Julia ソート速度を劇的に向上させるテクニック:アルゴリズム選択と並列処理

2025-03-21



型のエラー (TypeError)

  • トラブルシューティング
    • 配列の要素の型を統一してください。
    • byキーワード引数を使用して、比較可能な型に変換する関数を指定してください。
    • ltキーワード引数を使用して、比較関数を明示的に定義してください。
  • 原因
    ソートしようとしている配列の要素が、比較可能な型ではない場合に発生します。例えば、文字列と数値を混ぜた配列をソートしようとするとエラーになります。


A = [1, "2", 3]
sort(A) # TypeError: < が定義されていません: Int64 と String
sort(A, by = x -> typeof(x) == Int ? x : parse(Int,x)) #型をそろえてソートする。

MethodError

  • トラブルシューティング
    • byに渡す関数は、配列の要素を1つ引数として受け取り、比較可能な値を返す必要があります。
    • ltに渡す関数は、配列の要素を2つ引数として受け取り、最初の引数が2番目の引数より小さい場合にtrueを返す必要があります。
    • 関数の引数の型と数を再度確認してください。
  • 原因
    渡された関数が、ソート関数が期待する引数の型や数を満たしていない場合に発生します。特に、byltキーワード引数に渡す関数でよく見られます。


A = [3, 1, 4, 2]
sort(A, by = (x, y) -> abs(x - y)) # MethodError: no method matching sort!(::Vector{Int64}; by=(...).
sort(A, by = x -> abs(x)) #修正。

InexactError

  • トラブルシューティング
    • 変換する文字列が数値として正しい形式であることを確認してください。
    • try-catchブロックを使用して、変換エラーを処理してください。
  • 原因
    parse関数などで、文字列を数値に変換しようとした際に、変換できない文字列が渡された場合に発生します。


A = ["1", "2a", "3"]
sort(A, by = x -> parse(Int, x)) # InexactError: invalid string "2a" for Int64
sort(A, by = x -> try parse(Int, x) catch e -1 end) #try catchで例外処理

sortpermのインデックスに関するエラー

  • トラブルシューティング
    • sortpermで得られたインデックスが、元の配列の範囲内であることを確認してください。
    • インデックスの型が整数型であることを確認してください。
  • 原因
    sortpermで得られたインデックスを使用して配列にアクセスする際に、インデックスが範囲外になることがあります。


A = [3, 1, 4, 2]
p = sortperm(A)
println(A[5]) # BoundsError: attempt to access 4-element Vector{Int64} at index [5]
println(A[p[4]]) #修正。

ソート結果が期待通りにならない

  • トラブルシューティング
    • byltに渡す関数をデバッグし、期待通りの結果を返すことを確認してください。
    • ソート対象のデータをよく調べ、特殊な条件や例外的なケースがないか確認してください。
    • issorted()関数でソートが期待どうりに行われているか確認する。
  • 原因
    byltキーワード引数に渡す関数の定義が間違っている、または、ソート対象のデータに特殊な条件が含まれている場合に発生します。
  • Juliaのドキュメントやコミュニティフォーラムを参照し、類似の問題がないか調べてください。
  • @showマクロやprintln関数を使用して、変数の値や関数の結果をデバッグしてください。
  • 簡単な例でコードを試し、問題の箇所を特定してください。
  • エラーメッセージをよく読み、原因を特定してください。


基本的なソート (sort! と sort)

# 元の配列を変更するsort!
A = [3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6]
sort!(A)
println(A) # [1, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9]

# 元の配列を変更しないsort
B = [3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6]
C = sort(B)
println(C) # [1, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9]
println(B) # [3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6] (元の配列は変更されない)

降順ソート (rev=true)

D = [3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6]
E = sort(D, rev=true)
println(E) # [9, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1]

byキーワード引数を使ったソート (絶対値でソート)

F = [-3, 1, -4, 2]
G = sort(F, by=abs)
println(G) # [1, 2, -3, -4]

ltキーワード引数を使ったソート (文字列の長さでソート)

H = ["apple", "banana", "kiwi", "orange"]
I = sort(H, lt=(x, y) -> length(x) < length(y))
println(I) # ["kiwi", "apple", "banana", "orange"]

sortperm関数 (ソートされたインデックスの取得)

J = [3, 1, 4, 2]
K = sortperm(J)
println(K) # [2, 4, 1, 3]
println(J[K]) # [1, 2, 3, 4] (ソートされた順序で配列にアクセス)

issorted関数 (ソートされているかどうかの判定)

