自由自在にStudent's t分布を操る! PyTorch `rsample()` 関数の実装と可視化


Student's t 分布とは?

Student's t 分布は、正規分布の一般化と見なされる連続確率分布です。正規分布と同様に、平均と標準偏差のパラメータを持ちますが、さらに自由度と呼ばれるパラメータも持ちます。自由度が大きくなるにつれて、分布は正規分布に近づきます。

rsample() 関数の詳細

rsample() 関数は、以下の手順で Student's t 分布から乱数を生成します。

  1. 標準正規分布から乱数を生成します。
  2. ガンマ分布から乱数を生成します。
  3. 生成した2つの乱数を組み合わせて、Student's t 分布に従う乱数を生成します。
import torch
from torch.distributions import StudentT

# 自由度、平均、標準偏差を設定
df = torch.tensor(3.0)
loc = torch.tensor(0.0)
scale = torch.tensor(1.0)

# StudentT 分布を作成
dist = StudentT(df=df, loc=loc, scale=scale)

# サンプルを生成
sample = dist.rsample(sample_shape=(10,))

# サンプルを出力
print(sample)
  • Student's t 分布は、統計分析や機械学習でよく使用されます。
  • sample() 関数も乱数を生成できますが、勾配計算ができない「直接サンプリング」を使用しています。
  • rsample() 関数は、勾配計算が可能な乱数生成方法である「ランダムサンプリング」を使用しています。


import torch
import matplotlib.pyplot as plt
from torch.distributions import StudentT

# 自由度、平均、標準偏差を設定
df = torch.tensor(3.0)
loc = torch.tensor(0.0)
scale = torch.tensor(1.0)

# StudentT 分布を作成
dist = StudentT(df=df, loc=loc, scale=scale)

# サンプルを生成
sample = dist.rsample(sample_shape=(1000,))

# ヒストグラムを作成
plt.hist(sample.numpy())
plt.xlabel('Student\'s t-distributed value')
plt.ylabel('Number of samples')
plt.title('Student\'s t Distribution (df={}, loc={}, scale={})'.format(df.item(), loc.item(), scale.item()))
plt.show()

説明

  1. import ステートメントで、必要なライブラリをインポートします。
  2. dflocscale 変数を使用して、Student's t 分布のパラメータを設定します。
  3. dist 変数に StudentT 分布を作成します。
  4. sample 変数に、StudentT 分布から 1000 個の乱数を生成します。
  5. plt.hist() 関数を使用して、sample のヒストグラムを作成します。
  6. ヒストグラムの軸ラベルとタイトルを設定します。
  7. plt.show() 関数を使用して、ヒストグラムを表示します。

このコードを実行すると、以下のようになります。

自由度が 3 の Student's t 分布は、正規分布よりも裾が重く、尖った形状をしています。

  • Student's t 分布以外にも、さまざまな確率分布から乱数を生成し、可視化することができます。
  • このコードは、あくまで例です。必要に応じて、サンプル数、ヒストグラムのビン数、軸範囲などを変更することができます。


手動実装

Student's t 分布からの乱数を生成する方法は、統計的手法の教科書などで紹介されています。以下の手順で実装できます。

  1. 標準正規分布から乱数を生成します。
  2. ガンマ分布から乱数を生成します。
  3. 生成した2つの乱数を組み合わせて、Student's t 分布に従う乱数を生成します。

この方法は、柔軟性が高く、理解しやすいという利点があります。一方、計算コストが高く、勾配計算ができないという欠点があります。

SciPy や NumPy などのライブラリにも、Student's t 分布から乱数を生成する関数があります。これらの関数は、PyTorch の関数よりも高速で、勾配計算が可能な場合があります。

import scipy.stats as stats

# 自由度、平均、標準偏差を設定
df = 3.0
loc = 0.0
scale = 1.0

# SciPy を使用してサンプルを生成
sample = stats.t.rvs(df, loc=loc, scale=scale, size=1000)

# サンプルを出力
print(sample)

この方法は、PyTorch 以外の環境で Student's t 分布を使用する場合に便利です。一方、PyTorch のワークフローに統合しにくいかもしれません。

カスタムサンプラーを使用する

torch.distributions モジュールには、CustomDistribution クラスを使用してカスタム確率分布を作成する機能が用意されています。この機能を使用して、独自のサンプリングアルゴリズムを実装した Student's t 分布を作成できます。

この方法は、高度なカスタマイズ性と柔軟性を提供しますが、複雑で実装が難しい場合があります。

最適な代替方法の選択

最適な代替方法は、状況によって異なります。以下の点を考慮して選択してください。

  • 統合性
    PyTorch ワークフローとの統合の容易さ
  • 柔軟性
    サンプリングアルゴリズムのカスタマイズの必要性
  • 勾配計算の必要性
    勾配ベースの最適化アルゴリズムを使用するかどうか
  • パフォーマンス
    計算速度とメモリ使用量