マウス、タッチスクリーン、ペンタブレットを賢く使い分ける!『@media.any-pointer』でできること


@media.any-pointer は、CSSにおけるメディアクエリの一種で、ユーザーがマウス、タッチスクリーン、スタイラスペンなどのポインティングデバイスを使用しているかどうかを検出するために使用されます。このメディアクエリを使用して、ポインティングデバイスの有無や精度に基づいて、Web ページのスタイルやレイアウトを変更することができます。

構文

@media (any-pointer: none) {
  /* ポインティングデバイスがない場合のスタイル */
}

@media (any-pointer: coarse) {
  /* 精度の低いポインティングデバイスがある場合のスタイル */
}

@media (any-pointer: fine) {
  /* 精度の高いポインティングデバイスがある場合のスタイル */
}

利用可能な値

  • fine: 精度の高いポインティングデバイスが少なくとも 1 つ存在します。これは、マウスやスタイラスペンなどのデバイスを指します。
  • coarse: 精度の低いポインティングデバイスが少なくとも 1 つ存在します。これは、タッチスクリーンやトラックパッドなどのデバイスを指します。
  • none: 利用可能なポインティングデバイスがありません。

次の例では、ポインティングデバイスがない場合、ボタンのフォントサイズを大きくしています。

@media (any-pointer: none) {
  button {
    font-size: 16px;
  }
}

次の例では、タッチスクリーンデバイスの場合、ボタンの余白を増やしています。

@media (any-pointer: coarse) {
  button {
    padding: 10px;
  }
}
  • @media.pointer メディアクエリと組み合わせて使用することで、より詳細なスタイリングが可能になります。@media.pointer は、ユーザーのメインポインティングデバイスの種類と精度を検出します。
  • @media.any-pointer は、比較的新しいメディアクエリであり、すべてのブラウザでサポートされているわけではありません。古いブラウザとの互換性を考慮する必要がある場合は、JavaScript を使用してポインティングデバイスの検出を行うこともできます。


例 1:ポインティングデバイスがない場合にボタンのスタイルを変更する

この例では、@media.any-pointer: none メディアクエリを使用して、ポインティングデバイスがない場合にボタンのフォントサイズと背景色を変更します。これは、キーボードのみで操作するユーザーにとって、ボタンをより見やすく、押しやすくするために役立ちます。

/* デフォルトのスタイル */
button {
  font-size: 14px;
  background-color: #ccc;
  border: 1px solid #000;
  padding: 5px 10px;
}

/* ポインティングデバイスがない場合 */
@media (any-pointer: none) {
  button {
    font-size: 18px;
    background-color: #007bff;
    color: #fff;
    padding: 10px 20px;
  }
}

例 2:タッチスクリーンデバイスの場合にターゲット要素の余白を増やす

この例では、@media.any-pointer: coarse メディアクエリを使用して、タッチスクリーンデバイスの場合にターゲット要素の余白を増やします。これは、タッチ操作での誤タップを防ぐために役立ちます。

.target-element {
  padding: 10px;
}

/* タッチスクリーンデバイスの場合 */
@media (any-pointer: coarse) {
  .target-element {
    padding: 20px;
  }
}

例 3:マウスの場合に画像を拡大表示する

この例では、@media.any-pointer: fine メディアクエリを使用して、マウスの場合に画像を拡大表示します。これは、ユーザーが画像の詳細をよりよく見ることができるようにするためです。

img {
  width: 200px;
  height: auto;
}

/* 精度の高いポインティングデバイスの場合 (マウスなど) */
@media (any-pointer: fine) {
  img {
    width: 300px;
  }
}

これらの例は、@media.any-pointer メディアクエリを使用して、Web ページのユーザーエクスペリエンスを向上させる方法を示すほんの一例です。創造性を発揮して、このメディアクエリをさまざまな目的に活用することができます。

  • ホバー時に要素を拡大表示する
  • 精度の高いポインティングデバイスを使用しているユーザーには複雑なフォームを提供し、精度が低いポインティングデバイスを使用しているユーザーにはシンプルなフォームを提供する
  • デスクトップユーザーにはナビゲーションメニューを水平方向に表示し、モバイルユーザーには垂直方向に表示する

上記以外にも、@media.any-pointer メディアクエリを使用して、Web ページをよりアクセスしやすく、使いやすいものにするための多くの方法があります。

  • @media.pointer メディアクエリと組み合わせて使用することで、より詳細なスタイリングが可能になります。@media.pointer は、ユーザーのメインポインティングデバイスの種類と精度を検出します。
  • @media.any-pointer メディアクエリは、比較的新しいメディアクエリであり、すべてのブラウザでサポートされているわけではないことに注意してください。古いブラウザとの互換性を考慮する必要がある場合は、JavaScript を使用してポインティングデバイスの検出を行うこともできます。


そこで、「@media.any-pointer」の代替方法として、以下の方法が考えられます。

JavaScriptによるポインティングデバイス検出

JavaScriptを使用して、ユーザーがポインティングデバイスを持っているかどうかを検出することができます。この方法は、すべてのブラウザで動作し、より詳細なデバイス情報を得ることができます。

function isPointerDevice() {
  try {
    return new PointerEvent('pointerdown', {isTrusted: true}).constructor.name === 'PointerEvent';
  } catch (e) {
    return false;
  }
}

if (isPointerDevice()) {
  // ポインティングデバイスありの場合の処理
} else {
  // ポインティングデバイスなしの場合の処理
}

「@media.hover」と「@media.pointer」の組み合わせ

「@media.hover」と「@media.pointer」を組み合わせて使用することで、「@media.any-pointer」と同様の機能を実現することができます。

/* ホバーに対応しているデバイス */
@media (hover: hover) {
  /* ... */
}

/* マウスなどのポインティングデバイスを持っているデバイス */
@media (pointer: fine) {
  /* ... */
}

この方法では、「@media.any-pointer」よりも詳細なデバイス検出が可能になります。

タッチライブラリの使用

タッチライブラリを使用すると、タッチスクリーンデバイスかどうかを検出することができます。これは、モバイルデバイス向けのスタイリングを適用したい場合に役立ちます。

ユーザーエージェントによる判定

ユーザーエージェント文字列を解析することで、デバイスの種類をある程度推測することができます。ただし、この方法は完全な精度を保証するものではありません。

代替方法の選び方

どの代替方法を選択するかは、プロジェクトの要件によって異なります。

  • モバイルデバイス向けのスタイリングのみが必要な場合は、タッチライブラリの使用がおすすめです。
  • より詳細なデバイス検出が必要な場合は、「@media.hover」と「@media.pointer」を組み合わせて使用する方法がおすすめです。
  • シンプルで汎用性の高い方法が必要な場合は、JavaScriptによるポインティングデバイス検出がおすすめです。
  • ユーザーのプライバシーを侵害するような方法は避けてください。
  • いずれの方法を使用する場合も、古いブラウザとの互換性を考慮する必要があります。