L = [1, 2, 3, 4]
M = [1, 3, 2, 4]
println(issorted(L)) # true
println(issorted(M)) # false

partialsort関数 (部分的なソート)

N = [5, 2, 8, 1, 9, 3]
O = partialsort(N, 3)
println(O) # [1, 2, 3] (最初の3つの最小要素)

partialsort!(N, 3)
println(N) # [1, 2, 3, 8, 9, 5] (元の配列が変更される)

searchsorted関数 (ソートされた配列での要素の挿入位置)

P = [1, 3, 5, 7, 9]
Q = searchsorted(P, 4)
println(Q) # 3:3 (4を挿入するべき位置)

R = searchsortedfirst(P, 4)
println(R) # 3 (4以上の最初の要素のインデックス)

S = searchsortedlast(P, 4)
println(S) # 2 (4以下の最後の要素のインデックス)
T = [5, 2, 8, 1, 9, 3]
println(minimum(T)) # 1
println(maximum(T)) # 9
println(argmin(T)) # 4
println(argmax(T)) # 5


安定ソート (Stable Sort) : sortのアルゴリズム選択

  • algキーワード引数で、ソートアルゴリズムを明示的に指定できます。例えば、alg=MergeSortalg=QuickSortなど。
  • stable=true(デフォルト)またはstable=falseを指定することで、安定ソートを強制したり、不安定ソート(速度が速い場合がある)を選択したりできます。
  • Juliaのsort関数はデフォルトで安定ソート(同じ値の要素の順序を保持するソート)を使用しますが、アルゴリズムを明示的に指定することもできます。
A = [3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6]
B = sort(A, alg=MergeSort) # マージソートを指定
C = sort(A, alg=QuickSort) # クイックソートを指定

キーによるソートの代替方法: mapslicesやsortpermと配列の組み合わせ

  • sortpermは、ソートされたインデックス配列を返す関数です。
  • mapslicesは、配列の各要素に関数を適用し、結果を新しい配列として返す関数です。
  • byキーワード引数を使う代わりに、mapslicessortpermと配列の組み合わせでソートすることも可能です。
# mapslicesを使ったソート
A = ["apple", "banana", "kiwi", "orange"]
lengths = map(length, A) # 各要素の長さを計算
indices = sortperm(lengths) # 長さでソートされたインデックスを取得
sorted_A = A[indices] # ソートされた配列を取得
println(sorted_A)

# sortpermを使ったソート
B = [3, 1, 4, 2]
indices_B = sortperm(B)
sorted_B = B[indices_B]
println(sorted_B)

複数のキーによるソート: タプルを使用

  • byキーワード引数にタプルを返す関数を渡すことで、複数のキーでソートできます。
  • 複数のキーでソートしたい場合、タプルを使用できます。
C = [(1, "apple"), (2, "banana"), (1, "orange"), (3, "kiwi")]
D = sort(C, by=x -> (x[1], x[2])) # 最初の要素、次に2番目の要素でソート
println(D)

構造体のソート: カスタム比較関数

  • ltキーワード引数に、構造体のフィールドを比較する関数を渡します。
  • 構造体の配列をソートする場合、カスタム比較関数を定義する必要があります。
struct Person
    name::String
    age::Int
end

people = [Person("Alice", 30), Person("Bob", 25), Person("Charlie", 30)]
sorted_people = sort(people, lt=(x, y) -> x.age < y.age) # 年齢でソート
println(sorted_people)

sorted_people_name = sort(people, lt = (x,y) -> x.name < y.name) #名前でソート
println(sorted_people_name)

OrderedCollectionsパッケージの使用

  • SortedDictSortedSetを使用すると、要素が自動的にソートされた状態で管理されます。
  • OrderedCollectionsパッケージには、ソートされた辞書や集合などの便利なデータ構造が含まれています。
using OrderedCollections

E = SortedDict("banana" => 2, "apple" => 1, "orange" => 3)
println(E) # SortedDict{String, Int64} with 3 entries: "apple" => 1 "banana" => 2 "orange" => 3

F = SortedSet([3, 1, 4, 2])
println(F) # SortedSet{Int64} with 4 elements: 1 2 3 4
  • ただし、並列ソートは、オーバーヘッドがあるため、小規模な配列では逆に遅くなる場合があります。
  • Threads.@threadsマクロを使用すると、複数のスレッドでソート処理を並列実行できます。
  • 大規模な配列をソートする場合、並列処理を使用することで速度を向上させることができます。
using Base.Threads

G = rand(10^6)
H = sort(G) # 通常のソート
I = sort(G, alg=Threads.MergeSort) # 並列マージソート