padding_d
は深度方向パディングpadding_h
は高さ方向パディングpadding_w
は幅方向パディング
stride
: プーリングカーネルのストライド。形状は(stride_d, stride_h, stride_w)である必要があり、ここで:stride_d
はプーリングカーネルの深度方向ストライドstride_h
はプーリングカーネルの高さ方向ストライドstride_w
はプーリングカーネルの幅方向ストライド
kernel_size
: プーリングカーネルのサイズ。形状は(kernel_size_d, kernel_size_h, kernel_size_w)である必要があり、ここで:kernel_size_d
はプーリングカーネルの深度kernel_size_h
はプーリングカーネルの高さkernel_size_w
はプーリングカーネルの幅
input
: 入力テンソル(4Dテンソル)。形状は(N, C, D, H, W)である必要があり、ここで:N
はバッチサイズC
は入力チャネル数D
は入力テンソルの深度H
は入力テンソルの高さW
は入力テンソルの幅
戻り値
出力テンソル(4Dテンソル)。形状は(N, C, oD, oH, oW)です。ここで:
oW
は出力テンソルの幅oH
は出力テンソルの高さoD
は出力テンソルの深度
例
import torch
import torch.nn.functional as F
input = torch.randn(2, 3, 4, 5, 5)
output = F.avg_pool3d(input, kernel_size=2, stride=1, padding=1)
print(output.size())
この例では、形状が(2, 3, 4, 5, 5)の入力テンソルに対して、2x2x2のプーリングカーネルで平均プーリングを行い、ストライド1、パディング1で出力を生成します。出力テンソルの形状は(2, 3, 2, 3, 3)になります。
- 平均プーリングは、最大プーリングよりもノイズに対してロバストですが、空間的な特徴情報を失いやすくなります。
- プーリングカーネルのサイズ、ストライド、パディングを適切に設定することで、ネットワークの性能を調整することができます。
torch.nn.AvgPool3d
モジュールを使用して、同様の機能を持つプーリング層を構築することもできます。モジュールの方が柔軟性が高く、属性を設定したり、他のモジュールと組み合わせたりすることができます。
import torch
import torch.nn.functional as F
# 入力データを作成
data = torch.randn(2, 3, 16, 16, 16) # N, C, D, H, W の形状
# プーリングを実行
output = F.avg_pool3d(data, kernel_size=2, stride=2) # 2x2x2 のプーリングカーネル、ストライド2
# 結果を出力
print(output.size()) # (2, 3, 8, 8, 8) の形状
このコードは以下の処理を実行します。
- ランダムな 3D ボリュームデータを作成します。データの形状は (2, 3, 16, 16, 16) で、ここで:
2
はバッチサイズ3
は入力チャネル数16
は入力テンソルの深度、高さ、幅
F.avg_pool3d
関数を使用して、入力データに対して 2x2x2 のプーリングカーネルで平均プーリングを実行します。ストライドは 2 に設定されているため、出力テンソルの空間寸法は半分になります。- プーリングの結果を出力します。出力テンソルの形状は (2, 3, 8, 8, 8) になります。
このコードは、基本的な例であり、状況に応じて拡張することができます。例えば、以下のように変更することができます。
- 出力テンソルのデータ型を指定する
- 天井モードフラグを設定する
- パディングを設定する
- 異なるサイズのプーリングカーネルとストライドを使用する
torch.nn.AvgPool3dモジュール
- 欠点:
torch.nn.functional.avg_pool3d
よりも冗長な記述になる場合があります。
- 利点:
torch.nn.functional.avg_pool3d
よりも柔軟性が高く、属性を設定したり、他のモジュールと組み合わせたりすることができます。- プーリング操作をネットワークのアーキテクチャの一部として定義することができます。
import torch
import torch.nn as nn
class MyNetwork(nn.Module):
def __init__(self):
super().__init__()
self.avg_pool = nn.AvgPool3d(kernel_size=2, stride=1, padding=1)
def forward(self, x):
output = self.avg_pool(x)
return output
カスタムカーネルを使用した畳み込み
- 欠点:
torch.nn.functional.avg_pool3d
よりも計算コストが高くなる場合があります。- コードが複雑になる可能性があります。
- 利点:
- プーリングカーネルの形状やウェイトを自由に設定することができます。
- 特定のタスクに合わせたプーリング操作を設計することができます。
import torch
import torch.nn.functional as F
def custom_avg_pool3d(x, kernel_size, stride=1, padding=0):
# カスタムカーネルを作成
kernel = torch.ones(kernel_size, dtype=x.dtype, device=x.device) / kernel_size.numel()
# 畳み込み操作を実行
output = F.conv3d(x, kernel, stride=stride, padding=padding)
return output
欠点:
- それぞれのプーリング関数の特性を理解する必要があります。
利点:
- 状況に応じて適切なプーリング関数を選択することで、ネットワークの性能を向上させることができます。
各プーリング関数は、それぞれ異なる特性を持っています。
PyTorchには、最大プーリング、L2プーリング、ガウスプーリングなど、さまざまなプーリング関数があります。
- 空間的な特徴情報を失う可能性があります。
- 計算コストを削減することができます。
状況によっては、3Dプーリングではなく、1Dまたは2Dプーリングを使用して次元を削減することができます。