パフォーマンス向上と互換性確保の鍵!C言語「alignas」の使い方をマスターしよう


alignas の基本構文

alignas キーワードは、変数宣言や構造体宣言で使用されます。構文は以下の通りです。

alignas(align_spec) type variable_name;

または

struct alignas(align_spec) struct_name {
  member_declaration;
};

ここで、

  • member_declaration は、構造体のメンバー宣言です。
  • struct_name は、構造体名です。
  • variable_name は、変数名です。
  • type は、変数の型です。
  • align_spec は、整列要件を指定する整数リテラル式または型式です。

整列要件の指定

align_spec には、以下のいずれかを指定できます。

  • 型式:alignof(type) 式と同じ整列要件を指定します。
  • 整数リテラル式:メモリ配置の境界となるアドレスのオフセットを指定します。この値は、2 の累乗である必要があります。

alignas(8) int x;       // x は 8 バイト境界に配置されます。
alignas(double) struct Point {
  double x, y;
};                   // Point 構造体は double 型の整列要件で配置されます。

alignas の利点

alignas キーワードを使用する利点は次のとおりです。

  • 特定のハードウェアアーキテクチャとの互換性の確保: 一部のハードウェアアーキテクチャでは、特定の整列要件を持つデータしかアクセスできません。
  • キャッシュパフォーマンスの向上: 整列されたデータはキャッシュに効率的に格納されるため、キャッシュヒット率が向上します。
  • パフォーマンスの向上: 特定のハードウェアアーキテクチャでは、データが整列されていると、より効率的にアクセスできます。

alignas キーワードを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 整列要件を厳しすぎると、メモリ使用量が増加する可能性があります。
  • 指定された整列要件がハードウェアアーキテクチャでサポートされていることを確認する必要があります。
  • コンパイラが alignas キーワードをサポートしていることを確認する必要があります。


サンプル 1:構造体の整列

この例では、alignas キーワードを使用して、構造体のメンバーを特定の境界に整列する方法を示します。

#include <stdio.h>

struct alignas(16) Point {
  double x, y;
};

int main() {
  struct Point p = {1.0, 2.0};
  printf("p.x = %f\n", p.x);
  printf("p.y = %f\n", p.y);
  return 0;
}

このコードは次の出力を生成します。

p.x = 1.000000
p.y = 2.000000

この例では、Point 構造体のメンバー xy は 16 バイト境界に整列されます。これは、x86-64 アーキテクチャなどの多くのハードウェアアーキテクチャで double 型のデータに効率的にアクセスできるため、パフォーマンスの向上につながります。

サンプル 2:キャッシュパフォーマンスの向上

この例では、alignas キーワードを使用して、キャッシュパフォーマンスを向上させる方法を示します。

#include <stdio.h>

alignas(64) char cache_line[64];

int main() {
  for (int i = 0; i < 64; i++) {
    cache_line[i] = i;
  }

  for (int i = 0; i < 64; i++) {
    char value = cache_line[i];
    printf("value = %d\n", value);
  }

  return 0;
}
value = 0
value = 1
value = 2
...
value = 62
value = 63

この例では、cache_line 配列は 64 バイト境界に整列されます。これは、x86-64 アーキテクチャなどの多くのハードウェアアーキテクチャでキャッシュラインのサイズと一致するため、キャッシュパフォーマンスが向上します。

この例では、alignas キーワードを使用して、特定のハードウェアアーキテクチャとの互換性を確保する方法を示します。

#include <stdio.h>

typedef struct __attribute__((__aligned__(64))) {
  double x, y;
} aligned_point_t;

int main() {
  aligned_point_t p = {1.0, 2.0};
  printf("p.x = %f\n", p.x);
  printf("p.y = %f\n", p.y);
  return 0;
}
p.x = 1.000000
p.y = 2.000000

この例では、aligned_point_t 型は、64 バイト境界に整列するように属性 __aligned__ で装飾されています。これは、ARM NEON アーキテクチャなどの特定のハードウェアアーキテクチャで double 型のデータに効率的にアクセスできる必要がある場合に役立ちます。



コンパイラ固有の属性

一部のコンパイラは、alignas キーワードとは別に、メモリ配置を制御するためのコンパイラ固有の属性を提供しています。これらの属性は、特定のコンパイラまたはハードウェアアーキテクチャに固有である場合があるため、移植性が制限される可能性があります。

  • Microsoft Visual C++: __declspec(align(n))
  • Clang: __attribute__((__aligned__(n)))
  • GCC: __attribute__((aligned(n)))

構造体のパディング

構造体のメンバー間にパディングバイトを挿入することで、メンバーの整列を制御することもできます。これは、#pragma pack ディレクティブまたは構造体定義内の /* ... */ コメントを使用して行うことができます。

#pragma pack(push, 1)
struct Point {
  double x;
  double y;
};
#pragma pack(pop)

このコードは、Point 構造体のメンバー xy を 1 バイト境界に整列します。

メモリ配置を完全に制御する必要がある場合は、手動のマクロを使用して独自の配置スキームを実装することもできます。これは、複雑でエラーが発生しやすい可能性があるため、最後の手段としてのみ使用してください。